今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、ユーロ買いの流れを継続し25日には高値1.2538と2014年12月以来の高値をつけました。週初からドイツの大連立協議開始、ムニューシン財務長官のドル安肯定発言、ECB理事会後のドラギ総裁会見とユーロ買い・ドル売りの材料が目立つ週となりました。トランプ大統領のドル高肯定発言も入り週末にはやや押しての引けとなりましたが、ポンド高という援軍も加わり、円同様に買いが優勢だったと言えます。
ユーロドルの動きとしては、1月9日の安値が1.1916でしたから既に600ポイント以上もの上げとなりますし、長期的には昨年1月安値から考えると2200ポイント近くと、かなりの上昇です。しかもシカゴのユーロ買いポジションも23日時点で144,317枚の買いと2週間前の史上最高の買いを上回る状況です。
値幅やポジションといったところに目を向けると、なかなか買いにくいという参加者も見られますが、ドイツの連立政権が実際に動き始める3月までは買い手のコストが低いことからも利食いが出にくい流れが続きやすいと考えられます。また、これまでは最強のハト派であったドラギ総裁までもが欧州の景気に強気な発言をしたことで、ECBの債券購入は9月で終了するとの思惑が増えています。
まだ、材料的には噂で買う段階で事実となっていないことからも、ユーロは買いから入る回転が続いていくと思われます。今週のユーロは週初にブレグジット関連のユーロ圏閣僚会議がありますが、フェーズ2に移行した離脱の協議はソフト・ブレグジットを想定させるもので、ポンドもユーロ以上に強い買いが入り、ポジション的にも着実に買いが増えていて、ユーロ買いを側面から支えている印象です。
今週は他にもECB高官の講演が続きますが、先週のドラギ総裁の発言を否定するような内容は出にくいでしょうし、他にも米国材料としてトランプ大統領の一般教書演説、FOMC、雇用統計とイベントが続く週となりますので、積極的にユーロを売ることは難しそうです。また、ポンドの材料ではありますが30日には英中銀総裁の議会証言もありますので、こちらも注目しておきたいところです。
材料的には、いまだユーロ高を見込む感じですがテクニカルには、高値圏で値幅が大きく振れやすくなってきていることから、いったん踊り場を形成する可能性も考える必要があります。また長期的には2014年高値1.3993と昨年安値1.0351の61.8%戻しにあたる1.2602に64ポイントの距離にまで近づき、部分的に利食いを入れたい水準でもあります。この1.26台前半は昨年安値と高値、その後の11月安値への押しというN波動によるフィボナッチ・エクスパンションの61.8%エクスパンション1.2628とも重なることから、短期的には1.26台をひとつの大きなターゲットと考えることができます。
上記も含めて日足チャートを見てみましょう。
*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
先週示した平行線による上昇チャンネルは一時的に上抜けしたものの、ローソク足の上ヒゲでのみ上抜けその後はチャンネル内に戻してきています。ユーロ高の巡航速度に戻してきた動きと考えられ、足型からもいったん目先の高値をつけた感はあるものの、引き続き上昇チャンネルに沿った値動きを1.26水準までは続けやすいと見ることができるでしょう。
今週は新高値こそ難しそうですが高値圏でのもみあいを考え、1.2325レベルをサポートに、1.2525レベルをレジスタンスとする一週間を見ておこうと思います。
今週のコラム
ユーロの項でもポンド高に振れましたが、今週はあらためてポンドドルの長期チャートを見てみましょう。
ポンドはユーロ以上に買いが強く、先週のユーロポンドは0.8687と12月安値を下回り、昨年6月以来のユーロ安・ポンド高をつける動きとなっています。ユーロも随分と強い動きをしているのですが、ポンドはそれ以上に強いわけで、長期的にも強いチャートとなっています。
ポンドドル月足チャートで、ここ10年間の動きをご覧ください。
大きくは2007年高値2.1160、近いところでは2014年高値1.7192を起点に、どちらも昨年安値1.1987からの戻しの局面にあります。2014年高値からの半値戻し1.4593が最初の長期的なターゲットとなっています。
日足チャートを見ていると、ポンドドルは短期的には高値をつけたようなチャートの形ではありますが、今後の動き次第で更に上のターゲットもあり得るというのが現在のポンドドルの長期チャートと言えますので、上記のターゲットは頭の片隅には留めておきたいレートとなります。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
1月29日(月)
**:** ユーロ圏閣僚会議(ブレグジット関連)
19:45 ラウテンシュレーガーECB理事講演
25:00 クーレECB理事講演
1月30日(火)
15:30 フランス10〜12月期GDP速報値
17:00 スペイン10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感確報値
22:00 ドイツ1月CPI速報値
24:30 英中銀総裁議会証言
25:30 メルシュECB理事講演
1月31日(水)
09:01 英国1月GFK消費者信頼感
10:00 中国1月製造業・非製造業PMI
11:00 トランプ大統領一般教書演説
17:55 ドイツ1月失業率
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値
19:00 ユーロ圏12月失業率
28:00 FOMC結果公表
2月1日(木)
10:45 中国1月MarkIt製造業PMI
17:50 フランス1月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ1月製造業PMI確報値
18:00 ユーロ圏1月製造業PMI確報値
18:30 英国1月製造業PMI
2月2日(金)
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月PPI
22:30 米国12月雇用統計
前週のユーロレンジ
始値 高値 安値 終値
ユーロドル 1.2257 1.2538 1.2214 1.2428
ユーロ円 135.66 136.29 134.55 134.99
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
1月22日(月)
米国の予算切れで政府機関一部閉鎖が確定したことから週明けはドル売りが先行しましたが、ユーロドルはSPD党大会でCDUとの大連立が決まったことも加わってユーロ買い・ドル売りが目立つ週初となりました。その後も底堅い展開を続け、ポンドが改めて年初来高値を上抜けた動きも重なって終日底堅い動きのまま引けました。ドル円、ユーロドルともに底堅い動きとなったことからユーロ円も136円台を回復しました。
1月23日(火)
ユーロドルは欧州市場序盤までは上値の重たい展開が続きじり安の展開となりましたが、根強いポンド買いからポンドは年初来高値を更新、ユーロもポンドに引っ張られての買いとなり1.23台に乗せ高値圏での引けとなりました。
1月24日(水)
東京市場では前日に続きユーロドルは買いが先行しましたが、欧州市場に入りムニューシン財務長官のドル安が米国の貿易にとって良いとの発言が流れると、ドルが全面安となりユーロは一段高、NY市場では1.24台に乗せユーロ高値圏での引けとなりました。
1月25日(木)
ユーロドルは、ECB理事会では予想通り現状維持で動きは無かったものの、その後のドラギ総裁会見で欧州経済に強気かつ同総裁としてはタカ派的な発言が続き、1.2537レベルまで急騰。そして高値圏からやや調整が入ったところにトランプ発言で一気に1.2364の安値まで急落、そのまま安値圏での引けとなりました。
1月26日(金)
ユーロドルは、欧州市場までは前日の下げ(ドル買い)に対する調整からユーロの買い戻しが目立ち、欧州市場序盤には1.2494レベルまで上昇。しかし、1.25台ではまだ売りたい向きが残っていること、NY市場の黒田総裁発言でユーロ円に大きな売りが入ったこともが重なり、東京前場の水準に押しての引けとなりました。
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