今週の週間見通し
先週のドル円は、ダボス会議に出席した各国要人の発言に振り回される一週間となりました。火曜の日銀会合では上下したものの前週安値は下回りませんでしたが、水曜東京市場で110円の大台を割り込み円高懸念が広がってきたところにムニューシン財務長官のドル安肯定発言が飛び出しました。
財務長官の発言では109円まで下げ、その後も上値が重く木曜NY市場には108.50まで円高・ドル安が進んでいたところに全く逆のトランプ大統領のドル高肯定発言が飛び出し、金曜東京前場には109.77レベルとムニューシン財務長官発言の出る前の水準まで戻したところで、今度は日銀の黒田総裁のインフレ率達成に近づいているとの発言で108.28と週間安値を更新し、その後振れはあったもののドルの上値が重たい印象の週となりました。
同じ米国のしかも通貨の水準について発言する立場を持つ財務長官と大統領から異なる方向性の発言が出た上に、しかも以前のスタンスとは双方とも反対のスタンスに変化してきたことは市場参加者を混乱させる要因となりましたが、本音はムニューシン財務長官のドル安肯定にあるのではないかと考えられます。
今週は31日の日本時間11時から90分にわたりトランプ大統領の一般教書演説(2018年の施政方針)があり、そこでの内容も見極めたいところですが、税制改革の次の主要テーマとして通商政策改革がある、不均衡是正を考えると水準次第では為替調整もあり得るという心構えでいたほうがよさそうで、中長期的にはドル安トレンドは続くというのが現状の見方です。
さて、今週ですが一般教書演説に続いて、イエレン議長最後のFOMC、米国雇用統計と続きます。今回のFOMCは波乱は無いでしょうし、雇用統計も雇用が安定している現状ではよほどコンセンサスからずれない限り大きな材料とはならないと言えます。いずれにしても先週の後ということでドル売りに反応しやすい状況は今週も続くと考えられます。
次に日足チャートをご覧ください。
既に昨年安値の107.32とその後の戻し114.73とのフィボナッチ・リトレイスメントでは最後の砦となる78.6%(61.8%)押しを超えてきていますので、100%押しとなる107.32を現在は視野に入れている動きと言えます。
このターゲットは1月高値113.39から考えると6.07円、またその前の高値12月高値113.75から考えると6.43円と最近のドル円の大きな一波が6〜7円となることが多きことから考えても妥当な水準となります。逆にこの水準まで押さない限り戻しは限定的となるといえ、上値は既に110円の大台が遠くなりつつあるという流れです。
今週も円高の動きを継続しやすいと考え、109.80レベルをレジスタンスに、107.50レベルをサポートとやや円高方向に余裕ある一週間を見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
1月29日(月)
**:** NZ市場休場
**:** ユーロ圏閣僚会議(ブレグジット関連)
19:45 ラウテンシュレーガーECB理事講演
22:30 米国12月個人所得・消費支出
24:30 米国1月ダラス連銀製造業活動指数
25:00 クーレECB理事講演
30:45 NZ12月貿易収支
1月30日(火)
08:30 本邦12月失業率、有効求人倍率
09:30 豪州12月nab企業景況感
15:30 フランス10〜12月期GDP速報値
17:00 スペイン10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感確報値
22:00 ドイツ1月CPI速報値
23:00 米国11月ケースシラー住宅価格指数
24:00 米国1月消費者信頼感指数
24:30 英中銀総裁議会証言
25:30 メルシュECB理事講演
**:** FOMC(〜31日)
1月31日(水)
08:50 日銀会合主な意見
09:01 英国1月GFK消費者信頼感
09:30 豪州10〜12月期CPI
10:00 中国1月製造業・非製造業PMI
10:30 岩田日銀副総裁講演
11:00 トランプ大統領一般教書演説
17:55 ドイツ1月失業率
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値
19:00 ユーロ圏12月失業率
21:00 南ア12月貿易収支
22:15 米国12月ADP全国雇用者数
22:30 米国10〜12月期雇用コスト指数
23:45 米国1月シカゴ購買部協会景気指数
24:00 米国12月中古住宅販売保留件数指数
24:30 米国週間原油在庫
28:00 FOMC結果公表
2月1日(木)
09:30 豪州12月住宅建設許可
09:30 豪州10〜12月期輸出入物価指数
10:45 中国1月MarkIt製造業PMI
17:50 フランス1月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ1月製造業PMI確報値
18:00 ユーロ圏1月製造業PMI確報値
18:30 英国1月製造業PMI
21:30 米国1月チャレンジャー人員削減予定数
22:30 米国10〜12月期単位労働委コスト速報値
22:30 米国新規失業保険申請件数
23:45 米国1月MarkIt製造業PMI確報値
24:00 米国1月ISM製造業景況指数
24:00 米国12月建設支出
2月2日(金)
09:30 豪州10〜12月期PPI
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月PPI
22:30 米国12月雇用統計
24:00 米国1月ミシガン大消費者信頼感指数確報値
24:00 米国12月製造業受注指数
29:30 サンフランシスコ連銀総裁講演
2月3日(土)
**:** パウエルFRB議長就任
前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 110.68 111.22 108.28 108.62
ユーロ円 135.66 136.29 134.55 134.99
ユーロドル 1.2257 1.2538 1.2214 1.2428
日経平均 23797.84 24129.34 23592.28 23631.88
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
1月22日(月)
米国の予算切れで政府機関の一部閉鎖が確定したことから週明けはドル売りが先行しました。しかし、つなぎ予算が早期に決まるであろうとの思惑もあり下げは限定的、その後は株高の動きとともにじり高の展開を辿りました。NY市場に入り、上院で2月8日までのつなぎ予算が可決したことからリスクオンに傾き、ダウは史上最高値更新、ドル円も111.22レベルまで水準を切り上げましたが、日銀会合を控え引けにかけては111円を割り込んでの引けとなりました。
1月23日(火)
東京市場のドル円は日銀会合の思惑で上下しました。結果発表時は前回から変化が無かったことから円買いとなり110円台半ばまで押したものの総裁会見を前に買い戻し、会見では大規模緩和を続けるとの発言に円売りとなり111円台前半まで上げたすぐに元の水準へと戻しました。内容如何よりも単に動かしたい参加者がいたのではないかと思われる値動きとなりましたが、欧州市場以降はあらためて円買いの動きとなりNY市場では買いが強まった欧州通貨の動きに添ってのドル売りから110.25まで下押し後に安値引けとなりました。
1月30日(火)
08:30 本邦12月失業率、有効求人倍率
09:30 豪州12月nab企業景況感
15:30 フランス10〜12月期GDP速報値
17:00 スペイン10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感確報値
22:00 ドイツ1月CPI速報値
23:00 米国11月ケースシラー住宅価格指数
24:00 米国1月焼死者信頼感指数
24:30 英中銀総裁議会証言
25:30 メルシュECB理事講演
**:** FOMC(〜31日)
1月24日(水)
円高が加速しました。前日の日銀会合後のドル売りの流れを継続してのスタートとなりましたが、先週安値を下回るとストップオーダーも入り、後場には110円の大台を割り込みました。欧州市場に入りムニューシン財務長官のドル安が米国の貿易にとって良いとの発言が流れると、ドルが全面安となりNY後場には一時109円をも割り込み安値圏での引けとなりました。
1月25日(木)
前日のムニューシン発言の余波からNY後場まで多少の戻しを挟みながらも着実に円高の流れを続けました。一時108.50レベルと昨年9月以来の水準まで下げたところで、トランプ大統領がドル高を肯定する全く逆のコメントが飛び出したことで、109.70レベルと一気に1円以上もの調整が入り高値引けとなりました。
1月26日(金)
東京市場では、前日NY後場のトランプ大統領によるドル高肯定発言と仲値の買いが重なり一時109.77レベルまで上がったもののそこまで、その後は上値の重たい展開となりました。東京後場以降は欧州通貨買いに引っ張られてのドル売りとなり、NY市場までは上下しながらも上値の重たい展開となりました。NY市場では黒田日銀総裁が2%ターゲットに近づいていると発言したことから円買いとなり、後場には108.28レベルの安値をつけたものの日銀が総裁発言に対して修正コメントを出したことで109円台まで戻した後に108円台半ばへ押してと荒っぽい動きでの週末クローズとなりました。
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2018.01.29
ドル安基調は継続、ただ調整の動きにも注意(1/29夕)
週明け29日の東京市場は、おおむね揉み合い。108円後半におけるレンジ取引で明確な方向性は乏しかった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2018.01.29
ドル安傾向続くか、昨年9月安値が視界内に(1月第5週)
先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週足チャートは3週連続の陰線引けとなった。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。