<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週足チャートは3週連続の陰線引けとなった。週のザラ場では、一時108.28円を記録し、昨年9月安値107.32円も視界内に捉えられている。
先週末のNYを110.85円レベルで終了したドル/円は、110.40-45円と小安いレベルで寄り付いた。週末に、トランプ米大統領が懸念していた「米政府機関の閉鎖」が現実のものとなったことが嫌気されていたという。
しかし、そののち「米下院が暫定予算案を可決、政府機関閉鎖を解除」との報道もあり、ドルの下値は限定的だったばかりか、111円台まで反騰高をたどるなど、しばらくのあいだは、むしろ小じっかり。ところがドル高基調は続かず、再び下値を試す展開になると110円を割り込み、一気にドル安・円高の流れが加速した。週末にかけては週間安値の108.28円まで下落、やや戻した108.60-65円でNYを大引け、越週している。
一方、週間を通した主な材料のひとつは、前述した「米暫定予算」に関する報道などだが、それ以外では日米を中心とした要人発言に右往左往する展開となった。
キッカケとなったのは、ムニューチン米財務長官よる「弱いドルは米国にとって良いこと」との発言。24日に聞かれた、このコメントが110円割れのトリガーを引いた格好に。そののち、ロス米商務長官から「強いドル政策の転換を表明したわけではない」、トランプ大統領が「最終的にわたしは強いドルを望んでいる」と火消し発言が聞かれたものの、週末に黒田日銀総裁が「日本は2%のインフレ目標にようやく近い状況にある」とコメントしたことが大きな物議を醸し、円買いの材料に。
なお、そうしたなか、「日本のビッド・コイン取扱会社大手のコインチェックから、顧客資金580億円が流出した」との報道も聞かれ、リスク回避の動きを支援した側面も。
<< 今週の見通し >>
110円の心理サポートを割り込んだだけでなく、ドルはさらに続落。週末には一時108.28円を記録し、昨年9月安値107.32円も視界内に捉えられてきた。ポジションの偏りなどを除けば、リスクがドル安方向に高いことは間違いない。
材料的にも、トランプ政権が「米国第一主義」を掲げ、貿易赤字解消に血道を挙げていることは周知のこと。そうしたなかだけに、大統領自身が火消しに動いたとはいえ額面通りには受け取れず、ムニューチン米財務長官が先に発した「弱いドルは米国にとって良いこと」とのコメントが重石のように効いている感を否めない。また、それとは別に、コインチェックによる「不正な資金流出問題」による影響も気にかかる。仮想通貨市場全体に信用不安や資金引き出しが拡大する可能性も取り沙汰されており、為替相場にもリスク回避ムードが波及すれば、さらなる円高進行を支援することになりそうだ。
テクニカルに見た場合、109.10円レベルに位置する週足・一目均衡表の先行帯の雲の下限をNYクローズベースでも割り込んできた。ちなみに、前回、週足ベースで雲の下限を割り込んだのは昨年9月、107.33円を記録した際になる。ただ、そのときには、翌週にアッサリと雲の下限を回復するなど、「ダマシ」に終わっていただけに、今回は果たしてどうなるか。「ドル強気派」からは、同様の展開を見込む声も聞かれていた。
ただ、前記した一目だけに限らず、移動平均やフィボナッチ、そのほか様々な分析における下方向のテクニカルポイントを下抜けており、基本的なリスクは下向きか。昨年9月安値をめぐる攻防にまずは注意を払いたい。
一方、材料的に見た場合、「月末・月初」週にあたることで、注目材料が目白押し。まず米経済指標としては、週末の1月雇用統計を中心に重要指標の発表が相次ぐうえ、2月3日に任期満了を迎えるイエレンFRB議長最後の米FOMCやトランプ米大統領の一般教書演説−−などが予定されている。
また、本格化する日本企業の決算発表も要注意か。今回発表される決算に、最近の円高が加味されているとは思われないが、先行きの収益見通しにどの程度の影響があるのか、その度合いによっては政治家などからも「口先介入」と思しき円高懸念発言が聞かれる可能性もある。
そんな今週のドル/円予想レンジは、107.00-110.00円。ドル高・円安については、先週NYクローズで下回った週足・一目の雲の下限が位置する109.10レベルが最初の抵抗で、上抜ければ110円台回復をうかがう局面もありそうだ。
対するドル安・円高方向は、まず先週末安値の108.28円の攻防が注視されるが、割り込むと昨年9月安値107.32円や、2016年安値を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押しに当たる106.30円がターゲットに。(了)
オーダー/ポジション状況
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