もみあいからユーロ高再開の週(週報1月第四週)

先週のユーロドルは、前週からのユーロ買いの動きを受けてのスタートを切り、17日の東京市場では1.2323の高値をつけました。

もみあいからユーロ高再開の週(週報1月第四週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、前週からのユーロ買いの動きを受けてのスタートを切り、17日の東京市場では1.2323の高値をつけました。これは1.2300水準にあったストップオーダーをつけに行った動きと見られますが、その後は急に失速し翌朝の早朝には1.2165の安値を付けています。しかし、これら双方の極端な動きを除けば週を通して1.22レベルの買いと1.23レベルの売りに挟まれ高値圏でのもみあいの一週間となりました。

もみあいの最大の理由は週初こそドイツの大連立に向けての期待が高まっていたものの、21日のSPD党大会を前にSPDが連立協議に対して難色を示しているとの話が聞こえてきたためです。しかし、党大会を前に連立にあたって基本合意は既になされていたことや、世論やSPD主流派の動きを考えるとポーズであったと考えられ、市場参加者の反応も限定的だったと言えます。

注目のSPD党大会では、CDUとの大連立の協議を進めることが賛成多数で決まり、早ければ23日から正式な連立協議がスタートします。基本合意ではCDU寄りの政策となっていたため、今後の正式協議の中でどの程度双方が妥協点を見いだせるかということになりそうです。というのも、まさかとは思うものの正式協議の結果もSPDは党大会で賛否を決める方針を示しているためで、先週の難色を示したポーズも含め党員に納得させるためのギリギリの調整が今後も続き、最終的に3月を目途にメルケル首相4期目の政権が正式にスタートという流れとなります。

また、今週はECB理事会がありますが、フォワードガイダンスの変更は今週ではなく3月の理事会で討議との事前の関係者からの話も出ていますし、理事会後のドラギ総裁会見も理事会でもっともハト派に位置するのがドラギ総裁であることを考えると、ハト派的な発言が出たとしてもそれほど驚きでは無いと考えられます。逆にドイツ連銀に代表されるタカ派的なコメントが出てきた場合には、ユーロの一段高に繋がりやすいと言えるでしょう。

他にも水曜には主要国の製造業とサービス業にPMI速報値が発表されますので、細かい上下を挟みながらも先週の東京市場でつけた1.23台を再度試しやすいと言えます。この東京市場でのみつけるユーロの最高値や最安値は、いったん大いなるダマシとなることも多いのですが、ギャップと同様に時間をおいてマザーマーケット(欧州市場)で再度試すことが多いのです。

こうしたことを前提に日足チャートを見てみましょう。

今週の週間見通しと予想レンジ

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先週書いた通り現在の水準は3年ぶり高値となっていて、目立ったレジスタンスは先週の高値1.2323しかありません。長期的には先週の月足チャートで示した1.2422と1.2602〜28とかなり上までターゲットは無い状態です。

ただ、先週の1.23水準で上値を抑えられていた動きを考えると、現状は12月安値を起点に1月第1週までの上げ、その後の1月安値への押しを考えたN波動で求められるフィボナッチ・エクスパンションの100%エクスパンション1.2287が節目になっていたと見ることが出来そうです。であれば、127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションにあたる1.2388を欧州市場で見に行く流れは十分に考えられます。同水準から月足チャートで示される1.2422はピンクの太線で示した上昇平行チャンネルの上側のラインとも一致することもわかります。

テクニカルには1.22水準で底固めをした後にもみあいを経て、1.24水準へと向かうという流れが最も可能性の高いシナリオです。材料的にも引き続きユーロ買い材料が多いと考えられますので、今週は1.2200レベルをサポートに、1.2400レベルをレジスタンスとする一週間を見ておこうと思います。

今週のコラム

ユーロドルが3年ぶり高値、ポンドドルも国民投票以来の高値と長期的な高値を見る通貨ペアが多いのですが、今週はもうひとつユーロスイスの長期チャートをご覧ください。

ユーロスイスは、2015年1月にスイス中銀がそれまで続けていた1.20のスイスフラン売り(ユーロ買い)介入を放棄したことでスイスフランが急騰し、世界中で多くの投資家が大混乱、海外ではゼロカットルール(証拠金がマイナスになっても追証を徴求されない制度)を適用しているFX業者も多いため、破綻に追い込まれたFX業者も数知れずという、中銀による史上最悪の市場混乱となりました。

話はそれますが、日本のレバ規制の議論でもこの官製スイスフランショックを例に挙げるのはいかがなものかと思います。

月足チャートをご覧ください。

             ユーロスイス月足

             ユーロスイス月足

このチャートでは2015年1月安値は0.8250となっていますが、急変中の市場であり本当の安値はわからないというのが真実に近いでしょう。

そして、現在の1.1774はこの2015年1月に起きたスイスフランショック以来のユーロ高・スイスフラン安の水準となっています。スイス中銀は米国財務省の為替報告書の監視リストにも名を連ねていますが、中国や日本、ドイツの貿易黒字ではなく介入額が大きいためのリスト入りです。

今回3年ぶりに1.20の以前の介入ラインを視野に入れる動きとなってきましたが、今回は1.20では相当なユーロ売り・スイス買いが出て来るのではないかと思われます。ただ、一度は誰かがつけにいくというのがインターバンクディーラーの傾向ですから、取引する、しないではなく、たんに興味としてウォッチしていたいところです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

1月22日(月)
**:** IMF経済見通し公表
**:** ユーロ圏財務相会議

1月23日(火)
18:30 英国12月財政収支
19:00 ドイツ1月ZEW景気期待指数
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値
**:** ダボス会議(〜26日)

1月24日(水)
17:00 フランス1月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ1月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏1月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国12月失業率

1月25日(木)
16:00 ドイツ2月GFK消費者信頼感
18:00 ドイツ1月ifo景況感指数
21:45 ECB理事会結果公表
22:30 ドラギECB総裁会見

1月26日(金)
16:45 フランス1月消費者信頼感指数
18:30 英国10〜12月期GDP速報値
22:30 米国10〜12月期GDP速報値

前週のユーロレンジ

       始値  高値  安値  終値
 
ユーロドル 1.2193 1.2323 1.2173 1.2221
ユーロ円  135.51 136.31 134.98 135.42

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

1月15日(月)
 週明けは東京前場こそ様子見の展開が続いていましたが、ドイツ連立協議前進の流れを継続し後場以降はユーロが一段高、欧州市場前場には1.2296レベルの高値を示現しました。その後はNY市場が祝日で参加者が少ない中、高値圏でもみあいのまま引けました。

1月16日(火)
 欧州市場に入りドイツの連立協議にSPDが難色を示して難航していること、ECBのフォワードガイダンスの変更が先送りされるとの関係者の発言の2つの売り材料に一時1.2195レベルまで水準を下げましたが、引けにかけては値を戻して行って来いでの引けとなりました。

1月17日(水)
 東京の朝方に1.2300のストップをつけいったん買いが引いたところに、欧州市場に入りECB高官がユーロ高を懸念する発言をしたことから、NYの朝方には1.22割れの水準まで下落しました。その後急騰するポンドに追随しユーロドルも1.2288レベルまで値を戻しましたが、引けにかけてはドル買いの動きに押され1.2177レベルと日中安値を更新、そのまま安値圏で引けました。

1月18日(木)
 ユーロドルは、終日底堅い動きとなり、東京の朝方こそ1.21台でスタートしたものの、NY市場朝方には1.2265まで値を戻し、その後は1.22台前半でもみあいのまま引けました。ドイツ連立協議にとって重要はSPD党大会が週末に控えていることも徐々に動きを鈍くさせていました。

1月19日(金)
ユーロドルは、欧州市場までは米国政府機関が4年ぶりに閉鎖となることを懸念したドル売りからドル安ユーロ高の動きとなっていましたが、週の高値圏で足踏み後にポンドの調整売りとともに水準を下げ、ほぼ行って来いでの引けとなりました。

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