今週の週間見通し
先週のドル円は、ドイツ連理協議に向けての期待とポンド高の動きからユーロドル高が主導してのドル売りが週前半の円高の動きに繋がりましたが、その後は日経平均株価が24000円と株高によるリスクオンからの買い戻し。111円台半ばまで買い戻しが入ったものの週後半は米国の政府機関閉鎖懸念によるドル売りの動きで一週間を終えました。
しかし、値幅としては110.19〜111.48と1円30銭ほどの狭いレンジで上下を繰り返したのみで、方向感が出たわけではありません。110円の大台を前にして年初からの円高の動きに対しいったん踊り場を形成し、更なる円高の動きに繋がるかどうか今週が見極めの週となってきそうです。大きくは3つの材料が円高に試しやすくすると見ています。
今週は、まず米国の政府機関閉鎖から始まり、早朝には売りが先行しましたが先週安値を抜けるには至りませんでした。米国のつなぎ予算審議は毎年の恒例行事のようになっていて、4年前にも一度政府機関閉鎖があったことから市場参加者もそれほど大ごとには捉えていないという印象です。しかし、長引けば米国経済へ与える影響も出てきますので、進展には注目です。
なお、予算関係は過半数でなく60%以上の賛成が必要となるため、トランプ大統領は核オプションと言われる単純過半数での可決をも視野に入れた発言をしていますが、これには民主党の反発が予想され中間選挙を前に賢明な選択肢とは言えません。そのため共和党内でも通常の60%以上の賛成を指示しているため、協議が難航する状態が続きそうです。今週は米国のつなぎ予算がドルの上値を抑えやすくすると考えています。これが1つめ。
次に、月曜火曜と日銀会合が開かれますが、今月の円高のきっかけを振り返ると1月9日の日銀による長期債買いオペ減額です。結果として長期金利の上昇に繋がり円高に振れましたが、今回の会合でテーパリングにつながるような発言が出て来るのかどうか、また総裁会見では当然質問として買いオペ減額に関することが出て来るでしょうから、火曜の夕方までは警戒感から円買い材料となりやすいと言えるでしょう。これが2つめです。
そして、欧州通貨の影響です。ポンドはEU離脱の国民投票後の高値を更新する展開が続いていますが、このことはユーロドルの買い材料ともなっています。更に週末のSPD党大会でCDUとの大連立を進めることが賛成多数で決まり、早ければ火曜から正式な連立協議が始まることとなりました。結果としてメルケル首相率いるドイツ政治の道が見えてきました。議論を続け妥協するところは妥協し早期に、といっても3月頃のようですが、ドイツの政治空転は終わることとなります。この間、高値圏でもみ合っていたユーロドルが、一段高となる可能性があり、これがドル売りとなりそうです。これで3つめです。
米国の政府機関閉鎖、日銀会合、ドイツ連立協議正式開始と、それぞれドル売り、円買い、ドル売り(ユーロ買い)の3つの材料が今週はドルの上値を抑え、円高に動きやすくするものと言えそうです。
次に日足チャートをご覧ください。
先々週の下抜けの後、先週は110円台半ばから後半を中心に狭いレンジでのもみあいとなりましたが、11月高値からのドル安の流れには変化がありません。61.8%押しの110.15ターゲットはほぼ達成していますので、次は大台110円割れ、そして78.6%(61.8%の平方根)押しの108.91をターゲットとすることになります。
ということで、材料的にもテクニカルにも円高の動きを再開しやすいと考え、111.20レベルをレジスタンスに、109.70レベルをサポートともう一段の円高を試す一週間を見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
1月22日(月)
**:** 日銀会合(〜23日)
**:** IMF経済見通し公表
**:** ユーロ圏財務相会議
22:30 米国12月シカゴ連銀全米活動指数
1月23日(火)
**:** 日銀会合結果公表
15:30 黒田日銀総裁会見
18:30 英国12月財政収支
19:00 ドイツ1月ZEW景気期待指数
24:00 米国1月リッチモンド連銀製造業指数
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値
**:** ダボス会議(〜26日)
**:** NAFTA再交渉(〜28日)
1月24日(水)
08:30 (シカゴ連銀総裁講演)
08:50 本邦12月貿易収支
17:00 南ア12月CPI
17:00 フランス1月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ1月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏1月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国12月失業率
23:00 米国11月住宅価格指数
23:45 米国1月MarkIt製造業・サービス業PMI速報値
24:00 米国12月中古住宅販売件数
24:30 米国週間原油在庫
30:45 NZ7〜9月期CPI
1月25日(木)
16:00 ドイツ2月GFK消費者信頼感
18:00 ドイツ1月ifo景況感指数
18:30 南ア12月PPI
21:45 ECB理事会結果公表
22:30 ドラギECB総裁会見
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国12月卸売在庫
24:00 米国12月新築住宅販売件数
24:00 米国12月景気先行指数
1月26日(金)
**:** シドニー市場休場
08:30 本邦12月CPI、1月東京区部CPI
08:50 日銀会合(12月21日)議事要旨公表
16:45 フランス1月消費者信頼感指数
18:30 英国10〜12月期GDP速報値
22:30 米国10〜12月期GDP速報値
22:30 米国12月耐久財受注
前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 111.14 111.48 110.19 110.82
ユーロ円 135.51 136.31 134.98 135.42
ユーロドル 1.2193 1.2323 1.2173 1.2221
日経平均 23827.98 24084.42 23685.02 23808.06
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
1月15日(月)
週明けもドイツ連立協議前進の流れを継続しユーロが一段高、その流れを受けドル円もじりじりと水準を下げる展開となりました。日経平均株価が下げたことも手伝ってドル円は朝方から前日安値を下抜け、その後も戻しらしい戻しが入らないままNY市場の後場には110.33レベルの安値をつけ引けにかけては若干戻す動きとなりました。
1月16日(火)
東京前場こそ実需のドル買いと短期筋の利食いでドル買いが先行しましたが、111円に乗せることもなくその後はじり安の展開を辿りました。NY市場では大幅高となっていたダウが引けにかけてマイナス圏へと沈み込んだことから、NY後場にはあらためてドル売りが入り110.25レベルと前日安値を下回った後やや戻して引けました。
1月17日(水)
ドル円は朝方にユーロドルのストップをつけた動きに追随し110.19レベルの安値をつけましたが、その後はユーロの反落と株高の動きに引っ張られてドル買い戻しの動きが目立ちました。東京後場には110.93レベルまで反発しましたが111円では売りが残っていることから一進一退のままNY後場までもみあい。NYダウが引けにかけて史上最高値を更新する動きとともに111.35レベルまで上昇し高値圏でのクローズとなりました。
1月18日(木)
東京市場前場は前日NY後場のドル買いの動きと日経平均株価が24000円台となったことからリスクオンの動きが続き、昼過ぎには111.48レベルの高値を付けました。しかし、後場に入り株価が急速に切り下げる動きとともにドル円も下落じり安の展開を辿りました。NY市場では暫定予算に対する思惑で上下、当初は政府機関の閉鎖懸念から110.70レベルへと安値を切り下げたものの、その後は楽観的な見通しから111円台に乗せての引けとなりました。
1月19日(金)
ドル円は、米国のつなぎ予算協議が難航し、政府機関が4年ぶりに閉鎖となることを懸念して朝方から上値の重たい展開が続きました。欧州市場序盤には110.49レベルまで水準を切り下げましたが、その後は週末を前に様子見となり110円台後半へとやや買い戻されての引けとなりました。
ディスクレーマー
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