<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、小幅にドル安・円高。週のザラ場ベースでは、昨年11月安値を下回り一時110.19円まで下落する局面も観測されていた。
為替市場は静かなスタート。111.05-10円で寄り付いたのち、ドルはじり安推移をたどるも11月安値110.84円前後では取り敢えず底堅い。しかし、一度底割れすると、そのままズルズルと続落し、週間安値の110.19円を記録している。
ただ、その後は調整の動きなどもあり、ドルはじわりと持ち直し。111円半ば近くまで値を上げる場面も見られたが続かず、週末NYは110.80-85円で大引け、越週となった。
なお、そうしたなか日経平均株価は、18日のザラ場ベースで1991年11月以来、約26年2ヵ月ぶりとなる2万4000円台を一時記録している。
一方、週間を通した主な材料のひとつは、「北朝鮮情勢」。カナダで20ヵ国近くが参加する「北朝鮮の問題をめぐる関係国外相会合」が実施されるなか、五輪選手団派遣など話し合う「南北朝鮮による次官級協議」も開始され、アジア時間を中心に参加者はそれらの動静をにらむ展開に。また別に、米シンクタンクが「北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(SLBM)発射台、改修作業最終段階か」と発表、共同通信による「マティス米国防長官が戦争計画もあると発言していたことが分かった」と報じたことが、一時物議を醸していた。
もうひとつ、話題を呼んでいた材料は、「幾つかの米国ファクター」で、なかでもトランプ大統領の失言もあり「米債務上限問題」が大きく材料視されていた感を否めない。結果として、米大統領自身も懸念していた「米政府機関閉鎖」が現実となり、週明けの金融市場への影響も懸念されている。
<< 今週の見通し >>
昨年11月安値である110.84円を週のザラ場ベースで割り込んだものの、110円割れは回避された。また、週末にかけては111円台を回復するなど、調整の動きも散発的に観測されている。ドルの下落リスクは依然としてくすぶるものの、下値トライは取り敢えず仕切り直しか。先週下げ止まった110.20円レベルはテクニカルにも重要で、容易に割り込むことは難しいとの見方も少なくない。ザックリ言って、しばらくは110-112円程度の揉み合い、新たなレンジを形成する可能性もある。
テクニカルに見た場合、先週のドル安値110.20円レベルは、なかなか重要なレベルとして認識されている。ひとつは、これまでもレポートしてきた「昨年9月安値107.32円を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押しに当たる」ことだが、もうひとつは最新の日銀短観における2017年の大企業・製造業による「事業計画の前提となっている想定為替レート」が110.18円とされるためだ。したがって、心理サポートである110円も含めて、大きく下回るようだと、日本の当局者から「口先介入」などが発せられる可能性も否定出来ない。
それに対して、ドルの上値は週足ベースで見た場合、111.70-112.00円にかけて移動平均や一目均衡表など複数のテクニカルで抵抗が集中しているため、それらレベルではドルの上値も重そうだ。
一方、材料的に見た場合、週末26日の10-12月期GDP速報値など重要な米経済指標が相次ぎ発表されるほか、2、5、7年という短期米国債の入札も実施される予定だ。また、NAFTA再交渉や米企業の決算発表、本稿執筆段階で一部政府系機関が閉鎖されていることを受けた米債務上限問題にも引き続き要注意。
そうした米国ファクター以外で注目されるものは、22-23日に予定されている日銀の決定会合か。年明けから、一部市場筋のあいだで「出口戦略の地ならし思惑を喚起」する動きも観測されているだけに、総裁会見を含め、日銀のスタンスをしっかり確認したいとの声は少なくない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.50-112.00円。ドル高・円安については、週足・一目の雲の上限(111.70-75円)のほか、複数のテクニカルポイントが数多く位置する111.70-112.00円がかなり強い抵抗に。ドルの上値は重そうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値を含めた110.00-20円の攻防を注視。容易に割り込むとは思えないが、下回れば週足・一目の雲の下限が位置する109.10円レベルが次のターゲットとなろう。(了)
オーダー/ポジション状況
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