ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は「8.40レベルをサポートに、ターゲット8.80レベルをレジスタンスとする流れ」としました。実際のレンジは、安値が8.49レベル、高値が9.01レベルと大幅にランド高の週となりました。
先週のランドは、ANC次期議長選においてラマポーザ副大統領が優勢とのニュースから数明けスタートし、大きくランド高で始まりました。その後ラマポーザ副大統領が議長に選ばれたことで利食いどころかランドは一段高となり、ランド円は3月の年初来高値を更新し大台9円をも見ることとなりました。9円の大台は2015年10月以来とユーロ円の高値更新と足並みを揃えた格好です。
最近のズマ大統領がますます不人気であり、その路線を継承するであろうドラミニズマ前アフリカ連合委員長よりも反ズマ大統領派のラマポーザ副大統領への期待が強かったのかがよくわかる結果です。ズマ大統領はゴーダン財務相解任あたりから支持は低下する一方で、直近では汚職に絡んでいるとの話も出て完全に大統領派の任期は凋落傾向でしたが、巷では初の黒人大統領となったマンデラ大統領以来の注目を集めた議長選と言われていました。
今回の選挙について今一度振り返ります。
与党ANCの議長と大統領選にはズレがありますが、ANCが圧倒的な与党であることから2019年の大統領選ではそのまま与党議長が大統領となります(ただし、ズマ大統領が辞任すればラマポーザ大統領誕生は早まる)。そして、今回の議長選ではラマポーザ副大統領とドラミニズマ前アフリカ連合委員長(ズマ大統領の元妻でもある)の一騎打ちの戦いとなりました。今回の選挙では投票権を失った議員が多くほとんどがドラミニズマを支援していた議員であったと言われています。
ズマ大統領の汚職疑惑(実際には疑惑でなく事実)は、根深く南アフリカの議員だけでなく国の隅々まで腐敗していたと言われますし、ズマ大統領は自宅改修の24億円に公費を流用し、在任中に少なくとも20億ドル以上もの公費を各所で流用したと考えられています。それでも不信任投票時点では半数以上が支持したのですから、与党内での力はいまだにそれなりにあると考えられます。政権内ではラマポーザ副大統領派もズマ派も半々ということになれば、政権運営は簡単なものとは言えないでしょう。
最初の試金石が来年2月にある予算案の発表です。その内容を見てムーディーズは格付けの引き下げを行うかどうかの決定をすると考えられています。ラマポーザ議長が南アフリカの財政を立て直す方向性を示せるかどうか、そしてそれに付随してムーディーズの格付けを維持できるかどうか、まだラマポーザ次期大統領の南アフリカが明るいものかどうかはわかりません。いまはご祝儀相場の面もありますので、引き続き南ア情勢には注視です。
さて、今週はクリスマスから年末ということで29日の貿易収支を除くと目立った材料は何もありません。今週はテクニカルにやや長めのチャートを見てみます。週足チャートをご覧ください。
ZAR円 週足
2014年高値10.81と2016年安値6.42との61.8%戻しが9.14となっていて、当面の上値の目途はこの水準(長期チャートなので多少の誤差は考える必要あり)となってきます。いっぽうで、2017年のレジスタンスラインを明確に上抜けてきていますから、下値としては3月に下げて以降の戻り高値であった8.75レベルがサポートとなってきます。
今週は上記の通り、8.75レベルをサポートに、9.15レベルをレジスタンスとする週を考えておきます。
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