トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は「南アランド以上に弱い流れ・・・27.50レベルをサポートに、28.50レベルをレジスタンスとする週」としました。実際のレンジは、安値が27.98レベル、高値が28.75レベルと思いのほか健闘し、予想よりもトルコリラ高の推移を見せました。
先週のトルコ関連のニュースとしては、遅れていたザッラブの裁判が12月5日にも始まるとのニュースです。ザッラブは以前取り上げたことがありますが、米国が制裁しているイランへのマネーロンダリングの主犯で、現在米国で拘留中です。ザッラブはマネーロンダリングにエルドアン大統領が絡んでいることを証言する可能性が高く、米国は既にザッラブと司法取引をしているとの憶測です。
こうした動きにトルコリラは敏感に反応し、週前半には前週安値を割り込んで28円の大台を一時的に割り込むこととなりました。当然エルドアン大統領は関与を否定していますが、週後半にトルコリラが持ち直したのは、トルコではなく円の要因によるところが大きいと言えます。ドル円は週初こそ一時110円台に入り込んだものの、その後は米国上院の税制改革法案可決期待と株高の動きから上下の振れはあったものの、円安の動きとなり112円台後半まで水準を切り上げたことがトルコリラ円にも影響したと言えます。
今週はいよいよザッラブの裁判が始まりますが、エルドアン大統領はもちろんのこと、もし米国が制裁をトルコにまで広げる事態になれば小康状態を保っているトルコリラ円に再び下げ圧力が加わる可能性があり、今後の展開について要注意と言えるでしょう。
またトルコリラにとって良い材料もあります。まだ来週の発表ですが(11日予定)、トルコの今年の経済成長率が驚きのものになると経済相が言及しました。同氏の発言によると目標の4.4%を大きく超えOECD加盟35カ国中トップになるとの予想だそうです。実際に蓋を開けてみないとわからないものの、ある程度数字が固まってきた中での発言でしょうから、悪材料をある程度打ち消す期待となるかもしれません。
しかし、色々な材料がある中で、気になるのはトルコリラ円のポジションです。シカゴの円ポジションを見ても全体的に円売りポジションが高水準にあることはわかりますが、日本がいくら低金利だとは言ってもトルコリラ円のように多くのリスクを抱える新興国通貨に驚くほどの買いが集中しています。
上のグラフは金融取引所「くりっく365」のトルコリラ円の過去1年間の建玉数量(取引所サイトの公開データを利用)を示したものです。ここのところずっと過去最高のトルコリラ買いポジションの記録更新中ですが、先週28日には318,519枚(1枚1万トルコリラ)もの買いに偏っていることがわかります。2月28日に16万枚に乗せたところから9か月でポジション倍増です。
こうした新興国通貨でポジションが偏っている状況は、おそらく他のFX業者でも同様であると考えられ、くりっく365は東京市場におけるトルコリラ円の縮図であることを考えると、どこかで大きく史上最安値を更新していくような動きが出て来るような気がしてなりません。きっかけとしてザッラブ裁判がエルドアン大統領の退任といったことにまで繋がるリスクも考えておくべきかもしれません。
いつもの4時間足チャート(上かトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)もご覧ください。
トルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円 四時間足
先週安値でいったん目先の底を打った感はありますが、トルコリラを取り囲む情勢としては安心できる状態で無いことはたしかです。トルコリラが買われる局面では引き続き対ドル、対円ともに戻り売りが出て来る流れは続きます。
今週も戻り売りスタンスで臨み、28.10レベルをサポートに、29.10レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
テクニカルにも心理的にも8円の大台は上値が重たくなりやすく、13日安値7.75を試しやすいのが今週だと考えています。基本は戻り売り、大台8.00レベルをレジスタンスに、7.75レベルをサポートとする流れを見ておきます。
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