トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は「上値が重たい展開を考えたほうが妥当、上値は先週の高値圏に近い29.75レベル、サポートはチャンネル下限に近い28.75レベルをサポートとする週」としました。実際のレンジは、安値が28.80レベル、高値が29.47レベルと、予想以上に上値が抑えられた週となりました。
先週の材料は、良い材料も悪い材料もありました。良い材料としては18日にムーディーズが年間信用分析報告書において「トルコの耐性ある経済成長と公共債務基準の管理性」と言及し、トルコに対して良い評価を与えています。いっぽう悪い材料としてはNATO軍(トルコも加盟)が、エルドアン大統領をNATO軍の敵と言ったことからトルコが演習から撤退するという事件がありました。NATO軍はトルコに謝罪しましたが、エルドアン大統領はその後もNATOへの反発を強めています。
しかし、こうした材料はトルコリラにはあまり目立った変化を与えず、トルコを取り囲む情勢は一部再開したものの米国のビザ発給停止問題以降、ネガティブなニュースに反応しやすいことからNATO問題が尾を引いているという印象です。また、いつも言っていることですが、エルドアン大統領がトルコ中銀の高金利政策がインフレの原因と批判したこともトルコにとってはネガティブな材料と捉えられたようです。
今週は経済指標は目立ったものは無く、引き続きエルドアン大統領を主役とした政治的な材料がトルコリラに影響を与えそうです。大統領は米国がシリアのテロ組織に資金援助をしていると述べていますが、そのこととも関連して大統領は22日に訪ロして、プーチン大統領、イラン大統領とシリアについての協議を行うこととなっています。
大統領は13日にも訪ロしたばかりで、今年すでに6回目の訪ロとかなりロシアとの距離を縮めていますが、こうしたことも今後の米国や欧州との関係に影響を与えそうですし、市場関係者としてはエルドアン大統領関連のニュースは、基本的にトルコリラ売りで反応しやすいと考えている節があります。
さて、今週ここまでの内容はトルコ中銀のニュースを除いて、「トルコ・ラジオ・テレビ協会」(http://www.trt.net.tr/japanese/)のサイトを参考にしました。6日のトルコリラ円レポートで、トルコ関連の情報収集サイトとして「NPO日本イスラム連盟」(http://www.jisl.org)を紹介しましたが、本日の「トルコ・ラジオ・テレビ協会」もトルコ関連のニュースを一覧するには便利なサイトです。
米ドルやユーロといった主要国の通貨と異なり、どうしても新興国通貨の情報は新聞サイトや各種情報ベンダー(ロイター、ブルームバーグなどのニュースサイト)だけでは少ない上に、入ってくるときには遅れがちなものが多く、なるべくアンテナを広げているしかないのですが難しいものがあります。
それ以外には、シンプルに「トルコ」、「トルコリラ」、「トルコ中銀」、「エルドアン」などトルコリラに影響を与えそうなキーワードで、期間を限定して検索するといったあたりでしょうか。あとは、英語に不自由しない方でしたら、英語のニュースサイトやこうした単語を英語で検索するとより多くの情報にあたるのではないかと思います。
さて、トルコリラは依然として対ドル、対円ともに弱含みの流れが継続していますが、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)も見てみましょう。
トルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円 四時間足
先週と同じ下降チャンネルを残してありますが、依然として下降チャンネルの中でのトルコリラ安が続いています。ここ3週間は補助的に引いたレジスタンス(ピンクの点線)が既に上値を抑えるレジスタンスとなっています。
先週あたりからドル安の流れから円高の動きが出てこれもトルコリラ円の売り圧力となっていますが、今週は週初からユーロが下げていて、このあたりもトルコリラ売りの材料となってくる可能性もあります。なかなかトルコリラの買い材料が出ずにずるずると下げていますが、上記チャートから判断すると今週は29.20レベルが上値を抑えられやすい水準となっています。
いっぽう下値は既に最安値を抜けてきている中、目立ったサポートがありませんので、下降チャンネルの下限にあたる28.40レベルをターゲットとしやすい流れにあると考えられます。今週も上値が重たい流れを考え、上記28.40レベルをサポートに、29.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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