ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は「上値が重たい展開を考え、8.18レベルをサポートに、8.38レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.93レベル、高値が8.33レベルと、大きくランド安が進み8円の大台をも割り込む動きとなりました。
先週は、25日欧州市場までは動意薄で8.23〜8.33でのもみあいとなっていましたが、南アフリカのギガバ財務相による中間予算演説において、増税という言葉が出ないいっぽうで国策企業の救済は行うとのことで、赤字拡大不回避といったことでランドに売りが集中した結果です。
更に来月(11月24日)にはムーディーズの格付け見直しがありますが、ギガバ財務相自らが格付けに対してネガティブなアウトルックを示していることで、一気に8円の大台を割る結果となりました。ドルランドでも大幅にドル買い・ランド売りが進み14.0の大台を上抜け年初来のドル高値・ランド安値を更新しています。
ここのところ、政治面では汚職絡みでランド売りが入り、今回は財政面で売りが入った格好ですが、このままでは来月の格付けでムーディーズがBaa3(BBB−相当)からBa1(BB+相当)への格下げがほぼ確実な状態で、既に4月にBB+へと格下げしているS&Pとともにジャンク債となります。
ロイターの報道によると11月24日はムーディーズだけでS&Pの見直しもあるようですから、思惑的にも今後1か月はジャンク債への陥落懸念によるランド安が続きそうですし、12月には与党ANCによる次期代表を決める大会も控えています。来月は改めて政治的な材料も出てきそうで、年内は南アフリカもランドも苦境に立たされる流れとなりそうです。
ただ、ジャンク債と言えば一足先にジャンク債となっているトルコが参考になります。しかもムーディーズの格付けはBa1であり、見通しもネガティブ(今年3月に安定的からネガティブに)と、現在の南アフリカよりも条件は悪いと言えます。それでも3月以降9月下旬までは緩やかなドル安・トルコリラ高を示していたことを考えると、噂の内に動いて実際のニュースでは既に動いた後ということもあり得るでしょう。引き続き南ア政府がどのように対応していくのかお手並み拝見です。
さて、今週の南アフリカですが、31日に貿易収支の発表がある程度で材料としては目立ったものがありません。どちらかというと、対ドル、対円とも大台替わりを見せた後ということで、テクニカルな要因の方が大きいと考えられます。今週は大局を見るため、まずランド円の週足チャートからご覧ください。
ランド円週足
2016年の史上最安値6.42から今年の3月には8.95まで回復していましたが、その後は高値を切り下げ、先週安値は年初来安値の7.88に迫る動きを見せました。この7.88を割り込んで来るとチャート的にも長期の高値圏を形成するパターンとなりますので、上述した通り年末に向け、半値押しの7.69、そして61.8%押しの7.39といった水準がターゲットとなってきます。ターゲットはともかく、トリガーとなる年初来安値の7.88までは距離がありませんので警戒態勢で臨みたいところです。
いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)もご覧ください。
ランド円、ドルランド、ドル円 四時間足
下の方に引いたピンクの太線が年初来安値の7.88となり、先週はギリギリでついていないことがわかります。またその上にあるピンクの細線は10月9日安値の8.11です。同水準を下抜けたことで目先の下げが加速した水準と考えられます。
今週ですが、現在では8.0円の大台は回復しているものの、年初来安値をトライしやすい地合いで10月9日の安値水準をレジスタンスとする可能性も高いのではないかと見ています。今週は、多少の誤差も考え8.15レベルをレジスタンスに、年初来安値をトライし7.85レベルをサポートとする週を見ておきます。
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