ドル円今週の週間見通し(週報10月第五週抜粋)

先週は、株価上昇と米金利上昇がドル買い要因となりましたが、週後半はECB理事会がユーロドル急落のきっかけとなり、ユーロ売り・ドル買いの動きもドルを下支え

ドル円今週の週間見通し(週報10月第五週抜粋)

今週の週間見通し

先週は、株価上昇と米金利上昇がドル買い要因となりましたが、週後半はECB理事会がユーロドル急落のきっかけとなり、ユーロ売り・ドル買いの動きもドルを下支えする結果となりました。米韓合同演習後は北朝鮮動向が落ち着いていることも目先のリスクオフの動きを消し去っている様子です。

また先週あたりから次期FRB議長の人選が賑やかになってきましたが、タカ派と見られるテイラー・スタンフォード大教授より、中立であるパウエル理事の昇格の可能性も高まっています。ハト派であるイエレン議長のここに至るまでの手腕の評価も高く、現状では誰がなってもおかしくはない状況となっています。金融政策に対しては三者三様ですが、既にFRBの引き締め路線はコースが定められているわけですから、誰が指名されたとしても言われるほど急激な変化は考え難いところです。現段階では短期的な変動要因に過ぎないと考えた方が良いと思います。

さて、今週は最も注目度の高い経済指標である米国雇用統計が発表されます。東京市場が祝日で休場となることもあり、参加者が少ない中での動きは気になるところです。また、米国雇用統計に前後してドルが高値をつけやすいというアノマリーがあり、それを考えると114円台はいったん高値圏となる可能性が高く、木曜までの値動きには注意が必要です。

前回9月分の雇用統計では、ハリケーンの影響もありNFP(非農業部門雇用者数)が2010年9月以来のマイナスとなりましたが、ドルは思いのほか強く総合的に判断してまだ十分に強いという判断をした様子でした。結局は、その時点の高値は10月20日まで上抜けせず、アノマリーを気にする向きの動きも影響したのではないかと考えています。

今回10月分の予想から重要度の高い項目をピックアップしてまとめると以下のようになっています。

項目     前回    今回予想(予想レンジ)
失業率    4.2%   4.3%(4.2〜4.4%)
NFP(,000) −33   +323(+200〜371)
平均時給  +0.5%   +0.2%(0〜+0.5%)
週労働時間  34.4   34.4(34.4〜34.5h)
労働参加率  63.1%   63.0%(63.0〜63.1%)

前回はNFPのみならず、失業率自体も2001年2月以来と記録的な数字となりましたが、今回は前回のハリケーンによるマイナス分の反動も加わり、NFPがコンセンサス+32.3万人とこれも久しぶりの大幅増の予想となっています。

前回が特殊要因があっただけに前月の修正増減分も不透明ですからと今回の結果とで合わせてどの程度になるか2か月での判断は欠かせません。しかし、荒れそうな予想ですね。ただ、最近のNFPは失業率自体が米国では完全雇用とも言える状況下、着実の増加数は鈍化傾向が見られます。最近の平均的な水準を大雑把に+15〜20万とすると、2か月で+30〜40万といったあたりでしょうか。個人的にはこの数字から大きく外れなければ順当な結果と考えて良いと考えています。果たして雇用統計アノマリーの再現となるか、今週最大の注目材料であることは間違いありません。

次にテクニカルな観点から考えます。今回は到達確率チャートでも使っている1時間足チャートからご覧ください。

今週の週間見通し

先々週の金曜以降はピンクの平行線で示した上昇チャンネルの中を安値・高値ともに切り上げる展開を続けています。現状はサポートラインが113.50前後を上昇中ですが、かなり近い水準に位置していることを考えると、いったん先々週月曜の安値111.65から始まった上昇トレンドに調整が入りやすい地合いとなってきたと考えられます。

その場合の最初のターゲットとしては、安値111.65と先週高値114.45との半値押しの水準にあたる113.05となります。それでも113円を割り込み112円台ではまだ買いたい向きもいるでしょうから、下値の目途としては61.8%押しとなる112.72が妥当な水準と言えそうです。いっぽうで、114円台ではまだ売りも多く残っているようですから上値は114円台半ばが引き続きレジスタンスとなってくるでしょう。

今週もテクニカルな観点をメインに、雇用統計アノマリーも考え、112.70レベルをサポートに、114.40レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

10月30日(月)
**:** 日銀会合(〜31日)
16:00 ドイツ9月小売売上高指数
17:00 スペイン7〜9月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10月消費者信頼感確報値
21:30 米国9月個人所得・消費支出
22:00 ドイツ10月CPI速報値
23:30 米国ダラス連銀製造業活動指数

10月31日(火)
08:30 本邦9月失業率、有効求人倍率
09:00 NZ10月ANZ企業信頼感
09:01 英国10月GFK消費者信頼感
10:00 中国10月製造業・非製造業PMI
**:** 日銀会合結果公表
15:30 黒田日銀総裁会見
15:30 フランス7〜9月期GDP速報値
16:00 トルコ9月貿易収支
18:15 イタリア中銀総裁講演
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値
19:00 ユーロ圏9月失業率
21:00 南ア9月貿易収支
21:30 米国7〜9月期雇用コスト指数
22:00 米国8月ケースシラー住宅価格指数
22:45 米国10月シカゴ購買部協会景気指数
23:00 米国10月消費者信頼感指数
**:** FOMC(〜11月1日)

11月1日(水)
06:45 NZ7〜9月期失業率
10:45 中国10月MarkIt製造業PMI
18:30 英国10月製造業PMI
21:15 米国10月ADP全国雇用者数
22:45 米国10月MarkIt製造業PMI確報値
23:00 米国10月ISM製造業景況指数
23:00 米国9月建設支出
23:30 米国週間原油在庫
27:00 FOMC結果公表
29:15 カナダ中銀総裁議会証言

11月2日(木)
09:30 豪州9月貿易収支
17:50 フランス10月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ10月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ10月失業率
18:00 ユーロ圏10月製造業PMI確報値
18:30 英国10月建設業PMI
20:30 米国10月チャレンジャー人員削減予定数
21:00 英中銀MPC結果発表、四半期インフレ報告
21:30 米国7〜9月期単位労働コスト速報値
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 パウエルFRB理事講演

11月3日(金)
**:** 東京市場休場
07:15 (アトランタ連銀総裁講演)
09:30 豪州9月小売売上高
10:45 中国10月MarkItサービス業PMI
16:00 トルコ10月CPI
18:30 英国10月サービス業PMI
21:30 米国10月雇用統計
21:30 米国9月貿易収支
23:00 米国10月ISM非製造業景況指数
23:00 米国9月製造業受注指数
23:45 米国10月MarkItサービス業PMI確報値
25:15 ミネアポリス連銀総裁講演
29:15 クーレECB理事講演

11月5日(日)
 **:** 米国市場冬時間移行

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