トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は「大台30.00レベルをサポートに、31.00レベルをレジスタンス」とする流れを見ていました。実際のレンジは、安値が30.38レベル、高値が30.96レベルと、前週のトルコリラ急落後の動きにも関わらずトルコリラが健闘した印象でした。
先週は、トルコリラ自体には目立った材料はありませんでしたが、前週の米国とトルコの相互ビザ発給停止後の混乱を乗り越え、またビザ再開に関しての糸口も示されたことから比較的安定した動きになったと言えます。ビザ再開に関しては、前週のトルコ副首相の発言後に米国の外交代表団がトルコの首都アンカラ入りし協議していましたが、米国との対立姿勢を緩める気が無いエルドアン大統領がどのように動くのかは懸念材料です。
また、先週末にトルコにとって良くない材料が2つ入ってきました。ひとつは、EU首脳会議において「加盟候補国としてトルコに拠出する支援金について、削減を含めた検討を進めるよう欧州委員会に求めた」というニュースです。これはトルコのクーデター未遂事件以降、トルコとEUとの関係悪化が直接的な要因と言われますが、実際にEU加盟の目途が立たない状況では支援金削減の実施は不可避に思えます。
もうひとつのニュースは「アメリカ政府がトルコの6つの銀行に対して、イランに対する経済制裁を破ったとして、罰金を果たす方針」というものです。このニュースはトルコ側は否定していますし、あまり目立ったニュースにもなっていないのですが何らかの動きはあると考えた方が良さそうです。このことがまた米国とトルコとの関係悪化につながる可能性もあり、現在のトルコは外交問題で大きな問題を抱えていると言えるでしょう。
また、今週はトルコ中銀の政策金利発表が26日に予定されていますが、政策金利を含め主要な指標金利はすべて据え置きが予想されていて、これに関してはサプライズは無いものと思われます。
今週の早朝市場では衆議院選で与党が圧勝したことから、ドル円、クロス円は全般に円安の動きとなっていましたが、トルコリラ円だけは動かないどころかやや売られてのスタートとなりました。これは、ドルトルコリラの売りの影響が大きいのですが、きっかけはビザ問題に加えて、さらに上記2つのトルコが抱えている外交問題によるものと考えられます。
それでは、チャートもご覧ください。4時間足チャート(上からトルコ円、ドルトルコリラ、ドル円)です。
トルコ円、ドルトルコリラ、ドル円四時間足
ビザ発給停止によりギャップダウンした水準を黄色のラインマーカーで示してありますが、ギャップの下限に近付き埋めるかと思うと下げる、という動きになっています。今朝の動きも先週金曜にわずかにギャップ内に入り込んだところで、トルコの外交問題から上値を抑えられた格好となっています。
現在もまだ30.96〜31.36の40銭がギャップとして残っていますが、このギャップを完全に埋めることはなかなか難しそうな値動きを続けています。ドル円がリスクオン相場で円安に動いているもののドルトルコリラは2週間前のトルコリラ安値(3.8100)を、どこかで再度試そうというような雰囲気でじり高の流れとなっています。
今週のトルコリラ円は引き続きトルコの外交問題が上値を抑える展開を考え、大台30.00レベルをサポートに、31.00をレジスタンスとする流れを見ておきますが、米国とのビザ再開のニュースが出る時には、ギャップを埋めに31.36をターゲットとする流れになりやすいことも頭の片隅に入れておきましょう。
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