ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は「8.20レベルをサポートに、8.60レベルをレジスタンスとするもみあいの週」としました。実際のレンジは、安値が8.31レベル、高値が8.71レベルと、予想よりもわずかにランド高での推移となりました。
先週のランド円は、前週のコメントにも簡単に触れましたが、米系金融機関によるランド売り推奨に対して、IMFが南アフリカに対して成長率の上方修正を行ったことから、内容自体はややポジティブ程度だったものの、結局はそれをきっかけとして反転上昇したという流れとなりました。
また、先週発表されたCPI、PPIは予想よりも低くインフレ率が収まっているという南アフリカにとっては大きく改善する数字となり、政策金利も現状維持となっています。いっぽうで政治的にはズマ大統領解任の話はランドにとって悪材料でしたが、最終的には続投と見る向きが多かったことでランド売りには繋がりませんでした。
そして、週末の28日には与党ANCの執行委員会はズマ大統領の不信任決議は行わない方向でまとまりました。ちなみに不信任の動議について意思表明をした72人のうち、賛成18、反対54と動議反対が圧倒的に多く、当面の政治的な不安は去ったと言えそうです。なお、この件について与党ANCは本日29日に会見を開く予定となっています。
今週は、ズマ大統領続投を受け週初の南アランドは対ドル、対円で上昇してのスタートとなっていますが、解任動議に至るまでゴーダン前財務相の解任をはじめ、ズマ大統領による強権政治に対する不満も多く、引き続き安心とばかりは言えない状況です。今週の南アフリカの材料はマネーサプライと貿易収支程度で目立ったものがありませんし、ドルの材料としては週末に米国雇用統計と大きなものが控えていますので、大きくは動きにくい週と言えます。
それでも、直近のランド高の水準を上抜けてきたことはテクニカルには重要ですし、ポジション的にも米系金融機関の推奨によるランド売りの巻き返しが一部出て来ることも考えられ底堅い値動きをしやすいと言えるでしょう。
いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。
ランド円、ドルランド、ドル円四時間足
今週は少し大きめに(期間を狭く)表示しましたが、短期的にはランド円もドルランドも先々週のランド安水準からきれいな上昇トレンドとなっていて、ピンクの平行線で示したチャンネルの中での推移となっています。
ランド円日足
ランド円の日足チャートもご覧ください。
こうして見ると、長期的にも4月安値7.90と5月安値8.12を結んだサポートラインと平行に引いた上昇チャンネルは4月高値と5月高値を結んだラインと一致します。若干の不安点があるとすると、3月高値8.98と4月安値7.90の78.6%(61.8%の平方根)の水準に到達している点ですが、逆にここを抜けると100%戻しとなる8.98を視野に入れた買いが継続することとなります。
今週は政治的な不安がいったん遠のいたことからランド円は押し目買いが出やすいと判断し、8.55レベルをサポートに、8.85レベルをレジスタンスとする流れを見てくこととします。
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