南アフリカランド上昇、与党ANCズマ大統領罷免検討報道に
報道きっかけに南アフリカランド急騰
昨晩Bloombergが報じた南アフリカ与党ANC(アフリカ民族会議)が5月26日-28日の会議でズマ大統領の罷免のオプションを議論する予定とのニュースに、南アフリカランドが上昇しています。
南アフリカランド(ZAR)は対ドルで昨晩13.30レベルから13.05へ対円では8.35から8.55まで上昇、本日東京時間はその後ANCのスポークスマンが報道を否定した事もありやや戻しての推移となりましたが、欧州時間には入り再度南アフリカランド買いが強まっており、夕刻に一時13.00を割り込む動きとなりました。
与党内にもズマ大統領排除の動きか
南アフリカではこの3月にズマ大統領が市場の信任の厚かったゴーダン財務相を解任した事をきっかけに混乱が拡大。4月上旬までにS&P、フィッチが相次いで南アのソブリン格付けをジャンク級に引き下げており、現在ムーディーズも格下げ方向で見直しを継続中。ANC内部でも経済的混乱を招いたズマ大統領に対して反発する動きが強まっていることは事実です。
諸悪の根源である「専制君主」ズマ大統領さえ排除できれば資源価格が回復している中、飢饉から脱しインフレも低下しつつある南アフリカの未来は明るい、との構図は分からないでもありません。
与党分裂による政治的混乱の拡大、ムーディーズのレーティング等の悪材料も 飢饉脱出でインフレは沈静化
ただ、今回の報道に関しては続報もなく、また仮にANC内部で話し合いがもたれるのが事実だとしても、罷免には至らないとの見方も強く、むしろANCの内部分裂が政治的な混乱を拡大させる可能性は高いと思われます。かつ、本日は最大の貿易相手国の中国がムーディーズにより格下げされ、南アフリカ格下げも間近との観測もあり、外部環境は必ずしもよくありません。そういった中でのランド買いにはやや違和感を感じる部分もあります。
先ほど発表となった南アフリカの4月の消費者物価指数は前年比5.3%と南ア中銀の3-6%のインフレ目標値に入ってきています。南アは昨年の大飢饉から一転して今年の穀物の収穫は81年以来の豊作となるものと見込まれており、食料価格の低下に急速にインフレは沈静化しつつあります。
明日には南ア中銀の政策決定会合があり、その後に上記のANCミーティングが予定されているなど今週は南ア国内の動きから目が離せない状況が続きそうです。
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