トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は引き続き上値の重たい展開が続きやすいと考え「29.20レベルをサポートに、30.20レベルをレジスタンスとする流れ」としました。実際のレンジは、安値が29.17レベル、高値が30.07レベルと、ほぼ予想のレンジ内で最近のトルコリラ円としては比較的狭い値動きの週となりました。
先週は、トルコの憲法改正国民投票において大統領の権限強化が賛成多数で決まりました。これにより首相職は廃止、エルドアン大統領が国家元首としての大統領兼行政のトップとなり、最長2029年までの長期政権となります。憲法改正後の大統領の権限は他国に比べても圧倒的に強く、閣僚任命、議会解散、判事任命をはじめ広範な権限に及びますので、これまでの独裁体制が、憲法によって裏付けられ強化されることとなります。
今回の国民投票では、エルドアン大統領に権限が集中し過ぎるということ以上に、今後の大統領にも同じ権限が与えられることとなるため、将来就任するであろう大統領に対する不安も強かったようで僅差での賛成多数(51.4%)となりました。
エルドアン大統領は、今回の憲法改正の勝利宣言では自画自賛とともに国内が安定するとのコメントを出してはいるものの、トルコ国内の経済状況がこれで急に好転するとも思えず、政治的には内外ともに不安を抱える状況にも変化はありません。これまでの経過からユーロへの加盟も一段と遠のいたと考えざるを得ない状況です。
こうした材料だけからは、明らかに戻り売りというスタンスが継続するという見方でよかったのですが、昨日行われたフランス大統領選の結果からクロス円全般に大きな変化が出ています。フランス大統領選の結果自体は、マクロン前経済相とルペン国民戦線党首による決選投票と予想通りの結果となりましたが、一部で可能性は低いものの極右ルペン候補+極左メランション候補の組み合わせという懸念もあったために、週明けの為替市場は極端なユーロ高とリスクオンの動きで始まりました。
ユーロドルは先週末から200ポイントもの上昇、ドル円まで1円の上昇ですからユーロ円は暴騰とも言える値動きとなり、それに伴いクロス円全般が大幅に上昇しています。これは早朝の株価指数が大幅高となっていたことも大きいのですが、さらにトルコリラや南アフリカランドといった新興国通貨は逆にドル売りと正反対の動きとなっていて、いわゆる高金利通貨買い+低金利通貨売りの定石通りのリスクオン相場です。
トルコリラは、週末終値の3.6390レベルから3.5985レベルまでトルコリラ高・ドル安の動きとなり、結果としてトルコリラ円は週末終値の29.95からギャップアップして30.63での週初スタートを切っています。ドル円の円安とトルコリラのリラ高と双方の要因が重なったとはいえ、フランス大統領選がきっかけとなってのリラ高というのは想定外であった参加者が多かったかと思います。
今週のトルコでは26日にトルコ中銀による政策金利発表がありますが、現在の指標は後期流動性貸出金利となっていて3月の会合で同金利を11.00%から11.75%へと上げた直後ですが、3日に発表されたCPIが11.3%とかなり高水準であり、前回の会合でもインフレに対する警戒感を引き続き示しているため、今回は現状維持となる可能性と更に利上げを行う可能性と五分五分ではないかと見ています。
それではいつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
トルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円 四時間足
トルコリラ円はギャップアップし30円の大台乗せとなっていることがわかります。2月高値31.70と4月安値28.76の半値戻し30.23を通り抜けての上昇です。ただ、フランス大統領選という外部要因で上がっていることを考えると、このまま上がり続けるとも思えません。ユーロが落ち着いて来れば週末のギャップを埋めに来る動きが予想されます。
今週は大台30.00レベルをサポートに、30.80レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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