ドル円は買われる水準は戻り売り(週報4月第四週)

週末明けの為替市場では、投票を締め切った(日本時間午前3時)直後から出口調査の結果(ルペンとマクロンが1、2位接戦)が予想通りとなり、

ドル円は買われる水準は戻り売り(週報4月第四週)

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値     高値     安値     終値
 
ドル円   108.31   109.48  108.13  109.09
ユーロ円 114.92  117.83   114.85   116.95
ユーロドル 1.0610   1.0777  1.0609   1.0726
日経平均 18239.84 18648.28 18224.68 18620.75

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

4月17日(月)

東京市場では先週に続きリスクオフの流れから株安、円高の動きとなりドル円は前場に108.13レベルの安値を付けました。その後は欧州がイースターでほぼ全休場となる中後場遅い時間になってユーロに実需買いが入り、市場が薄い中でユーロが対ドル、対円で上昇。NY市場ではダウが大幅高となったことを受け、リスクオフの巻き返しでドル円は119円台に乗せ、引けにかけてはやや押してのクローズ。ムニューシン財務長官は長期的なドル高はよいとの発言をしましたが、従来からの発言と同様で短期的な見解と長期的な見解が異なることを改めて確認した程度で目立った影響は見られませんでした。

4月18日(火)

東京市場では株安も手伝って前日リスクオフの巻き返し(円売り)に対する調整から再び円買いの動きが見られました。全般に動意薄のまま海外市場入りとなりましたが、英国のメイ首相が6月8日に総選挙を行うとの発言にポンドが急騰、それにつられてユーロ買いの動きとなり、ドル円は売りと連鎖的にドルが売られる展開となりました。現状ではメイ首相率いる保守党が有利でEU離脱の流れに変化は無いとの判断と、政権安定と見ての上昇でしたが、株式市場は下落し異なった反応となりました。

4月19日(水)

東京市場では、株価が強かったことと米長期金利がじり高となったことからドル円は買い戻しの動きが続きました。ドル買いの動きはNY市場後場まで続き109.18レベルの高値をつけましたが、週間石油在庫の発表を受け原油価格が急落、その動きからダウ、日経先物に売りが入ったことでドル円にも売りが入り108.85レベルでのクローズとなりました。いっぽうユーロドルは、前日のポンド急騰の影響で上昇後は若干下押ししたものの高値圏でのもみあい、週末のフランス大統領選を控え徐々に様子見の参加者が増えてきました。

4月20日(木)

東京市場ではNY後場に押しが入ったこともあって、株価の上昇とともにドル円はドル買いの動きが見られましたが、後場に入ると売りも出て方向感の無いままに海外市場入り。欧州市場ではユーロドルが直近高値を超えたところでストップの買いが出たことからユーロが対ドル、対円で上昇し一時ユーロドルは1.0777レベルの高値をつけました。NY市場では黒田日銀総裁の出口戦略を考えていないとの発言をきっかけにドル円は再び上昇、109.48レベルの高値をつけやや押してのクローズ。ユーロドルはドル円でのドル買いに歩調を合わせ東京市場の水準に押しての引けとなりました。

4月21日(金)

週末のフランス大統領選を前にポジション調整程度に終始し、ドル円はドルの上値が重たい展開、ユーロドルも万が一の決選投票リスク(1位ルペン、2位メランション。詳細は金曜のFX羅針盤コラム参照)を嫌気して、上値が重たい地合いでの週末クローズとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

4月24日(月)
17:00 ドイツ4月ifo企業景況感指数
21:30 米国3月シカゴ連銀全米活動指数
23:30 米国4月ダラス連銀製造業指数
24:30 ミネアポリス連銀総裁講演

4月25日(火)
**:** NZ、豪州市場休場
15:45 フランス4月企業景況感指数
22:00 米国2月住宅価格指数
22:00 米国2月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国3月新築住宅販売件数
23:00 米国4月消費者信頼感指数
23:00 米国4月リッチモンド連銀製造業指数

4月26日(水)
**:** 日銀金融政策決定会合(〜27日)
10:30 豪州1〜3月期CPI
15:45 フランス4月消費者信頼感指数
18:30 南ア3月PPI
20:00 トルコ中銀政策金利発表
23:30 米国週間原油在庫

4月27日(木)
**:** 南ア市場休場
**:** 豪中銀総裁講演
10:30 豪州1〜3月期輸入物価指数
**:** 日銀金融政策決定会合結果公表
15:00 ドイツ5月GFK消費者信頼感
15:30 黒田日銀総裁会見
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感確報値
20:45 ECB理事会結果公表
21:00 ドイツ4月CPI確報値
21:30 ドラギECB総裁会見
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 米国3月住宅販売保留件数指数

4月28日(金)
07:45 NZ3月貿易収支
08:01 英国4月GFK消費者信頼感
08:30 本邦3月失業率・有効求人倍率
08:30 本邦3月CPI、4月東京区部CPI
10:00 NZ4月企業信頼感
10:30 豪州1〜3月期PPI
14:30 フランス1〜3月期GDP速報値
15:45 フランス4月CPI速報値
16:00 トルコ3月貿易収支
17:00 スイス中銀総裁講演
17:30 英国1〜3月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏4月CPI速報値
21:00 南ア3月貿易収支
**:** トランプ大統領演説(ライフル協会)
21:30 米国1〜3月期GDP速報値
22:45 米国4月シカゴ購買部協会景気指数
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感指数確報値
27:30 フィラデルフィア連銀総裁講演
**:** 米国2017年度暫定予算期限

4月30日(日)
 10:00 中国4月製造業・非製造業PMI

今週の週間見通し

先週は北朝鮮情勢の緊張の高まりから週初に108.13レベルと昨年11月15日以来の円高水準を見ることとなりましたが、110円を割れてからここに至るまで目立った調整も無かったことから、短期筋の利食いも出て木曜には109円台半ばまで買い戻されることとなりました。週末はフランス大統領選を控えやや上値は重たいものの動意薄で週末クローズとなりました。

今週はユーロを中心にドル円については軽く振れておきましょう。

週末明けの為替市場では、投票を締め切った(日本時間午前3時)直後から出口調査の結果(ルペンとマクロンが1、2位接戦)が予想通りとなり、決選投票はこの上位2者そして3位以下の候補はマクロン全経済相を支持する(世論調査はマクロン候補62%)との流れで、金曜とは反対にユーロが対ドル、対円でいきなり急騰して始まりました。

インターバンク勢は午前4時頃には取引を始めていますので、主要3通貨(ユーロドル、ドル円、ユーロ円)の近いところにあったストップはことごとく付けられてしまったものと思われます。一時的にユーロドルが1.0937レベル、ドル円にいたっては110.64レベルの高値をつけたようなので、ユーロ円も計算上は121.00レベルとなりますが、東京午前6時を過ぎ、各FX業者での取引も始まると徐々に落ち着きを取り戻してきました。

さて、フランス大統領選後のこの大荒れの動きですが、選挙結果が想定通りなのに対して、為替レートは想定以上の動きということで、本日はしばらく荒っぽい動きを続けそうですが、フランス大統領選を前にユーロドル、ユーロ円ともそこまで大きなショートが積み上がっていたとも思えず、今回もこれまで同様ビッグイベントで暴れようという投機的な動きとアルゴリズムによる取引が重なっての急騰相場になったのではないかと考えられます。

5月7日のフランス大統領選決選投票では当初想定されたマクロン候補とルペン候補の組み合わせが確定し、当初の予想通りマクロン大統領誕生の見方でよいはずです。これは長期的にユーロにとっては好材料ではありますが、今週の段階でこのまま買われるかどうかとなると疑問で、今後上値も重たくなってくる可能性は高いと考えています。

ユーロドルの日足チャートをご覧ください。

              ユーロドル日足

              ユーロドル日足

長期的な観点では昨年11月高値1.1299と今年1月安値1.0341との戻しを考えることとなり、61.8%のフィボナッチ・リトレースメントが1.0933とほぼ今朝の高値圏と一致しています。また中期的には、今年2月安値1.0494を起点に3月高値1.0906への上げ、その後の4月安値1.0570への押しをN波動と考えフィボナッチ・エクスパンションを計算すると100%が1.0982となります。先月高値を抜けてきたことから1.08を割り込む水準では押し目買いも出てきそうですが、大台1.10を前に1.09台前半から後半にかけてはテクニカルにいったん引っかかりやすいと見て、1.09台半ばは逆にユーロドル上昇の限界点と考えたいところです。

次にドル円ですが、ユーロ円のストップがあったとはいえ110円の大台をここまで簡単に回復したのは意外でした。先週の108円台前半が短期的な安値となったことも事実ですが、北朝鮮情勢もまだまだ緊張が解けていませんので、市場が落ち着きを取り戻してくれば110円台では売りたい向きも出て来ると考えることが自然です。

こちらはいつもの日足チャートをご覧ください。

近いところでは4月10日高値111.58と先週安値108.14との61.8%戻しが110.27と早朝6時以降(チャートに表示される時間帯)の高値圏にほぼ重なり、その上78.6%(61.8%の平方根)戻しが110.84レベルとなっています。後者は未明乱闘相場よりも上に位置しているものの、ターゲットとしては戻しの限界点と考えられます。いっぽうで、短期的な安値は先週付けたと考えるならば、108円台前半には買いが残っていると言えるでしょう。

今週は、週初は急騰したもののギャップを埋める動きは十分に考えられ、108.90レベルをサポートに、110.90レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

              ドル円日足

              ドル円日足

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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