ユーロ 引き続きユーロドルの上値は重い(週報12月第3週)

ユーロドルのレンジは140pipsとドル円に比べると静かな値動きの一週間という印象で終わりました。

ユーロ 引き続きユーロドルの上値は重い(週報12月第3週)

引き続きユーロドルの上値は重い

〇先週のユーロドル、ECB後に週間安値となる1.0454レベルをつける
〇今週の注目材料は、2025年を通して米金利と欧州金利がそれぞれどの程度下がるのか
〇ECBは1月以降も0.25%ずつ4回連続の利下げ、最終的に中銀預入金利2.0%がコンセンサス
〇米国は年間0.5%がコンセンサスで米欧金利差は0.5%拡大、米ドル買いユーロ売りが加速する可能性も
〇テクニカルには今週は1.0400レベルをサポート、1.0600レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは中国による人民元安容認によるユーロ売り、その後ECB理事会では予想通り0.25%の利下げであったものの、インフレ見通しの引き下げと成長リスクのダウンサイドリスクに言及したことをきっかけにユーロ売りとなり、翌金曜東京市場で週間安値となる1.0454レベルをつけました。しかし、ドル円とともにユーロ円も大きく上昇した一週間となったため、ユーロ売りの動きは相殺されユーロドルのレンジは140pipsとドル円に比べると静かな値動きの一週間という印象で終わりました。

今週は欧州関連では主要国のPMI速報値とECB関係者の発言も多い週ですが、既にECB理事会で0.25%の利下げが行われていること、年明け以降も緩やかな利下げが続くであろうことから、それを否定するような発言が出るとも思えず、ユーロドルは先週に続いてあまり大きな動きには繋がらないと見られます。そうした点ではFOMCにおける金利見通しの発表が米ドルの動きに与える影響として、長期的に2025年を通して米金利と欧州の金利がそれぞれどの程度下がるのかが注目材料です。

まず先週のECB理事会では中銀預入金利が3.25%から3.0%へと引き下げられました。事前には0.5%の大幅利下げという見方もありましたが、ECB関係者がネガティブな印象を与えるとして緩やかな利下げを継続する方針であることを示したため、12月は0.25%利下げ、1月以降も0.25%ずつ下げていくというのが現在のコンセンサスです。そして1月以降も0.25%ずつ4回連続での利下げが行われ、最終的に中銀預入金利は2.0%まで下がるというのが現時点のコンセンサスです。2.5%時点でいったん様子見を挟む可能性もありそうですが、最終的に2%ということになるでしょう。

いっぽう米国は今週のFOMCで0.25%下げて先週のECBに追いつきます。しかし2025年の金利見通しがどの程度引きあがられるのかはわかりませんが、市場参加者は年間で0.5%というのが現在のコンセンサスです。そうなると、2025年を通して米欧金利差は0.5%拡大することとなり、米ドル買いユーロ売りの動きがどこかで加速する可能性もあります。

既にインフレ率は低く景気も今ひとつという状況下、ドイツとフランスの政局が不透明なこともユーロの悪材料となりますし、トランプ大統領就任後に果たしてロシア・ウクライナの停戦につながる動きをするのかどうか、しばらくはこの点もはっきりしないでしょうから、基本的にユーロを買う材料はなかなか見当たらないという地合いが続きやすいことはたしかです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

引き続きユーロドルの上値は重い

先週は短期的に逆ヘッド&ショルダーの可能性も考えましたが、結局抜けられない場合となったことで、改めて前週初の安値1.0462レベルを試す展開となりました。すると次のターゲットは11月安値と12月高値の78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.0396、ほぼ1.04という水準になってきます。いっぽうで上値は引き続き1.06ということになります。

そこまでの値幅は期待できませんが、テクニカルに今週は1.0400レベルをサポートに、1.0600レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円日足のチャートを見ておきます。

引き続きユーロドルの上値は重い 2枚目の画像

先週引いたサポートとレジスタンスのうち、ドル円とともにユーロ円も上昇したことでレジスタンスにかなり近い水準まで上げて来ました。現時点でこのレジスタンスラインは162円台前半を下降中です。ただ、そろそろ反転のタイミングも近いと見て、今週はこのレジスタンスラインを背に売りというイメージを考えています。サポートの水準としては、最初は160円の大台、次が159円水準となります。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月16日(月)
16:15 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:15 フランス12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:45 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
21:00 ベルギー中銀総裁講演
21:30 スペイン中銀総裁講演
25:30 シュナーベルECB理事講演
**:** ドイツ首相信任投票 ☆

12月17日(火)
16:00 英国11月失業率
19:00 ドイツ12月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏12月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏10月貿易収支

12月18日(水)
16:00 英国11月CPI ☆
18:00 レーンECB理事講演 ☆
19:00 ユーロ圏11月CPI
19:00 ユーロ圏10月建設支出
28:00 FOMC結果発表 ☆
28:30 パウエルFRB議長会見 ☆

12月19日(木)
12:00 日銀会合結果発表 ☆
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
16:00 ドイツ1月GFK消費者信頼感
16:45 フランス12月企業景況感
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆

12月20日(金)
16:00 英国11月小売売上高
16:00 ドイツ11月PPI
16:45 フランス11月PPI
22:30 米国11月個人所得・消費支出 ☆
24:00 ユーロ圏12月消費者信頼感速報値 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月9日(月)
ユーロドルは東京昼過ぎにやや売りが出たものの、欧州市場序盤以降はドル円の上昇がユーロ円での円売りにも波及したことからユーロドルも上昇しNY市場では1.0594レベルの高値をつけました。引けにかけてはドル高の影響も出て、東京朝方の水準へと押しました。

12月10日(火)
ユーロドルは東京市場では横ばいのもみあいとなっていましたが、欧州市場に入ると米金利上昇の動きと実需のユーロ売りと見られるユーロ売りが入ったことも重なり、NY市場では一時1.05の大台を割り込む動きとなりました。引けにかけては買い戻しも入り1.05台前半で引けました。

12月11日(水)
ユーロドルは欧州市場序盤に中国が米国による追加関税への対抗を視野に人民元安容認を検討としたことを受け、人民元安の動きとともに豪ドルやユーロの売りも目立ちました。前日安値を割り込んだものの1.05割れでは買いも出て米国CPI直後には1.0537レベルの戻り高値をつけましたが、その後改めて売りも出て1.0480レベルへと安値を更新後に1.0495レベルでの引けとなりました。

12月12日(木)
ユーロドルはECB理事会までは比較的底堅い展開が続いていましたが、予想通り0.25%の利下げとなったものの、インフレ見通しの引き下げと成長リスクのダウンサイドリスクに言及したことで1.0463レベルまで下げ、その後上下はあったものの引けにかけては改めて安値圏へ押す動きとなりました。

12月13日(金)
ユーロドルも上昇、東京市場までは前日のECB理事会後の下げの動きが続いていたものの週末前のポジション調整による買い戻しが欧州市場以降出ていたこと、またドル円とともにユーロ円が上昇したことがユーロドルを下支えする要因となりました。

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