ユーロ ユーロの上値が重たい流れが続く(週報12月第1週)

ドル安の流れの中でユーロドルは買い戻し、ユーロ円はドル円とともに下げる動きの一週間となりました。

ユーロ ユーロの上値が重たい流れが続く(週報12月第1週)

ユーロの上値が重たい流れが続く

〇先週のユーロドル、ドル安の流れの中でユーロドルは買い戻し、ユーロ円はドル円とともに下げる動き
〇12月ECBでの0.5%大幅利下げ思惑も出て、何らかの材料が出てくれば改めてユーロ売りの動き
〇FOMCは0.25%利下げ織り込み度65%、FRB動かずECB0.5%利下げならサプライズでユーロ売り強まる
〇日銀利上げ思惑高まる、12/19日銀会合で0.25%利上げならユーロドル以上にユーロ円の売り強まる流れ
〇テクニカルには2022年安値と2023年高値の61.8%押し1.0200をターゲットにした動き継続中
〇今週、上値重いが急激な動きは考えず、1.0400レベルをサポート、1.0600レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルはドル円が週前半はドル売り、週末に向けては円買いと円材料が目立っていた一方でユーロの材料は、ECB理事会での利下げ思惑、ドイツの流動的な政局、ウクライナ情勢を反映した地政学的リスクとユーロ売り材料自体には大きな変化が見られなかったため、ドル安の流れの中でユーロドルは買い戻し、ユーロ円はドル円とともに下げる動きの一週間となりました。

しかし、ユーロ材料の中でも来週12日のECB理事会では0.5%の大幅利下げが行われるのではないかとの見方も出て来ているため、来週に向けて大幅利下げに関して何らかの材料が出てくれば改めてユーロ売りの動きが出てくると見られます。来週のECB理事会を皮切りに再来週のFOMC、日銀会合と主要3極はどこも政策金利を変更するという見方が強まっています。ECBは0.25%であれば現状FOMCでの0.25%利下げ織り込み度が65%となっているため金利差は変わりませんが、もしFRBが動かずECBが0.5%となる場合にはサプライズでユーロ売りが強まる流れになるでしょう。

また先週から急速に日銀利上げの思惑が高まり、金曜の東京CPIと植田総裁発言で日銀は19日に0.25%の利上げに動くという見方の方が今は増えてきている様子で、そうなると日欧金利差は状況によっては0.75%縮小する可能性もあり、その場合はユーロドル以上にユーロ円での売りがワークするという流れが強まるかもしれません。ユーロ円の分析は今週のコラムをご覧ください。

今週は月初で最大の注目材料は米国の一連の雇用関連指標となりますが、欧州関連では速報値が軒並み悪かったPMIの改定値がどうなるかを中心に連日経済指標が出てきますので、来週に向けて念の為注意しておきたいところです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロの上値が重たい流れが続く

まだ明確ではありませんが年初来高値から想定される平行下降チャンネルを引いてみました。現在はこのチャンネルの中で先週見た2022年安値と2023年高値との61.8%押しとなる1.0200をターゲットにした動きを継続中と見てよさそうです。も度rは11月後半の戻り高値1.06水準を見ています。
今週は上値は重たいものの急激な動きは考えず、1.0400レベルをサポートに、1.0600レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週は日独金利差とユーロ円日足のチャートを見ておきましょう。

ユーロの上値が重たい流れが続く 2枚目の画像

日米金利差や米独金利差ほどきれいなチャートではありませんが、11月以降急速に日独金利差が縮小し(ライン)、それに呼応するかのようにユーロ円も下げて来ています。しかし、金利差縮小の勢いほどユーロ円は下げているとも思えず、今後はユーロ円の一段の下げにつながりそうな金利差チャートに見えます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月2日(月)
16:00 英国11月住宅価格
17:50 フランス11月製造業PMI
17:55 ドイツ11月製造業PMI
18:00 ユーロ圏11月製造業PMI
18:30 英国11月製造業PMI
19:00 ユーロ圏10月失業率

12月3日(火)
09:01 英国11月小売売上高

12月4日(水)
17:50 フランス11月サービス業PMI
17:55 ドイツ11月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏11月サービス業PMI
18:00 英中銀総裁講演 ☆
18:30 英国11月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏10月PPI ☆

12月5日(木)
16:00 ドイツ10月製造業新規受注
16:45 フランス10月鉱工業生産
18:30 英国11月建設業PMI
19:00 ユーロ圏10月小売売上高

12月6日(金)
16:00 ドイツ10月鉱工業生産、貿易収支
16:45 フランス10月貿易収支
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP確報値
22:30 米国11月雇用統計☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月25日(月)
週明けのユーロドルも新財務長官指名によるドル売りの動きからギャップアップで始まり、ユーロが底堅い流れが終日続きました。ただ、ドル材料だけでなく地政学的なリスクも考えなくてはならず、積極的な買いには繋がりませんでした。

11月26日(火)
ユーロドルはドル安の動きが続いていることからNY市場まではユーロ買いとなっていましたが、欧州市場以降はドル円とともにユーロ円での売りが目立っていたことからユーロドルはその動きに引っ張られて東京昼頃の水準へと押しました。引けにかけてはややユーロ買いの動きが見られました。

11月27日(水)
ユーロドルは改めてドル売りの動きからユーロ買いの動きとなり、NY市場昼過ぎには1.0587レベルの高値をつけました。その後は引けにかけて若干押しも入りましたが、底堅い動きのまま終わりました。

11月28日(木)
ユーロドルは感謝祭前のドル買い戻しの動きからやや水準を下げてのスタートとなりましたが、欧州市場以降は1.05台半ばで横方向の動きに終始、もみあいのままで一日を終了しました。

11月29日(金)
ユーロドルは東京CPIによるドル円の下げに引っ張られたドル売りからユーロ買いが先行、欧州市場序盤には前日高値を上抜けたことで一時1.0597レベルの高値をつけました。しかし、その後は感謝祭の週末を控えてのポジション調整から東京朝方の水準へと押し、引けにかけては植田総裁発言を受けたドル円の下げとともに買い戻される動きとなりました。


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