韓国情勢不安が急台頭、相場の波乱要因にも
〇東京市場のドル円、149円半ばを日中安値に緩やかな上昇たどり150円台まで反発
〇149-151円のレンジを下方向に幾分か拡大、大きく崩れる展開は見込みにくそう
〇本日の米経済指標、11月ADP雇用統計やISM非製造業総合指数の発表、ベージュブック公表など
〇NYタイムズ紙主催討論会でのパウエルFRB議長の発言にも要注視
〇ドル高円安方向、12/2高値150.75が最初の抵抗、超えると151円乗せうかがう
〇ドル安円高方向、一目の雲上限も位置する149円半ばめぐる攻防に注目
〇欧米時間のドル円予想レンジ、149.60-150.90
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが小高い。前日欧米時間に148円台まで沈んだが、本日東京で一時150円台まで反発している。
ドル/円は149.60円前後で寄り付いたものの、ドルはすでに底堅い。149円半ばを日中安値に緩やかな上昇をたどっていた。しかし、俄かに台頭した韓国政治情勢危機が足かせとなったうえ、日銀金融政策に関する噂などから思惑が交錯し、やや動きにくい雰囲気も醸していたようだ。高値は150.15-20円まで。16時現在では150円前後で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「韓国情勢」と「米金融政策」について。
前者は、折しも昨日「韓国も先月初めに発表されたある世論調査で『内閣支持率19%』という結果が公表されている」−−と、韓国の政治不安を指摘したばかりだが、それが早くも具現化される結果となった。「尹大統領が緊急の『戒厳令』を宣言」と報じられ、金融市場もプチパニックに。実際、韓国ウォンは報道を受け、対ドルなどで一時急落していた。そののち戒厳令は解除されたものの、韓国における政治的な混乱は継続。昨日の責任をとるためか、「韓国大統領府の首席秘書官らが一斉に辞意を表明」したうえ、韓国最大野党が尹大統領に退陣要求を行い、「応じなければ弾劾手続きに入る」との最後通牒を突き付けたと伝えられていた。このあと長く尾を引きそうな気配も漂っている。
後者は、前日にはウォラーFRB理事が「12月のFOMCは利下げに傾く」と発言し物議を醸した米金融政策だが、昨日はサンフランシスコ連銀総裁が「12月の利下げは確実ではないが、政策当局者の選択肢としては残っている」と発言。内容的に一歩後退したとの見方も少なくなく、ドル買戻しの一因に。またクーグラーFRB理事も講演を行っていたが、「政策は予め決められた道筋にはない。会合ごとに判断を下す」と述べるにとどめ、明言は避けている。
<< 欧米市場の見通し >>
多少なりとも落ちついてきた感の見られたドル/円相場だったが、昨日は148.65円まで値を下げ、直近安値を更新。ちなみに、148円台示現は約1ヵ月半ぶりのことになる。ただ、そののちドルは再び上値をトライする展開で、前述したように本日東京時間には一時150円台も。したがって、形成していた149-151円といったレンジを下方向に幾分拡大させただけなのかもしれない。油断は禁物だが、ドルがそれほど大きく崩れる展開は見込みにくそうだ。
注目されている12月の日米金融政策発表をめぐり、市場の見方は二転三転。発表される指標や要人発言に一喜一憂する米国ももちろん、日本についても債券市場を中心にこれまでと一線を画す「12月利上げ見送り」との噂が一部で飛び交っていたようだ。まだまだ予断を許さない。一方、それとは別に先で取り上げた韓国情勢や中東、ウクライナなどにおける地政学リスクの高まりには注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日直近安値を更新するなど、基本的なリスクはやはり下方向にバイアスが掛かる。しかし目先安値示現後、150円台までの戻りはなかなか早く、それほど強い下値リスクもうかがえない。週末に米雇用統計の発表といった重要な材料を控えていることもあり、いまのところは、149-151円といったレンジを下方向に幾分拡大させただけと予想している。
本日は米経済指標として、11月のADP雇用統計や同ISM非製造業総合指数発表されるほか、ベージュブックの公表も予定されている。またパウエルFRB議長がNYタイムズ紙主催の討論会で発言する見込みとされるなど、何気に注目材料が目白押しだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは149.60-150.90円。ドル高・円安方向は、2日高値の150.75円が最初の抵抗。超えると151円乗せをうかがう。
対するドル安・円高方向は、一目均衡表の先行帯の雲の上限も位置する149円半ばをめぐる攻防にまず注目。しっかり下回ってしまうと、ドルはさらなる続落も。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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