韓国戒厳令騒動で一時148円台、米求人件数増で持ち直すも右肩下がりの展開続く
〇昨日のドル円、韓国戒厳令報道でリスク回避的な円買い進み148.64まで一段安
〇米JOLTS求人件数予想上回り、米長期債利回りが上昇に転じ12/4早朝149.60台まで戻す
〇12/3高値150.23や12/2高値150.74を超え、右肩下がりの展開抜け出せないうちは安値試し続きやすい
〇FRB高官の利下げ継続支持発言続く、市場は12月に0.25%追加利下げ、1月会合は利下げ見送り見込む
〇米10年債利回りは低下後に上昇、ダウ続落、ナスダックは3連騰
〇149.90から150.23手前まで戻り売り有利、150.23超えから反騰継続とみて150.74試す上昇想定
〇150.23超えないうちは一段安警戒、148.64割れからは148.00、147.70前後を順次試す下落想定
【概況】
ドル円は日銀追加利上げへの警戒感や中東情勢、トランプ次期政権の保護主義政策姿勢、仏政局不安によるユーロ安等から円買い優勢となり3日未明に149.07円へ下落し、149円割れをひとまず回避したことで3日午後高値150.23円まで戻したもののその後はジリ安の推移となり、米国市場時間に入って韓国の戒厳令報道でリスク回避的な円買いが進み148.64円まで一段安した。
24時発表の米JOLTS求人件数が予想を上回ったため、韓国戒厳令報道で低下していた米長期債利回りが上昇に転じたことで4日早朝には149.60円台まで戻している。
韓国の尹錫悦大統領は3日夜に野党が複数の案件で弾劾を試み行政を麻痺させているとして「非常戒厳」を宣言したが、4日早朝には韓国国会が戒厳令解除を求める決議を可決したことで事態が収拾した。トランプ次期大統領の保護主義政策による先行き不透明感や、フランス政局不安(4日に不信任決議案採決予定)、イスラエルとヒズボラが停戦合意後も戦闘を続けていること等による不安心理が円買いを助長したといえる。
米労働省による10月雇用動態調査(JOLTS)求人件数が前月比37万2000件増の774万4000件となり市場予想の747万5000件を上回ったことで円買いにブレーキがかかったが、ドル円は先週の大幅下落後も戻り高値を切り下げて安値を更新する右肩下がりの展開を続けており、12月3日午後高値150.23円や12月2日午後高値150.74円を超えて右肩下がりの展開から抜け出せないうちは安値試しが続きやすい状況と思われる。
今夜は米ADP非農業部門民間雇用者数、ISM非製造業景況指数、 パウエルFRB議長の討論会発言、5日に中村日銀審議委員講演と会見、6日に米雇用統計と重要イベントが続く。
【FRB高官の利下げ継続支持発言続く】
12月2日にFRBのウォラー理事が12月FOMCについて「現時点では利下げ支持に傾いている」と述べるなど、最近のFRB高官や地区連銀総裁らの発言は緩やかな利下げ継続姿勢を支持するものが目立つ。
シカゴ連銀のグールズビー総裁は3日、「インフレは鈍化傾向にあり、FRBは今後12か月間でさらなる利下げが必要になる」とし、そうしなければ「労働市場に打撃を与えるリスク」があると述べた。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も3日に、12月FOMCで追加利下げを決めるか見送るかは「オープン」としたが、「インフレを低く保ちつつ、持続的な成長拡大を望んでいるため、政策金利を下げ続ける必要がある」と利下げ継続姿勢を示した。
FRBのクグラー理事も3日の講演で、「景気に中立的な金利水準へ政策金利を引き下げる過程にある」とし、最近のインフレ高止まりについては「2%の目標に向かって下がっていく道筋と見合ったもの」とした。
市場は12月に0.25%の追加利下げを行った上で1月会合では利下げを見送ると見込んでいる。
【米長期債利回りは低下後に上昇、ダウ下落の一方でナスダックは3日連続最高値更新】
12月3日の長期債利回りはまちまちの動き。韓国の戒厳令発動報道でいったんリスク回避的な米国債買い・利回り低下反応を見せたが、米JOLTS求人件数が予想を上回ったことで債券売り・利回り上昇へ風向きを変えた。
米長期金利指標の10年債利回りは一時4.16%へ低下して11月18日に付けた年初来ピークである4.51%以降の最低としたが、その後の反騰で前日比0.04%上昇の4.23%とした。30年債利回りは0.04%上昇の4.40%、2年債利回りは4.15%まで低下して11月22日の4.38%以降の最低としてから持ち直して前日比横ばいの4.18%となった。
一方で米国主要株価指数はまちまちとなり、NYダウは前日比76.47ドル安と下落して2日の128.65ドル安から続落したが、ナスダック総合指数は前日比76.96ポイント高と上昇して29日から3連騰とし、取引時間中及び終値の史上最高値を更新。S&P500指数も2.73ポイント高と小幅上昇だったものの3連騰とし、2日の取引時間中最高値には届かなかったものの終値は2日連続史上最高値更新とした。
NYダウに上昇一服感があるものの、米景気が底固くトランプ次期政権に入って関税等で混乱があったとしても先高感は継続するとの楽観が勝っている印象だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は11月28日未明安値150.46円から28日夕高値151.94円まで戻してから一段安に入ったために12月3日未明から5日未明にかけての間への下落を想定するとした。3日深夜へ一段安しているのでまだ安値試しが続くとみるが、3日未明安値を目先の底としてすでに底割れから新たな下落期に入り下落期が長引く可能性もあると注意する。
強気転換は3日午後高値150.23円超えからとし、その際は4日の日中から5日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では3日深夜安値からの反発で遅行スパンが実線に沿って戻しているが、先行スパンの下限が2日午後以降の戻り高値を抑えている。先行スパンを上抜き返せないうちは一段安余地ありとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は3日未明と3日深夜の下落時に30ポイントを割り込んでから戻しているが、指数の戻りは2日午後の60ポイント到達後に60ポイントへ届かず右肩下がりとなっているため、60ポイント前後までを戻り売り有利とし、40ポイント割れからは30ポイント割れを試す流れとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月3日深夜安値148.64円を下値支持線、3日午後高値150.23円を上値抵抗線とする。
(2)149.90円から150.23円手前までを戻り売り有利とするが、150.23円超えからは反騰継続とみて2日午後高値150.74円を試す上昇を想定する。150.70円以上は反落警戒とするが、150.23円を超えてからも150円台を維持するなら5日は高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)150.23円を超えないうちは一段安警戒とし、3日深夜安値148.64円割れからは148.00円、147.70円前後を順次試す下落を想定する。148円以下はいったん買われやすいとみるが、148.64円を割り込んだ後も149円以下での推移なら5日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
12/4(水)
10:45 (中) 11月 財新サービス業PMI (10月 52.0、予想 52.4)
17:55 (独) 11月 HOCBサービス業PMI・改定値 (速報 49.4、予想 49.4)
18:00 (欧) 11月 HOCBサービス業PMI・改定値 (速報 49.2、予想 49.2)
18:30 (英) 11月 S&PGサービス業PMI・改定値 (速報 50.0、予想 50.0)
19:00 (欧) 10月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (9月 -0.6%、予想 0.4%)
19:00 (欧) 10月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (9月 -3.4%、予想 -3.3%)
22:15 (米) 11月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (10月 23.3万人、予想 15.0万人)
22:45 (米) ムサレム・セントルイス連銀総裁、講演
23:45 (米) 11月 S&PGサービス業PMI・改定値 (速報 57.0、予想 57.0)
24:00 (米) 11月 ISM非製造業景況指数 (10月 56.0、予想 55.5)
24:00 (米) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 -0.5%、予想 0.2%)
27:45 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、討論会
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
12/5(木)
09:30 (豪) 10月 貿易収支 (9月 46.09億豪ドル、予想 45.00億豪ドル)
10:30 (日) 中村日銀審議委員、広島で講演、14:30〜会見
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 4.2%、予想 -2.1%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前年同月比 (9月 1.0%、予想 1.3%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.5%、予想 -0.4%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 2.9%、予想 1.7%)
22:30 (米) 10月 貿易収支 (9月 -844億ドル、予想 -750億ドル)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 190.7万人)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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