円高とリラ安が続き3営業日続落
〇トルコリラ円、ドル円が149.80台まで戻したため、4.31へ戻り高値を切り上げる
〇韓・仏の混乱やトランプ氏の保護主義政策など、政治情勢の不透明感が増しリスク回避的な円買い助長
〇日銀会合の追加利上げ警戒感もあり、ドル円の下落基調続きトルコ円も戻り売り有利の展開強いられるか
〇対ドル、12/3は概ね34.76から34.55の取引レンジ、終値の最安値を3日連続更新
〇トルコ11月CPIは予想上回る、市場は利下げが来年1-3月期へ先延ばしと受け止める
〇4.32以下での推移中は一段安余地あり、4.28割れからは4.26前後への下落を想定、4.26以下は反騰注意
〇4.32超えからは上昇継続とみて4.34試す上昇を想定、4.34手前は戻り売りにつかまりやすいとみる
【概況】
トルコリラ円の12月3日は概ね4.32円から4.28円の取引レンジ、4日早朝の終値は4.30円で前日終値の4.31円から0.01円の円高リラ安だった。
韓国で一時非常事態宣言が出されたことによる混乱でドル円が3日深夜に148.64円へ下落して11月15日高値156.74円以降の安値を更新したため、トルコリラ円も3日深夜に4.28円へ下落して11月15日早朝高値4.56円以降の安値を更新した。
米10月JOLTS求人件数が予想を上回ったことで米長期債利回りが上昇に転じたためにドル円は4日早朝に149.50円を超えて9時台には149.80円台まで戻したため、トルコリラ円も4日早朝に4.30円へ戻し、9時台には4.31円へ戻り高値を切り上げているが、11月30日未明、12月3日未明、3日深夜と安値更新を繰り返している。
韓国の政情不安の他、フランスも不信任決議案が4日に提出されるなど政治的な混乱報道が続いているが、トランプ次期政権発足後の保護主義政策による国際政治情勢への不透明感が増していることがリスク回避的な円買いを助長している側面もある。再来週の日銀会合での追加利上げへの警戒感もあるため、まだ暫くはドル円の下落基調が続いてトルコリラ円も戻り売り有利の展開を強いられるのではないかと考える。
【ドル/トルコリラは終値の最安値を3日連続更新】
ドル/トルコリラの12月3日は概ね34.76リラから34.55リラの取引レンジ、4日早朝の終値は34.71リラで前日終値の34.70リラから0.01リラのドル高リラ安だった。
11月27日に34.76リラへ取引時間中の史上最安値を大幅に更新し、日足終値ベースでも22日から27日へ4営業日連続で最安値を更新し、28日は下落一服としていたものの、先週末の29日から週明けの2日へ2営業日連続で終値最安値を更新していたが、3日は34.76リラへ上昇して27日と同値とし、終値ベースでは3日連続の最安値更新とした。
3日夕刻に発表されたトルコ11月CPIの低下が鈍かったことでトルコ中銀の利下げ開始が先延ばしされ、利下げ開始によるトルコ景気回復への期待も先延ばしされたことでリラ売り優勢の流れが続いた印象だ。
トランプ次期米大統領がBRICSの脱ドル化が進むなら100%関税を課すと表明したことで、すでに表明しているメキシコ・カナダへの25%関税や中国への10%関税等による保護主義・貿易戦争が激化するとの懸念が強まっており、トルコの輸出にも影響を与えるとの懸念もある。
イスラエル・ヒズボラの停戦合意も守られておらず戦闘が続いていることや、ロシアのウクライナへの攻勢が強まっていること、シリアもアサド政権と反体制の衝突が激化しており、トルコを取り巻く地政学的リスクが増大していることもリラにとっては重石のようだ。
先週発表のトルコ7‐9月期GDPが前期比0.2%減となり4‐6月期の0.2%減から2四半期連続のマイナス成長=リセッション入りとなった事も響いている。
【トルコ11月CPI、予想を上回り中銀利下げ開始遠のく】
12月3日16時にトルコ統計局が発表した11月CPI(消費者物価指数)上昇率は前月比2.24%となり10月の2.88%を若干下回ったものの市場予想の1.91%を上回り、前年同月比は47.09%で10月の48.58%から下がったものの市場予想の46.60%を上回った。
食品エネルギー等除くコアCPI上昇率は前月比1.5%で10月の2.8%から低下したが、前年同月比は47.1%で10月の47.8%からわずかな低下にとどまった。
11月のPPI(生産者物価指数)上昇率は前月比0.66%で10月の1.29%から低下し、前年同月比は29.47%で10月の32.24%から低下した。
概ね低下しているもののCPIの鈍化が顕著とまでは言えず、依然として高水準にとどまっているため、インフレ率が顕著に下がらないうちは金融引き締めを続けるとしてきたトルコ中銀にとっては12月会合での利下げは難しくなり、来年1-3月期へ判断は先延ばしされると市場は受け止めた。
高インフレ・高金利に緊縮財政が重なってトルコの景気低迷が続いており、来年1月には最低賃金の引き上げもあるため、リラ安に歯止めがかからないと通貨インフレに賃金インフレも重なって高インフレからの脱却が遅れることにもなりかねない。
【60分足サイクル、一目均衡表分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月28日未明安値から28日夜へいったん戻してから29日午前の下落で28日未明安値へ迫ったため、29日午前時点では28日未明安値を直近のサイクルボトム、28日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクルとして12月3日未明から5日未明にかけての間への下落を想定した。
3日深夜へ一段安してから戻しているため、3日午後高値4.32円を超える場合は3日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして4日の日中から5日夜にかけての間への上昇を想定するが、3日午後高値を超えないうちは一段安警戒とし、3日未明ないし3日深夜安値を直近のサイクルボトムとして次のボトム形成期が長引く可能性もあると注意する。
60分足の一目均衡表では11月28日夜以降の戻り高値が先行スパンの下限に抑えられる展開が続いているため、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は30ポイント前後を買われて50ポイント台後半を売られる騰落が続いているためこの範囲で逆張り有利と考えるが、60ポイント超えからは反騰継続として70ポイントを目指す上昇を想定し、30ポイント割れから続落の場合は20ポイント割れを試す下落へ進むのではないかと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.28円を下値支持線、4.32円を上値抵抗線とする。
(2)4.32円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.28円割れからは4.26円前後への下落を想定する。4.26円以下は反騰注意とするが、4.32円以下での推移なら5日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.32円超えからは上昇継続とみて4.34円を試す上昇を想定する。4.34円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、4.32円を上回っての推移なら5日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12月5日
20:30 外貨準備高 グロス 11月29日時点 (11月22日時点 907.4億ドル)
20:30 外貨準備高 ネット 11月29日時点 (11月22日時点 608.8億ドル)
12月10日
16:00 10月 失業率 (9月 8.6%)
16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 1.6%)
16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -2.4%)
12月11日
16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 2.3%)
16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 15.9%)
12月12日
16:00 10月 経常収支 (9月 +29.88億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 12月6日時点
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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