韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」に端を発したリスクオフ再開で大幅下落
〇ドル円、韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」の宣言に、米国時間にかけ148.64まで急落
〇その後は米10月JOLT雇用動態調査の良好な内容等に反発するも戻りは鈍く、149円台前半の推移
〇ユーロドル、1.05を挟んでの底堅い動き
〇ドル円、日足ローソク足が主要テクニカルポイント下抜け地合い悪化
〇日銀年内追加利上げ観測の再浮上や、FRBによる年内追加利下げの織り込み加速もドル円の重石に
〇148.25近辺の90日線割れからは、一目均衡表雲下限(146円台後半)まで一気に値を崩す可能性も
〇ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:148.00ー150.00
海外時間のレビュー
3日(火)のドル円相場は冴えない動き。(1)日経平均株価の大幅上昇や、(2)上記1を背景としたリスク選好の円売り圧力、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支えとなり、アジア時間午後にかけて、高値150.24まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣言や、(5)上記4を背景としたリスク回避の円買い圧力、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力、(7)テクニカル的な地合いの悪化(直近安値ブレイクに伴う仕掛け的なドル売り・円買い)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値148.64(10/11以来の安値圏)まで急落しました。その後は、(8)米10月JOLT雇用動態調査(結果774.4万件、予想747.0万件)が市場予想を上回ったことで下げ渋るも、戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/4午前3時00分現在)では、149.20前後で推移しております。
(編集部注:韓国戒厳令は韓国国会による解除決議後、4:30頃尹大統領が解除をテレビで発言)
3日(火)のユーロドル相場は底堅い動き。(1)次回ECB理事会での大幅利下げ観測の高まりや、(2)フランス政治を巡る先行き不透明感(左派連合の新人民戦線と極右の国民連合が各々バルニエ内閣に対して内閣不信任案を提出→バルニエ内閣の総辞職が決定的)、(3)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力(ドイツ10年債利回りは10/1以来の低水準を記録)が重石となり、アジア時間午後にかけて、安値1.0480まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対する反動買いや、(5)欧州株の堅調推移、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力が支えとなり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0531まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/4午前3時00分現在)では、1.0529前後で推移しております。尚、昨日はチポローネECB理事による「米国の関税引き上げはユーロ圏の経済成長とインフレ率の両方を低下させる可能性が高い」との発言や、ラトビア中銀カザークス総裁による「ECBの緩和ペースや幅はデータによって決定される」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は11/15に記録した約4カ月ぶり高値156.75をトップに反落に転じると、昨日は約2カ月ぶり安値となる148.64まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による年内追加利上げ観測の再浮上や、(2)米FRBによる年内追加利下げの織り込み加速(次回FOMCでの25bp追加利下げを72.3%織り込む動き)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの巻き戻し懸念、(4)トランプ・トレードからベッセント・トレードへのテーマシフトなど、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
148.25近辺に位置する90日移動平均線を下方ブレイクできれば、最後の砦として意識されている一目均衡表雲下限(146円台後半)を目掛けて一気に値を崩すシナリオも想定されるため、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米11月ADP雇用統計や、米11月ISM非製造業景況指数、パウエルFRB議長によるニューヨーク・タイムズ紙主催討論会での発言機会、米地区連銀経済報(ベージュブック)などが予定されておりますが、既に次回FOMCでの25bp利下げがほぼほぼ織り込まれつつあるため、余程強い結果とならない限り、ドル売り・円買いの流れを止めるには至らないと考えられます。
本日の予想レンジ:148.00ー150.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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