ECB理事会も荒れずに通過、もみあい継続か
〇ユーロドル、米雇用関連受けドル安相場となるもユーロ円の下げも大きく、ユーロドルの動きは相殺
〇128pipsと、ドル円・ユーロ円の5円以上の値幅を伴った下げに対し4分の1以下のレンジにとどまる
〇今週最大の注目材料は米大統領候補TV討論会と、9/12 ECB理事会とラガルド総裁会見
〇コンセンサスはFRB・ECBとも0.25%利下げ、金利差変わらず年末に向けECBの方が回数少ない見込み
〇長期的には米欧金利差が縮小する方向、ユーロ買い(ドル売り)のトレンド出やすい
〇今週は大台1.1000レベルをサポート、1.1125レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週もドル円、ユーロ円が5円以上もの値幅を伴った下げに対して、ユーロドルは128pipsと4分の1以下のレンジにとどまりました。材料としては軒並み弱い数字が続いた米国の雇用関連の数字を受けドル安相場となったものの、ドル円とともにユーロ円の下げも大きかったことからユーロドルの動きは相殺された流れです。また難航していたフランスの新首相は共和党出身のバルニエ元外相が指名されました。オリンピックがあったとはいえ、選挙から2か月近い時間経過です。
バルニエ氏はブレグジットの際にEU側の首席交渉官を務めた人物でもありますが、今回の首相指名にあたって、誰がなっても不信任のリスクがあったため、マクロン大統領は共和党の右派から候補を選び、さらに極右のRNから不信任案には賛成しないとの合意を取り付けた上での指名となりました。指名に関してのみとはいえ、左派連合以外が手を結んだことで過半数以上が支える首相が誕生となりました。
ただ、バルニエ新首相は実績があるとはいえ、第1党を除外しての決定となったことで左派連合は猛反発、さらにマクロン大統領の罷免を求めたデモが週末にフランス全土で起きています。マクロン大統領率いる与党連合は決選投票では左派連合と組み、首相指名では極右と組みという主義主張としては節操のない選択をしたので、今後もマクロン大統領に対する批判は強まるいっぽうかもしれません。フランスでは1年以内の総選挙は出来ませんが、今回の選挙から1年後の再選挙という可能性もあり、引き続きフランスの政局は流動的な状態が続くことになるでしょう。
今週は最大の注目材料は米大統領候補によるTV討論会かもしれませんが、ユーロにとっては12日のECB理事会とラガルド総裁会見の注目度が高いと言えます。ただ、今回はFRB同様にECBも0.25%の利下げがコンセンサスとなっていて、米欧金利差は変わらないままです。年末に向けての利下げ回数がECBのほうが少ないのは確かだと思いますが、その部分で総裁会見で何らかの言及があるのかどうかが最も気になる点でしょうか。
長期的には米欧金利差が縮小する方向でユーロ買い(ドル売り)のトレンドが出やすいのですが、最近はドル円とともにユーロ円の動きがユーロドルの動きを相殺する展開のため、今回もECB理事会は無風では無いでしょうが荒れずに通過、来週のFOMC待ちへと繋がっていく展開ではないかと思います。またフランス国内の政局はユーロにとって悪材料となっていく可能性があります。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
6月末の安値を起点としたサポートラインとそれに平行に引いた5月高値からのラインとで構成される平行上昇チャンネル(ピンク)が効いているようです。8月安値と高値の38.2%押しで下げ止まったところからドル安の動きでユーロが買われましたが、1.11台半ばから後半ではユーロ売りが出ていました。いっぽうで下値は大台1.10水準が考えられます。
今週は大台1.1000レベルをサポートに1.1125レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週は米独10年債利回り差とユーロドルの日足チャートを見ておきます。
青のラインが米独金利差(右軸、上下を逆にしてユーロドルの方向に調整)、ローソク足がユーロドル(左軸)です。
大局的には似た動きではありますが、ユーロが年初来高値を更新後に下げているのに対して、米独金利差は縮小を続け、金曜に金利差が最小となりました。たしかにユーロドルも金曜に一時的に買われたとはいえ、その後反落しましたので、8月下旬以降の動きは金利差と為替にダイバージェンスが起きている状態です。
金利差拡大での調整となるのか、ユーロドル上昇での調整となるのか、調整が入る可能性も高いため、念の為注意は必要です。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
9月9日(月)
(特になし)
9月10日(火)
15:00 ドイツ8月CPI
15:00 英国8月失業率
**:** 米大統領候補者TV討論会 ☆
9月11日(水)
15:00 英国7月鉱工業生産、貿易収支
21:30 米国8月CPI ☆
9月12日(木)
08:01 英国8月住宅価格
21:15 ECB理事会 ☆
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
9月13日(金)
15:45 フランス8月CPI
17:30 フィンランド中銀総裁講演
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月2日(月)
週明けのユーロドルはドル円とともにユーロ円の買いが見られたことで底堅い動きとなりましたが、NY市場が休場となったこともあり、終日の値幅はわずか36pipsと動意薄のままで終わりました。
9月3日(火)
ユーロドルはユーロ円が売られた動きに沿って上値が重たい展開。NY市場では弱い経済指標に反応したドル売りから一時的なユーロ買いも出たものの、すぐに元の水準へと押し、1.1026レベルの安値をつけた後に若干戻して引けました。
9月4日(水)
ユーロドルはドル売りの流れからNYまでじり高、その後JOLTSの結果を受けて1.1095レベルの高値をつけましたが、ユーロ円の売りもあり値幅は伴わない買い戻しの動きとなっていました。
9月5日(木)
ユーロドルはドルの上値が重たい動きとなったことから買いが先行、NY朝方にはADPの結果を受け1.1120レベルの高値をつけました。しかし、引けにかけては東京朝方の水準への押しを挟んで1.11台に戻して引けました。
9月6日(金)
ユーロドルは東京市場ではドル売りの動きから緩やかなユーロ買い、その後やや押しての雇用統計待ちとなりました。雇用統計後は上下に振れる荒っぽい展開を見せ、わずかの間に一日のレンジとなる1.1066-1.1155を見ましたが、引けは1.10台後半と落ち着いた週末クローズとなりました。
注:ポイント要約は編集部
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