ドル円 8月安値をトライする流れが継続(週報9月第2週)

先週のドル円は、ほぼ週初高値、週末安値の一週間となり週間レンジの5円42銭を米国の弱い雇用関連の数字が出るたびに下げて行ったという印象です。

ドル円 8月安値をトライする流れが継続(週報9月第2週)

8月安値をトライする流れが継続

〇先週のドル円、ほぼ週初高値、週末安値の一週間、週間レンジは5円42銭
〇弱い雇用状況が米景気後退懸念につながり、金利低下、株安、ドル安という流れに
〇今週は9/10米大統領候補TV討論会、9/11米CPIに注目
〇テクニカルには、8月安値141.67レベルを抜けると141.26、140円の大台がターゲットに
〇141.25レベルをサポートに、144.00レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円は、ほぼ週初高値、週末安値の一週間となり週間レンジの5円42銭を米国の弱い雇用関連の数字が出るたびに下げて行ったという印象です。8月21日の雇用者数大幅下方修正以来、経済指標の注目度は完全にインフレから雇用へとシフトし、さらに弱い雇用状況が景気後退懸念につながり、米金利低下、株安、ドル安という流れが続いています。

先週はサームルールと景気後退の関連について見ましたが、そこまで複雑化せずとも失業率の3か月平均を見るだけでも失業率の悪化傾向は景気後退局面と結びついていたことがわかりますので、改めて金曜の数字も反映した簡略化した図を上げておきます。

8月安値をトライする流れが継続

青のラインが直近3カ月の平均値、水色背景がリセッション時期(FREDのデータから)となりますが、今回程度の改善では悪化傾向には変化は無く、果たして後になって2024年後半が景気後退期という判断がなされないかは見守りたいところです。このまま懸念だけでやり過ごすことが出来れば、パウエル議長は後に優秀なFRB議長だったという評価になるのではないでしょうか。

今週は一連の雇用関連指標が出た後の第2週のため経済指標で重要度が高いものは11日のCPIくらいです。CPI(コンセンサスは年率で2.6%、コアは3.2%)が多少変化したくらいでは来週のFOMCでの0.25%利下げには影響を与えないでしょう。総合CPIは着実に低下してきているものの、コアCPIが下げ止まっている点はFRBも気にしているでしょうから、ここが予想よりも大きく低下ということでもないと0.5%という思惑は浮上しにくいと思います。

そして経済指標以上に重要なのは10日の米国大統領候補によるTV討論会です。前回のバイデン・トランプ討論ではバイデン大統領の酷さが目立ち、ハリス副大統領に道を譲る結果となりましたが、最近の支持者集会でのトランプ前大統領の発言を見ると、やはり歳をとったなという感じがあり、ハリス副大統領との討論でそうした部分が出てくるとトランプ前大統領がますます劣勢になる可能性があります。

バイデン・トランプ対決では老人どうしというイメージで興味を持っていなかった有権者がハリス副大統領が候補となったことで興味を持ち始めていることもあり、今回の討論会は注目度大です。ハリス副大統領自身は実績、人気ともいまひとつですが、トランプ前大統領との比較となると思いのほか善戦する可能性があり、その判断材料となるのが今回の討論会ですから、その結果で激戦州の支持率に変化が出てくるかが最初の判断ポイントとなります。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

金曜は8月安値の手前ギリギリのとことで止まりましたが、引き続き8月安値の141.67レベルがターゲットとなっています。ここを抜けてくると8月15日の戻り高値を起点とした逆N波動から計算されるフィボナッチ・エクスパンションの100%エクスパンション141.26、140円の大台がターゲットとなります。今週のところは8月安値を試せるかどうかというあたりだとおもいますが、抜けると一時的に売りが強まり141円台前半というイメージです。

いっぽうで上値は戻り売りを考える向きが増えてきていますので、144円が戻り高値の目安になると考えています。今週は引き続きドルの上値が重たい展開が継続しやすいと考え、141.25レベルをサポートに、144.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

8月安値をトライする流れが継続 2枚目の画像

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演のうち、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月9日(月)
08:50 本邦4?6月期GDP改定値
08:50 本邦7月貿易収支
10:30 中国8月CPI・PPI
23:00 米国7月卸売売上高

9月10日(火)
**:** 中国8月貿易収支
15:00 ドイツ8月CPI
15:00 英国8月失業率
**:** 米大統領候補者TV討論会 ☆

9月11日(水)
15:00 英国7月鉱工業生産、貿易収支
21:30 米国8月CPI ☆
23:30 週間原油在庫統計

9月12日(木)
08:01 英国8月住宅価格
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国8月PPI ☆
21:30 米国新規失業保険申請数 ☆
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆

9月13日(金)
15:45 フランス8月CPI
17:30 フィンランド中銀総裁講演
21:30 米国8月輸入物価
23:00 米国9月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。

週の概況

9月2日(月)
週明けのドル円は早朝にドル買いが先行したものの、テクニカルなターゲットだった146.40をつけた後に日経平均株価が売られた動きに沿って反落、しかし押し目での買いも根強く145.77レベル止まりとなりました。その後は日経平均が上昇に転じ、海外市場に移ってからは米金利上昇の動きも加わり、147.18レベルの高値をつけ高値圏でもみあいのまま引けました。

9月3日(火)
ドル円は東京朝方こそドル買いが先行し147.21レベルとわずかに前日高値を更新しました。しかし147円台前半では利食い売りも出たことから上値が重くなり、欧州市場以降はダウ先が下げ、連休明けのNY市場では株式市場が大幅安となったこともあり、145.11レベルまで下値を広げ、やや戻して引けました。

9月4日(水)
ドル円は前日の流れを受けNY市場までは145円水準までドルじり安の流れが続きました。そして一連の雇用関連の数字の最初に発表されたJOLTSが予想以上に弱く、前月の数字も下方修正されたことを受け米金利低下、ドル一段安となり引けにかけて143.71レベルまで水準を下げ安値引けとなりました。

9月5日(木)
ドル円は前日までの動きもあって上値が重くNY市場の朝方に弱いADP全国雇用者数の結果を受け一時142.84レベルの安値をつけました。その後のISM非製造業は逆に強かったことから日計りの損切りも引っ掛けて144.23レベルの高値をつけましたがすぐに反落。引けにかけては143円台前半でもみあいのまま引けました。

9月6日(金)
ドル円は東京市場では日経平均が下げる動きとともに円買いが強まり欧州市場序盤には142円目前の水準へと下押ししました。その後は株価が下げ止まったことや米国雇用統計を前にした買い戻しも入り143円水準で指標待ち。失業率は4.2%と予想通り改善したものの、NFP(非農業部門雇用者数)は14.2万人と予想よりも低く、いっぽうで平均賃金は改善しました。初動はドル買いとなりましたが、その後急速にドル売りの動きが強まり数字前後で上下それぞれ1円幅の荒っぽい展開。NY昼前にはダウの下げとともに141.76レベルまで水準を切り下げ、引けにかけては142円台前半へと戻しました。

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