8月9日以来の8.0円割れ、9月会合への期待感が下支えか
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、弱い経済指標に加え、円が主要通貨に対して全面高となったことも影響し、8月9日以来となる8円台割れとなった。
2日に金融機関アブサが発表した8月製造業PMIは43.6と前回(52.4)を大幅に下回ったほか、好不況の節目である50も大幅に下回る結果となった。アブサは「8月の指数低下は政治的な不透明感、高水準ながら鈍化しているインフレ、高水準の借り入れコスト、国内外の需要低迷の中で製造業が直面している課題を浮き彫りにするものだ」と指摘。「これらの要因から、製造業は7月に見られた勢いを維持することができず、PMIは今年5回目の50割れとなった」と述べた。
一方、第2四半期GDPは、前年比は市場予想と同じ水準だったが、前期が予想を下振れた。数年ぶりに計画停電が実施されない期間が続いたことで前年比及び前期比ともに増加となったが、市場では、「5月の総選挙に関連した政局の不透明感や、港湾・貨物鉄道業務の停滞、世界的な需要低迷が引き続き経済の重し」との声があがっている。
また、米景気減速懸念の高まりを受けてリスクオフの円買いが強まったことも影響し、ランドは売り優勢の地合いに。8月9日以来の8円台割れとなった。
ランド・円(東京時間:9月2日―9月6日)
※Investing.comの日足を参照
始値:8.1987円
高値:8.2602円
安値:7.9455円
終値:7.9634円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
9月2日
18時00分、8月製造業PMI、前回:52.4、結果:43.6
9月3日
18時30分、第2四半期実質GDP(前年比)、前回:0.5%、市場予想:0.3%、結果:0.3%
18時30分、第2四半期実質GDP(前期比)、前回:0.0%、市場予想:0.5%、結果:0.4%
9月4日
19時00分、第3四半期BER企業信頼感指数、前回:35、結果:38
9月5日
18時00分、第2四半期経常収支、前回:−1070億ランド、市場予想:−730億ランド、結果:−650億ランド
9月10日
20時00分、7月製造業生産高(前月比)、前回:−0.5%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、年内複数回の利下げ観測は強まっていることで南アフリカ景気後退懸念の高まりは回避されると想定。リスクオフの円買い動向を見極める必要はあるが、ランドは下げ止まりを試すと考える。
市場では9月19日に開催される金融政策決定会合にてSARBが0.25%の利下げを実施する公算が大きく、年末にはもう一回の利下げ実施(0.25%)が見込まれている。9月会合声明にて、年内もしくは25年にかけて政策金利をどの水準まで引き下げるかを明確にすれば、南アフリカ景気後退懸念は徐々に沈静化するだろう。
先週、国際通貨基金(IMF)から「大胆な財政再建を推進し、財政の持続可能性を回復する必要がある」との見解が示されたこともあり、SARBは足元のインフレ鈍化に伴い、まずは景気後退観測の払しょくに動き、政府は財政再建に向けた対応を進めると考える。
テクニカルでは、8月5日に長い下影(下ヒゲ)を残した後、いったん8.3円水準で反発一服となった。週末は横ばいの基準線で下げ止まっていることから、この水準が下値支持として意識されるかに注目。また、8円台回復となれば、遅行スパンが実線を上回り、反発基調がより強まる可能性もある。円の動向は要注意だが、いったんは下げ止まりを試す展開を迎えると想定する。
南アフリカランド円日足
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