ドル円 下値リスクくすぶるも目先は底堅く推移か(9/9夕)

週明けの東京市場はドルが堅調裡。早い時間帯に再び142円を割り込む局面も観測されたが、以降ドルは逆行高をたどっていた。

ドル円 下値リスクくすぶるも目先は底堅く推移か(9/9夕)

下値リスクくすぶるも目先は底堅く推移か

〇東京市場のドル円、早い時間に142円割り込むも、緩やかな右肩上がり辿り16時現在143.00-05で推移
〇145円後半に位置し緩やかな下降をたどる21日線が強い抵抗
〇来週の日米金融政策決定会合、今週の経済指標次第で米国利下げ幅の見通しに大きな変化生じる可能性も
〇本日、7月卸売売上高や消費者信用残高などの米経済指標が発表予定
〇ドル高円安方向、米雇用統計発表前後の144.20レベルが強い抵抗、実需筋オファー切り下がり戻り抑制
〇ドル安円高方向、142.60-70めぐる攻防に注目、下回ると再び142円や先週末安値141.75視界内
〇欧米時間のドル円予想レンジ:142.60-143.80

<< 東京市場の動き >>

週明けの東京市場はドルが堅調裡。早い時間帯に再び142円を割り込む局面も観測されたが、以降ドルは逆行高をたどっていた。

先週末、米紙WSJが「イラン、ロシアに数百発の弾道ミサイルを供与」と報じ物議を醸す。一方、週明け9日から米議会が夏季休会明けとなり再開されるなか、「米下院共和党がつなぎ予算案をまとめた」もよう。9月末の予算切れによる米政府機関の一部閉鎖懸念が再び俎上に挙がっていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は142.25-30円で寄り付いたのち、早々に142円割れをワンタッチ。しかし、そのまま続落するには至らず、むしろドルは逆行高の様相をみせた。緩やかな右肩上がりをたどるなか、一時143円台も。つまり安値から1円以上も値を戻し、16時現在ではそのまま高値圏の143.00-05円で推移し、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは「ロシア情勢」と「ガザ情勢」について。
前者は、幾つかの観点でロシア関連ニュースが目に付く。うちひとつは前述したWSJ紙報道になり、それを受けてウクライナ外務省は「深い懸念」を表明したうえで、「イランとロシアへの圧力を高めるよう国際社会に求める」とした声明を発表していた。一方、それとは別に、ロシアのドローン攻撃がウクライナ以外にも広がりを見せていることも、そこここで物議を醸していたようだ。実際、ブルームバーグでは「NATO加盟国のラトビアにドローンが墜落。ルーマニアでも領空侵犯が報告されている」と報じている。ウクライナ国内ではロシアが攻勢を強めているといった報道も観測されているが、ブルームバーグの報道を見る限り、それほどロシアに余裕があるとも思えない。

後者は、一部メディアなどでは依然として「楽観論」が取り沙汰されているものの、やはり情勢は厳しいままだと言えそうだ。たとえば、ワシントンポストは「ハマスが人質解放に関して新たな要求を突き付け、交渉は暗礁に乗り上げた」と指摘。そのうえで、「米国は新停戦案の提示を無期限に延期した」と伝えていた。またアクシオスも同様に「仲介国の米国が、停戦に向けた戦略を再検討」と報道している。なお、国連の発表によると、パレスチナ自治政府のアッバス議長とイスラエルのネタニヤフ首相が、ともに26日に演説する予定だという。少し先の話になるが、いまから注目しておきたい。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は、先週末にかけてドル安方向へのリスクが顕在化。一時8月5日安値141.68円に面合わせを示現したが、本日東京時間を見る限り、いわゆる第一波は終了したのかもしれない。下げ足が速かったことから、144円程度までの戻りは期待できるが、それ以上の戻りとなると果たしてどうか。仮に上抜けても、現状145円後半に位置し、今後も緩やかな下降をたどる移動平均の21日線が強い抵抗になるといった見方は少なくないようだ。
来週予定されている日米の金融政策決定会合に市場の関心が集中している。日本についてももちろん要注意だが、今回は「利上げ見送り」との見通しでほぼ一致しており、サプライズも見込みにくい。それに対して、米国はまだまだ予断を許さないだろう。「利下げ実施」そのものはほぼ確実視されているが、問題は下げ幅。今週発表される米経済指標の内容如何で、見通しに大きな変化が生じても不思議はなく、一喜一憂する展開をたどる可能性もある。

テクニカルに見た場合、ドル/円の基本的なリスクは下向き。しかし油断は禁物ながら、8月5日安値141.68円に面合わせを示現したことで、短期的にはダブルボトムをつけた感もある。事実とすれば、目先は思いのほか底堅く推移することもありそうだ。
とは言え、ドルの上値も重そうで、現状でいえば144円もしくは145円を上限としたレンジを形成する可能性も。つまり、おおよそ142-145円といったなかで次の方向性を探る展開も考えられる。

本日は米経済指標として、7月の卸売売上高や同消費者信用残高などが発表される予定。それほど関心の高い指標ではないが、先週は発表された米指標、とくに雇用データの悪化が市場の波乱要因となっただけに、今週も一応注意しておきたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは142.60-143.80円。ドル高・円安方向は、先週末の米雇用統計発表前後につけた144.20円レベルが強い抵抗。その手前に目立った抵抗はないが、実需筋のオファーは少しずつ切り下がってきおり、戻りを抑制しそう。
対するドル安・円高方向は、今後サポートになりそうな142.60-70円をめぐる攻防にまずは注目。ただ、下回ると再び142円そして先週末安値141.75円が視界内に。

下値リスクくすぶるも目先は底堅く推移か

ドル円日足


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