ユーロ ユーロは上値が重たい動きを継続(週報9月第1週)

先週のユーロドルは前週のドル売りの動きに対しての調整もあり全般的なドル買い戻しの動きとともにユーロ売りの動きが続きました。

ユーロ ユーロは上値が重たい動きを継続(週報9月第1週)

ユーロは上値が重たい動きを継続

〇先週のユーロドル、調整的なドル買い戻しとともにユーロ売りの動きが続く
〇年初来高値を若干更新するも(1.1202レベル)、週末は1.1044レベルまで下げて安値引け
〇米雇用統計とマクロン大統領の首相指名に向けての動向に注目
〇今週は1.0975レベルをサポートに1.1125レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは前週のドル売りの動きに対しての調整もあり全般的なドル買い戻しの動きとともにユーロ売りの動きが続きました。週初こそジャクソンホール直後ということから1.1202レベルと年初来高値を若干更新していましたが、週末には1.1044レベルまで下げ安値引けとなりました。米金利上昇から来るドル高の動き以外にも月末要因による実需のユーロ売り、またフランスでの首相指名が難航していることも悪材料になったと考えられます。

今週は欧州サイドからは目立った材料は少ないのですが、改めて注目度が高まっている米国雇用統計とマクロン大統領の首相指名に向けての動向は引き続き注目されます。先週書いたことですが、フランスの議会は第1党の左派連合、そして与党連合と極右が3つ巴状態となっている状態で、本来であれば第1党の左派から首相を指名するのですが、マクロン大統領は左派の首相を指名しても議会で他政党から降ろされる可能性が高いとして左派からの選出を排除しました。

現在は過去の大統領や首相経験者も含め協議を続けている状態ですが、オリンピックで1か月空白があった上に早期に決めなくてはならないこともあり、今週中(早ければ今日明日)にも首相指名が行われるとの見方が広がっています。ただ、新首相がどの派閥に近いとしても議会での反対に遭う可能性もあり、しばらくはフランスの政局は不安定な状況となり、金融市場参加者としてはフランスのポートフォリオを減らす動きにつながる可能性があります。

また週末にドイツの地方選がありましたが、東部のテューリンゲン州で極右のAfDが第1党となることがわかりました。州議会とは言えドイツで極右が第1党になるのは初めてのことで、来年の総選挙に向けてドイツでもフランスのような極右躍進という動きが出てくる可能性が出てきたことは、欧州全体の政治が不透明になっていく流れです。欧州議会選のドイツの議席数では極右AfDは中道CDUに次ぐ第2党となり、与党SPDは第3党とフランスで見たような動きでした。

長期的なことを考えると欧州にとっての不安材料も多く、今後ECBが追加緩和していく中で、景気後退懸念が強まるような話が出てくると、改めて安値圏を試しに行くような流れになっても不思議ではありません。今年のユーロはほぼ1.06から1.12の600pips幅にとどまっていて、上下どちらにも動きが出て来る可能性はあるでしょう。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ユーロは上値が重たい動きを継続

下のサポートラインに平行なラインを5月高値から引き、ピンクの平行上昇チャンネルを仮定すると先週の高値はその上限になっていたと見ることが出来そうです。そうなると短期的には8月安値と高値との押しを考えることとなり、半値押しが1.0989、61.8%押しが1.0939となっていて、1.09台半ばまでの押しがありそうなチャートと言えます。

逆に1.11台では戻り売りが出てきそうですから、今週は1.0975レベルをサポートに1.1125レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートです。

ユーロは上値が重たい動きを継続 2枚目の画像

8月5日の急落を除くと、ほとんどの期間で8月レンジの上側38.2%のレンジ内で方向感がはっきりしない動きが続いています。ドル円週報で書いた通り、ドル円の戻りが146円台半ばで止まり、ユーロドルの上値が重くなってくるとすると、ユーロ円も上値が重たい動きになってくるのではないかと見ています。

8月レンジの38.2%押し160.24レベルから半値押し159.12レベルをターゲットとする流れを考えています。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月2日(月)
16:50 フランス8月製造業PMI
16:55 ドイツ8月製造業PMI
17:00 ユーロ圏8月製造業PMI
17:30 英国8月製造業PMI

9月3日(火)
08:01 英国8月小売売上高
21:45 ブリーデン英中銀副総裁講演

9月4日(水)
16:50 フランス8月サービス業PMI
16:55 ドイツ8月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏8月サービス業PMI
17:30 英国8月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏7月PPI ☆
20:00 フランス中銀総裁講演 ☆

9月5日(木)
15:00 ドイツ7月製造業新規受注
17:30 英国8月建設業PMI
18:00 ユーロ圏7月小売売上高

9月6日(金)
15:00 ドイツ7月鉱工業生産、貿易収支
15:45 フランス7月鉱工業生産、貿易収支
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP確報値
21:30 米国8月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月26日(月)
ユーロドルは週明けもジャクソンホール後のドル売りの動きによるユーロ高の動きを続け、東京朝方には一時1.1202レベルとわずかに高値を更新しました。しかし、その後はドル買い戻しの動きからじり安となりNY前場に1.1150レベルの安値をつけました。

8月27日(火)
ユーロドルはNY昼過ぎまで1.1165レベルを中心として全くの動意薄、NY後場には米金利低下を受けたドル売りの動きからユーロ買いとはなりましたが、終日のレンジは41pips止まりで終わりました。

8月28日(水)
ユーロドルは終日下げる展開が続きました。NY市場まではドル円とともにドル高の動きからユーロ売りの動きとなり、NY朝方に1.1105レベルの安値をつけました。その後も1.12台でいったん高値を見たことや、フランスの政局が不透明なことも重なって上値が重たい地合いのもみあいとなっていました。

8月29日(木)
ユーロドルは欧州市場序盤までは底堅い展開が続いていましたが、ドイツCPI速報値に先立って発表された各州のCPIが予想よりも弱かったことからユーロ売りが先行、実際に発表された数字は弱く、米国GDPが強かったことからユーロは1.1056レベルまで下げ、やや戻して引けました。

8月30日(金)
ユーロドルはNY市場まで1.1080レベルでのもみあい、NY市場ではPCE発表後のドル買いの動きから引けにかけて1.1044レベルまで下げて安値引けとなりました。



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