ドル円急落を受けユーロドル上昇するもユーロ円が相殺
〇先週のユーロ円、急速な円買い戻しにより160円の大台を割り込む
〇ユーロドルの上昇は1.09台前半まで、主役は円相場という流れ継続
〇9月FOMCで0.5%、12月までに計1.25%の利下げに動くという見方
〇ECBより米金利低下のペースの方が早く、ドル売り・ユーロ買いという動きに
〇ドル円急落と日本株急落とが足を引っ張り合う現状が落ち着くまで、ユーロドル大幅上昇はないか
〇今週は1.0825レベルをサポートに1.0975レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週はドル円が日米の金融政策決定会合が日米金利差の縮小につながることを先取りして円買い戻しが急速に進んだことで、ユーロ円では160円の大台を割り込む動きにつながりました。さすがにユーロドルでもドルの動きに多少は追随して1.09台前半までユーロ買いは見られましたが、主役は円相場という流れには変化は見られませんでした。
米欧の金利差に目を向けると、FRB、ECBともに9月利下げという見方がコンセンサスでしたが、金曜の雇用統計後にFRBは後手に回っているとの判断から9月FOMCでは2段階0.5%の利下げに動き、さらに12月FOMCまでに合わせて5回(計1.25%)の利下げに動くという見方になってきました。ECBは6月に先んじて利下げしたことでFRBよりも発射台が1%低いことを考えると、米金利低下のペースの方が早くドル売り・ユーロ買いという動きが考えられ、実際にそうした思惑に沿った動きを見せました。
しかし日欧金利差も縮小する方向であることや、史上最高値を更新していたユーロ円でも急速に円買い戻しの動きが出ていることを考えると、ユーロ円でのユーロ売りの動きがユーロドルの上昇ペースを鈍らせ、思ったほどのユーロ上昇にはつながらないというのが多くの市場参加者の見通しになっていると考えられます。現状はドル円の急落と日本株の急落とが足を引っ張りあっている状況なので、この動きが一段落するまではユーロドルが大きく上がるということは考えにくそうです。
今週はあまり目立った材料もありませんので、テクニカルな動きを日足チャートで見てみましょう。
チャートで見ると大きく上下しているように見えますが、チャートの上下の幅が400pipsに過ぎないので
実際には日々感じているユーロドルは蚊帳の外状態が続いています。直近の下げが6月安値と7月高値の
61.8%押しで止まり、現状は7月高値、そして3月高値1.0981をターゲットにドル安(ユーロ高)を試し
やすい流れにあると見てよいでしょう。
今週はドル円が激しく動きそうですから、その余波でユーロ円、そしてユーロドルも動きが出てきそうな
感じはしています。若干上下の幅を見て、今週は1.0825レベルをサポートに1.0975レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円ですが、週足チャートをご覧ください。
先週までのドル円急落の動きからユーロ円も史上最高値175.42レベルから21円もの下落を演じ、
2022年安値からのサポートラインを下抜けてきました。ターゲットとしては2022年安値と今年の
高値との38.2%押しである155.92がいったん引っかかりやすい水準ですが、ドル円が更なる円高に
動くときは半値押しの149.90、つまり大台150円を視野に入れる展開になっていきそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
8月5日(月)
16:50 フランス7月サービス業PMI
16:55 ドイツ7月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏7月サービス業PMI
17:30 英国7月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏6月PPI ☆
8月6日(火)
08:01 英国7月小売売上高
15:00 ドイツ6月製造業新規受注
17:30 英国7月建設業PMI
8月7日(水)
15:00 ドイツ6月貿易収支
15:45 フランス6月貿易収支
8月8日(木)
08:01 英国7月住宅価格
15:00 ドイツ6月鉱工業生産
8月9日(金)
15:00 ドイツ7月CPI
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
7月29日(月)
ユーロドルは朝方こそ買いが先行したもののその後は売りが目立ち、前週安値を下抜けると1.0803レベルまで下値を切り下げ、その後やや戻して引けました。結構動いたように感じても値幅自体はドル円の半分に過ぎず、依然として鈍い値動きとなりました。
7月30日(火)
ユーロドルは若干の上下があった程度で終日レンジは38pipsと小動き。ドル円とともにユーロ円の動きが中心となりました。
7月31日(水)
日銀会合、FOMCと重要な金融政策イベントが続いたものの主役は円相場、ユーロドルは多少の上下は見られたものの、終日レンジは47pipsと蚊帳の外状態。ユーロ円はドル円の円買い戻しの動きとともに1日のレンジは4円50銭に達しました。
8月1日(木)
ユーロドルは東京市場では動かず欧州市場に入り欧州株安の動きから前日安値を下回るとユーロ売りが強まりましたが、安値も1.0777レベルと値幅は小さいまま。NY市場ではドル売りの動きから下げる前の水準に戻す場面はあったものの、最終的には安値圏での引けとなりました。
8月2日(金)
米国雇用統計が予想よりも大幅に弱い数字となりドル安の動きから、1.0927レベルまで買われました。しかし、ユーロ円での下げも大きく160円の大台を割り込んだことから、ユーロドルの上昇幅はドル円に比べると半分以下の値幅となりました。
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