ドル円 円高地合い継続、大台140円を目指す展開(週報8月第1週)

先週のドル円は、日銀会合で国債購入額の減額ペースが想定よりも早かったこと、また0.25%への利上げに動いたことから円買い戻しが加速することとなりました。

ドル円 円高地合い継続、大台140円を目指す展開(週報8月第1週)

円高地合い継続、大台140円を目指す展開

〇先週のドル円、想定より早い国債購入額減額ペースと0.25%への利上げで円買い戻しが加速
〇米雇用統計が予想より弱い結果、9月に一気に0.5%の利下げが行われるという見方がコンセンサス
〇シカゴ通貨先物円売りポジション、週末の数字で7.3万枚まで縮小、投機筋も円買い戻しに動いた結果
〇利上げと円高のダブルパンチで株式市場も大幅安、日経平均株価も年初の水準へ押す動き
〇7月高値161.94レベルから1か月で20円弱もの暴落、今週中にも140円の大台割れを見に行くことも
〇今週は大台140.00レベルをサポート、146.50レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通し

先週のドル円は、日銀会合で国債購入額の減額ペースが想定よりも早かったこと、また0.25%への利上げに動いたことから円買い戻しが加速することとなりました。FOMCでは9月利下げへの言及がありましたが、雇用統計の結果が予想よりもかなり弱い結果となったことから9月に一気に0.5%の利下げが行われるという見方がコンセンサスとなっています。

週末は146円台半ばでの引けとなりましたが、週明けの市場も円買い戻しが続き、144円台後半へと円高が進行しています。利上げと円高のダブルパンチで株式市場も大幅安となり、日経平均株価も32,000円台と年初の水準へ押す動きを見せています。

日本の利上げと米国の利下げから年内は日米金利差縮小が進むという見方が拡大していますが、日本は年内にもう1回利上げし0.5%へ、米国は雇用統計後に急速に利下げ思惑が広がり雇用統計後には5回(1.25%)の利下げを織り込み始めました。日銀が引き締めに転じる前には5.25%の金利差だったものが3.5%まで縮小することを織り込んだ動きとなり、日米金利差と円相場との乖離が急速に修正されてきました。

またシカゴの通貨先物の円売りポジションも7月初めの時点では18.4万枚と史上最大の18.8万枚(2007年)に迫る水準に円売りが拡大していましたが、介入とその後の円買い戻しが急速に進んだことから週末に発表された数字では7.3万枚にまで縮小してきました。4週間でここまでのポジション変化が出ているということは、投機筋も一斉に円買い戻しに動いた結果と言えるでしょう。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

日経平均株価は既に年初の安値にほぼ並ぶ水準まで下げていますが、ドル円も昨年12月末の安値140.24レベルが視野に入ってきました。まだ距離はあるものの、7月高値161.94レベルから1か月で20円弱もの暴落(本日安値142.20レベル)を演じてきたことを考えると、あと2円しかありませんので、早ければ今週中にも140円の大台割れを見に行ってもおかしくはありません。

日柄的にも今週は荒れやすい1週間となっていますので、要注意でしょう。また上値の目途はこうなると金曜の安値圏が3月安値圏と一致していることから146円台半ばが既にレジスタンスと見てよさそうです。ただ荒れやすいということは上振れも大きくなりますので、その点には注意です。

ということで今週は大台140.00レベルをサポートに、146.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

円高地合い継続、大台140円を目指す展開

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月5日(月)
08:50 日銀会合(6月)議事要旨
10:45 中国7月Markitサービス業PMI
16:50 フランス7月サービス業PMI
16:55 ドイツ7月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏7月サービス業PMI
17:30 英国7月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏6月PPI ☆
22:45 米国7月サービス業PMI
23:00 米国7月ISM非製造業景況指数 ☆

8月6日(火)
06:00 サンフランシスコ連銀総裁講演 ☆
08:01 英国7月小売売上高
13:30 豪中銀政策金利発表
14:30 豪中銀総裁会見
15:00 ドイツ6月製造業新規受注
17:30 英国7月建設業PMI
21:30 米国6月貿易収支

8月7日(水)
15:00 ドイツ6月貿易収支
15:45 フランス6月貿易収支
23:30 週間原油在庫統計

8月8日(木)
08:01 英国7月住宅価格
08:50 日銀会合(7月)主な意見 ☆
08:50 本邦6月貿易収支
15:00 ドイツ6月鉱工業生産
21:30 米国新規失業保険申請数 ☆
23:00 米国6月卸売売上高
28:00 リッチモンド連銀総裁講演 ☆

8月9日(金)
**:** シンガポール市場休場
10:30 中国7月CPI ☆・PPI
15:00 ドイツ7月CPI

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月29日(月)
ドル円は早朝にドル買いが先行し154.35レベルの高値を見た直後に反落し、昼前には153.01レベルの安値をつけました。31日の日銀会合を前に神経質なスタートとなりましたが、その後はじり高の展開が続き154.00レベルでの引けとなりました。

7月30日(火)
ドル円は東京市場では日銀会合前のポジション調整と日経平均が上昇した動きを受け後場には一時155円台乗せを見ました。その後NY市場までは154円台後半でもみあっていましたが、NHKが日銀会合での国債購入額減額規模と0.25%への利上げを報じ、その後日経も同内容の速報を出したことで152.64レベルへと急反落。そのまま安値圏での引けとなりました。

7月31日(水)
ドル円は前日NY市場の流れを受け日銀会合前も円買いが先行していました。結果発表直後は円一段高後に円安に振れと荒っぽい動きとなりましたが、前日リークされていたとはいえ国債購入減額のペースが速いこと、0.25%へと利上げされたことに加え、年内追加利上げの可能性もあることから総裁会見後に改めて円買いの動きが強まりました。FOMCは想定通り現状維持ではあったものの直前に買い戻しも入っていたこと、9月利下げに言及したことで米金利が低下、ドル売り・円買いのトレンドが確定的となって引けました。

8月1日(木)
ドル円は前日の日銀会合とFOMC後の流れを受け東京仲値過ぎに一時148.51レベルの安値をつけました。同水準は昨年12月安値と今年高値の61.8%押しとなる148.54と一致したこともあり、短期筋の利食いも出て、その後はNY市場まで買い戻しが入り150.89レベルの高値をつけました。しかし前日NY市場高値を試せず発表された経済指標も予想より弱かったことから引けにかけては149円台前半へと押しました。

8月2日(金)
米国雇用統計を前に予想よりも弱い数字が出る可能性もあり149円台半ばでは上値が重たい展開が続きました。雇用統計は非農業部門が+11.4万人、失業率4.3%と予想よりもかなり弱い数字に株安とドル安が同時進行しました。引けは146円台半ばと3月以来の円高水準となりました。



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