FOMC結果のポイント:「9月利下げ実施を示唆、米景気悪化懸念のドル売りは継続か」(24/8/5)

連邦準備制度理事会(FRB)は、7月30日−31日の連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限5.25%、上限5.5%と8会合連続で据え置いた。

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FOMC結果のポイント:「9月利下げ実施を示唆、米景気悪化懸念のドル売りは継続か」(24/8/5)

9月利下げ実施を示唆、米景気悪化懸念のドル売りは継続か

【今回のポイント】

〇 政策金利は8会合連続で下限5.25%、上限5.5%を据え置き
〇 パウエルFRB議長は9月利下げ実施を示唆
〇 FOMC後は米景気減速懸念が高まり米10年債利回りは3.7%台まで低下

【FOMCの結果】

連邦準備制度理事会(FRB)は、7月30日−31日の連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限5.25%、上限5.5%と8会合連続で据え置いた。FOMC声明では、インフレについて「2%の目標に向けてさらなる一定の進展があった」とし、早ければ次回9月会合で利下げを実施する可能性を示唆した。

パウエルFRB議長が、FOMC後に行った記者会見での発言は下記の通り。
「労働市場はより良い均衡にある」
「失業率はなお低水準にある」
「労働市場が新型コロナのパンデミック前の状態に回帰したことがデータから示唆される」
「インフレ率は依然として目標の2%を幾分上回る水準にある」
「労働市場の鎮静化に伴い、インフレ率は低下し、リスクは引き続き「より良いバランス」に移行している」

「(9月利下げについて)まだ決定していない」
「われわれはデータに依存しているが、データポイントに依存しているわけではない」
「データが全体としてインフレと雇用に対する信頼の高まりと一致するかが焦点」
「9月に利下げが検討される可能性」
「金利引き下げの段階に近づいている」
「インフレが急速に低下もしくは予想通りに推移し、成長が適度に堅調で労働市場が現状と一致すれば、9月に利下げが検討される可能性がある」
「きょう公表された経済指標は、予想よりやや軟調だった」
「労働市場の状況の緩和で経済が過熱していないという確信が強まる」
「利下げ開始に適切な時期が到来しつつある」
「今から9月の次回会合までに多くのデータが発表される」
「19人の参加者全員が今回の決定を支持」
「今回の会合で利下げの是非について真剣に討議された」
「求人件数は歴史的に見てなお高水準」
「政治的な日程によってアプローチを変えることはない」
「まだ出ていない選挙の結果に基づき、政策を決定することは決してない」
「(0.50%ポイントの利下げは)現時点では検討していない」
「利下げの時期が近づいている」

【市場の反応】

9月利下げ実施がほぼ確実視されたことから、発表直後の米10年債利回りは4.1%台から4.0%台まで低下。為替市場では、ドルインデックスが104水準から103.8水準とやや下落したに留まったが、投機筋による円売りポジションの巻き戻しが進み、ドル・円は、翌8月1日の東京時間で148円台に突入した。一方、株式市場では、金利低下を材料に資本財など景気敏感株が買われる地合いとなった。

【今後、ドルはどう動く?】

発表直後こそ、米金利低下に伴う米国株高という展開となったが、その後発表された新規失業保険申請件数が1年ぶりの高水準となったほか、ISM製造業景況指数が予想外に低下するなど急速な景気悪化観測が強まり、金利低下、株安、ドル安の地合いが強まった。週末に発表された7月雇用統計が市場予想を大幅に下回ったうえ、失業率も市場予想より悪化したことなどから、10年債利回りは昨年12月以来の3.7%台まで低下。

ドルインデックスは、3月21日以来の102台まで低下するなどドル売り圧力が強まり、2日の海外時間でドル・円は146円台に突入した。東京時間3日未明にCFTCが公表した7月30日時点の投機筋の円売りポジションはネットで7.3万枚と7月23日時点よりも3.4万枚減少。1月23日時点の7.0万枚以来の円売りポジションの傾きとなったが、7月30日時点よりも8月2日時点では、ドル・円は6円ほど円高ドルが進行したことから、足元のネットの円売りポジションは今年最低(1月9日時点の5.5万枚)を下回ったと推測する。

投機筋の円売りポジションの巻き戻しはほぼ一巡しつつあるなか、ドル売り圧力がより強まるか注目だ。9月会合での0.5%幅の利下げの可能性が高まっているなか、今後は、パウエルFRB議長が再三指摘しているデータ(米経済指標)の内容を見極める地合いとなろう。為替市場はボラティリティが高まっていることから、下値模索中のドル・円は、2月以来の145円台に突入する可能性は十分ある。

また、日本株の急落でリスク回避の円買い圧力が強まる可能性も意識しておきたい。円高が加速した分、米国株市場よりも日本株市場のダメージが大きい。7月上旬以降、投機筋による円売りポジションの解消が円全面高の要因だったが、今後は円買いポジションの積み上げを警戒か。ドルを含めた主要通貨に対する円の動向には引き続き注意が必要だ。

【2024年スケジュール】

※米国は現地時間を記載しているので、金利発表及び記者会見は日本時間翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)
1月22日−23日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持
3月18日−19日・・・マイナス金利の解除、YCC終了、ETF等の買い入れ終了
4月25日−26日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持、展望レポート見通し引き上げ、記者会見後は円全面安の展開
6月13日−14日・・・国債買入額を引き下げる方針を決定、詳細は7月に公表
7月30日−31日(経済・物価情勢の展望)・・・国債買入額の減額と利上げ実施を発表
9月19日−20日
10月30日−31日(経済・物価情勢の展望)
12月18日−19日

米連邦公開市場委員会(FOMC)
1月30日−31日・・・4会合連続で金利据え置き
3月19日−20日・・・5会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長は、年内利下げの可能性を再表明
4月30日−5月1日・・・6会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長はややハト派な発言
6月11日−12日・・・7会合連続で金利据え置き、24年利下げ回数は3回から1回に修正
7月30日−31日・・・8会合連続で金利据え置き、9月利下げ実施を示唆
9月17日−18日
11月 6日− 7日
12月17日−18日

欧州中央銀行理事会(ECB理事会)
1月25日・・・現状の金融政策を維持、利下げの議論は時期尚早
3月 7日・・・現状の金融政策を維持、6月利下げ開始を示唆する発言
4月11日・・・現状の金融政策を維持、大きなサプライズが無い限り6月利下げ開始か
6月 6日・・・想定通り政策金利を0.25%引き下げ、追加利下げは明言せず
7月18日・・・金据え置きを発表、利下げ実施は「データ次第」
9月12日
10月17日
12月12日

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