ユーロ 投票結果想定内でユーロ高も上値は限定的(週報7月第1週)

先週のユーロはフランス総選挙に向けて不安はあるものの上下ともにトライしきれない展開が一週間続くこととなりました。

ユーロ 投票結果想定内でユーロ高も上値は限定的(週報7月第1週)

投票結果想定内でユーロ高も上値は限定的

〇先週のユーロドル、上下ともにトライしきれない展開続き、週間レンジ80pipsに留まる
〇フランス総選挙に向け静かな動き続くも、1.06台半ばの底堅さ目立つ
〇週明け早朝の為替市場、仏投票結果想定内で安心感からユーロ買い先行
〇中長期的には財政悪化に目が行くが、7月はオリンピックもあり短期的には悪材料に目が向かないか
〇ユーロ円、一時173.32レベルまで上昇し史上最高値更新、次のターゲットは174.38
〇今週は1.0675レベルをサポート、1.0800レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロはフランス総選挙に向けて不安はあるものの上下ともにトライしきれない展開が一週間続くこととなりました。週間レンジも80pipsにとどまり、ドル円での円安の動きがユーロ円にも波及したことで、週末に向けては若干底堅い動きでの週末クローズとなりました。

昨日行われたフランス総選挙の1回目投票では予想通り極右RNが躍進し、得票率33.5%で第1党、左派連合が28.5%、与党連合は22.1%で第3党へと陥落です。ここまでは予想通りということで、いったんは安心感から週明け早朝の為替市場はユーロ買いが先行しました。ただ、今週末には決選投票があり、RNが過半数を取る可能性があることから極右政権を排除するため与党連合と左派連合での選挙協力によるRN対極右以外という方向も見られるかもしれません。

この場合には極右政権にはならないといういっぽうで、マクロン大統領の思うように議会運営が出来なくなるという点はRNが政権を取った場合とそれほど違いは無いかもしれません。またRNが政権を取ると財政拡大といった方向はあるものの一時期のようなEU離脱といった過激な政策は影を潜め、そのことが支持率上昇につながっていることを考えると、選挙後に一気にユーロが売られるといったことにもならなそうです。

中長期的に財政悪化といった方向に目が行くでしょうが、今月はパリ・オリンピックもあり、短期的には悪材料には目が向かない7月になるかもしれません。果たしてRNが政権を取るのか取らないのかは一週間後の決選投票で見えてきます。

今週はECBフォーラムがあり、ECB関係者の講演が多いこと、またECB理事会の議事要旨公表、ユーロ圏CPI速報値など米国雇用統計以外にも重要なイベントが連日続きます。その時々で動きは出そうではありますが、フランス決選投票までに方向感が出ることは無いと思います。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

投票結果想定内でユーロ高も上値は限定的

フランス総選挙に向けて静かな動きが続いていますが、直近では1.06台半ばの底堅さが目立ちました。6月後半の動きからすると今週も下値は1.0670水準、いっぽうで上値は6月レンジの半値戻しとなる1.0790レベルとなるでしょう。今週は1.0675レベルをサポートに1.0800レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週は市場最高値を更新したユーロ円を見ておきましょう。

投票結果想定内でユーロ高も上値は限定的 2枚目の画像

週明けのユーロ高の動きの中で一時173.32レベルまで上昇し、史上最高値を更新する動きとなっています。決選投票を前にこのままユーロ高が進むとも思えませんが、円安が止まらない状況下、次のターゲットを考えておく必要はあるでしょう。

目先は平行上昇チャンネルの中での動きとなり高値圏に近いと見られますが、中期的には5月安値を起点とした上昇N波動の100%エクスパンションとなる174.38が次のターゲットとなります。押しが入って下がり切らない場合、ドル円で円一段安の動きが出てくる場合に気にしておきたい水準です。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

7月1日(月)
15:00 英国6月住宅価格
16:50 フランス6月製造業PMI
16:55 ドイツ6月製造業PMI
17:00 ユーロ圏6月製造業PMI
17:30 英国6月製造業PMI
21:00 ドイツ6月CPI速報値 ☆
**:** ECBフォーラム(〜3日)

7月2日(火)
16:30 デギンドスECB副総裁講演 ☆
17:30 エルダーソンECB理事講演
18:00 ユーロ圏6月CPI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏5月失業率
19:30 シュナーベルECB理事講演
22:30 パウエルFRB議長 ☆、ラガルドECB総裁講演 ☆

7月3日(水)
16:50 フランス6月サービス業PMI
16:55 ドイツ6月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏6月サービス業PMI
17:30 英国6月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏5月PPI ☆
18:00 チポローネECB理事講演
19:30 レーンECB理事講演 ☆
23:15 ラガルドECB総裁講演

7月4日(木)
**:** NY市場休場
15:00 ドイツ5月製造業新規受注
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
**:** 英国総選挙

7月5日(金)
15:00 ドイツ5月鉱工業生産
15:45 フランス5月鉱工業生産、貿易収支
18:00 ユーロ圏5月小売売上高
21:30 米国6月雇用統計 ☆
26:15 ラガルドECB総裁講演

7月7日(日)
**:** フランス総選挙決選投票 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

6月24日(月)
ユーロドルは東京後場からじり高の動きが始まり、欧州市場に入るとユーロ買いが強まり、対ドルだけでなく対円でも上昇。フランス総選挙1回目の投票に向けて、極右優勢な情勢からユーロを売っていた向きの利食いも出ていた様子で、1.0746レベルまで上昇後そのまま高値圏での引けとなりました。

6月25日(火)
ユーロドルは前日の買い戻しに対して改めて売りが出た動きとなりましたが、値幅自体は狭く週末のフランス総選挙に向け、新たな材料が出てこないと動きにくいという状況でした。極右優勢も過半数は取れずという状況のまま投票日を迎えることがコンセンサスであるものの、焦点は極右が連立で政権を取れるのかどうかにかかり、決選投票が終わっても、組閣まで動きにくい流れが続く可能性も高そうだという見方となっていました。

6月26日(水)
ユーロドルは週末のフランス総選挙に向けてRN(極右)の支持率が注目材料となりましたが、直前の世論調査では36%(欧州議会では31.4%)と与党連合20%、左派4党27%を大きく引き離してきました。RNの単独過半数は難しいと見られているものの、可能性もありそうだということから改めてユーロの上値が重くなっていました。

6月27日(木)
ユーロドルはNY市場まではドルの上値の重さから底堅く、NY市場では米金利低下によるドル売りがユーロドルで見られたことから一段高とはなったものの、週末のフランス総選挙を控えて積極的な取引は手控えられました。終日のレンジは50pipsとなっています。

6月28日(金)
ユーロドルは東京朝方はドル円のドルの動きに引っ張られて売りが先行、1.0685レベルの安値をつけたもののその後は全般的なドル売りの動きから買い戻しが入りました。NY市場では円売りの動きがユーロ円でも見られたため、1.0725レベルまで買い戻されたもののフランス総選挙を控えて積極的な取引は手控えられている様子でした。


注:ポイント要約は編集部

ディスクレーマー

アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る