ドル/円は底堅い、欧州情勢にも要注意
〇本日のドル円、基本は161円挟みで高原推移、けん制発言は聞かれず
〇材料難でやや方向性を欠いた動き、16時現在は160.90-95で推移
〇先週高値161.28を超えたら再び青天井に、162円を目指す展開か
〇7月以降の日米金融政策を注視しつつ、米経済指標や要人発言に要注意
〇本日は米6月製造業PMI確報やISM製造業景況指数等の発表予定
〇ドル高・円安方向、本日先週高値161.28をめぐる攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向、先週後半に数回下げ止まった160.3円レベルはかなり強いサポートか
〇ドル円予想レンジ:160.50-161.40
<< 東京市場の動き >>
週明けの東京市場はドルが高原推移。前週記録した年初来高値は更新できなかったが、それでも161円挟みの高値圏で一進一退となった。
先週末、6月30日に実施されたフランス下院選において「極右が最大勢力の勢い」などと速報で伝えられるなか、本日早朝5時ごろに北朝鮮がまたもや弾道ミサイルと思しき飛翔体を発射したようだ。
そうした状況下、ドル/円は160.85-90円で寄り付いたものの、基本は161円挟みで右往左往。レベル的なものもあり、当局の介入警戒感は根強かったが、神田財務官などによるけん制発言はとくに聞かれず。手掛かり材料難ということで、やや方向性を欠いた動きをたどっている。16時現在では160.90-95円で推移、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「欧州情勢」と「米大統領選」について。
前者は、前述したように6月30日に実施されたフランス下院選において「極右が最大勢力の勢い」と伝えられるなか、7月4日に実施される英総選挙も与党の苦戦、さらには一部で政権交代の可能性も取り沙汰されていたようだ。広義の欧州情勢を不安視する向きも少なくない。さらに、親露派として知られるハンガリーが1日から半年間のEU議長国に就任しており、ウクライナ支援などへの悪影響も取り沙汰されていた。実際、オルバン首相は27加盟国による全会一致が求められる局面で拒否権を盾に決定をたびたび妨害するという「前歴」がある。欧州全体がある種の曲がり角にきているようだ。為替市場におけるユーロやポンドの動きも気掛かりだ。
対して後者は、先週末の東京時間に行われた米大統領候補者のテレビ討論会において、「惨敗を喫した」と目される現職・バイデン氏。それもあり、リベラル系有力米紙であるNYタイムズが「バイデン氏は再選を諦めて選挙戦から撤退するべき」などと報じ、物議を醸していたようだ。しかし別の報道によると、バイデン氏は9月に再び実施される討論会への参加意欲を見せるなど、巻き返しを誓っていたという。なお、そうしたなかロイターはトランプ前米政権高官が、トランプ氏復権の際にも「日米韓の3ヵ国連携を支持し、協力を続ける方針を説明した」と報じている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル円相場は先週末に161.28円まで続伸。また本日東京では前記高値を更新することは出来なかったが、それでも一時的にはやはり161円台を示現している。基本的なリスクは引き続きドル高方向に高いと言わざるを得ない。レベル感や上昇スピードなどを考慮すると、実弾介入にも当然要注意だが、飽くまで対処療法に過ぎず、効果は限られるといった見方が優勢だ。もっとも、それでも実施されれば3円程度は簡単に下落する可能性もある。
市場は7月以降の日米金融政策を注視。うち日銀については7月末の会合で「修正」に動く可能性が取り沙汰されているほか、前回会合のドットチャートから「利下げは年内1回にとどまる」と目されていた米国は、ここにきて「2回利下げ見通し」が再び優勢となりつつあるようだ。いずれにしても、それら情勢を見極める意味も含め、短期的には発表される米経済指標や要人発言にまずは要注意。また俄かに関心が高まり始めた米大統領選ファクターも場合によっては市場の波乱要因に。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場はすでに明確な上値メドが見当たらず、先週高値161.28円を超えたら再び青天井となりそう。台替わりとなる162円を目指す展開か。
しかし、2022年ぐらいからのドル高サイクルをみると、最短では目先安値から10円程度、7-8週間の上昇でピークを迎えている。目先高値から半値程度の下押しを経て、再びドル高へと振れることになるのだが、ともかく最初の関門が近付きつつある。
本日は米経済指標として、6月の製造業PMI確報や同ISM製造業景況指数などが発表される予定となっている。以前から指摘しているように、ここ数週間は発表される米指標に一喜一憂することが少なくないようだ。それも好数字に反応することの多いようなので、逆に悪い数字が出たときこそ要注意だろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは160.50-161.40円。ドル高・円安方向は、本日先週高値161.28円をめぐる攻防にまずは注目。上抜けると明確なメドがないものの、先週末4本値を参考にしたピボット161.30-35円や161.80円レベルが一応のメドに。
対するドル安・円高方向は、先週後半に時間足ベースなどで数回下げ止まった160.30円レベルはかなり強いサポートか。その上、本日東京安値にあたる160.65円レベルも、弱いながら一応サポートとして意識される存在か。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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