ユーロ ユーロは対ドル、対円ともに下げる流れとなるか(週報4月第3週)

先週のユーロドルは、一週間の値幅が久しぶりにドル円を上回る下げとなり、ドルの動きとしても対円以上に動いた週になりました。

ユーロ ユーロは対ドル、対円ともに下げる流れとなるか(週報4月第3週)

ユーロは対ドル、対円ともに下げる流れとなるか

〇先週のユーロドル、強い米CPIきっかけにドル買い、一時昨年11月3日以来の安値1.0623レベルに
〇ECB早期利下げの思惑によるユーロ売りが対ドル、対円ともに出たことで下げ幅が拡大
〇ドル円のような介入警戒が無い分、今週もユーロは戻り売りを考える市場参加者が多くなるか
〇今週、ECB関係者の講演多く、市場の利下げ思惑に対してヒントになる発言見られるかが最大の注目材料
〇ユーロ円、ユーロドルの下げもあり、3月高値と4月高値でダブルトップ状のチャートパターン
〇今週はテクニカルな観点から1.0540レベルをサポート、1.0710レベルをレジスタンスとする週を見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは月曜火曜こそもみあいを続けていましたが、予想よりも強い米国CPIが直接的なきっかけになってドル買い(ユーロ売り)へと動き、ユーロドルは一時1.0623レベルと昨年11月3日以来の安値を見ることとなりました。一週間の値幅が久しぶりにドル円を上回る下げとなり、ドルの動きとしても対円以上に動いた週になりました。

ユーロ売りの材料として、ひとつはCPIをきっかけとした米金利上昇によるドル買いという米ドル要因がありましたが、ECBが早期に利下げに動くかもしれないという思惑によるユーロ売りが対ドル、対円ともに出たことで下げ幅が大きくなったことがあります。

ドル円では介入警戒感もある中で円が続落はしていますが、153円台後半に入ってきたことで一段と警戒感は高まりますが、ユーロドルに関してはそうした警戒が無い分、今週もユーロは戻り売りを考える参加者が多くなりそうです。そうした中で今週はECB関係者の講演が多く、ほぼ毎日誰かが話すという週になりますので、市場の利下げ思惑に対してヒントとなるような発言が見られるのかが最大の注目材料になるでしょう。

テクニカルには悩ましいチャートパターンが続いています。いつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロは対ドル、対円ともに下げる流れとなるか

3月高値を起点とした拡散型のもみあいパターンが続き、先週に安値はその拡散ウェッジの下限でいったんは止められています。またこの水準は12月高値からの下降N波動では78.6%エクスパンションが1.0631、3月高値からの下降N波動では100%エクスパンションが1.0627とテクニカルには3つの水準がほぼ一致したことで、目先は下げ止まりやすい水準とも言えます。

ただ、2月安値1.0694を下回ったことで目先の戻しが1.07水準で抑えられると更なる下げに繋がる可能性が高まり、その場合には上述した下降N波動の次のターゲットとなる1.0558から1.0536と1.05台半ばを試しやすい展開になっていくと見られます。ドル円の動きやECB関係者の発言など材料はありますが、テクニカルには1.05台半ばから1.07水準という動きはいかにもありそうなレンジと言えるでしょう。

今週はテクニカルな観点から1.0540レベルをサポートに、1.0710レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートをご覧ください。

ユーロは対ドル、対円ともに下げる流れとなるか 2枚目の画像

先週は月足で長期的には169.95レベルを視野に入れやすいということを書きましたが、短期的にはユーロ円上昇はいったんお預けです。ユーロドルの下げもあり、3月高値と4月高値でダブルトップ状のチャートパターンになってきました。

また先週の安値は上昇チャンネルの下限で下げ止まったことから、下値も底堅い印象で、ユーロドルは下げるもののドル円で介入が出なければ今週は先週のレンジ内の動き、介入が出る場合には安値を抜けてこれまでの上昇チャンネルを下抜ける動きになっていくと考えられます。後者の場合には、3主要通貨ペアともに下げていく流れになるでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

4月15日(月)
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
21:00 レーンECB理事講演 ☆

4月16日(火)
15:00 英国3月失業率
18:00 ドイツ4月ZEW景況感 ☆
18:00 ユーロ圏4月ZEW景況感 ☆
18:00 ユーロ圏2月貿易収支
26:00 英中銀総裁講演 ☆

4月17日(水)
15:00 英国3月CPI ☆
18:00 ユーロ圏3月CPI
22:00 チポローネECB理事講演 ☆
24:00 スペイン中銀総裁講演 ☆
24:45 シュナーベルECB理事講演 ☆

4月18日(木)
18:00 ユーロ圏2月建設支出
21:30 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
26:00 ポルトガル中銀総裁講演

4月19日(金)
15:00 ドイツ3月PPI ☆
15:00 英国3月小売売上高
23:30 (シカゴ連銀総裁講演)
28:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

4月8日(月)
週明けのユーロドルはNY市場まで動かず。ドル円が高値をトライしようとした際にはユーロ円でも買いが出たことでユーロドルも上昇、1.0862レベルの高値をつけそのまま高値圏での引けとなりました。

4月9日(火)
ユーロドルは欧州市場前場まではほとんど動かず、欧州市場に入ってから米金利低下をきっかけにユーロ買いの動きとなりました。一時1.0885レベルの高値をつけたものの、引けにかけては下げ、行って来いの動きとなりました。

4月10日(水)
ユーロドルはNY市場までは動かず、予想よりも強かった米国CPIをきっかけに米金利上昇、ユーロ売り(ドル買い)の動きから1.0729レベルまで水準を下げました。

4月11日(木)
ユーロドルは動きは鈍かったものの米国PPI後の上下で1.0699レベルの安値をつける動きとなりました。ユーロ円は164円台前半をもみあいの中心とした動きが続きました。

4月12日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤以降はECBの利下げ思惑を材料にユーロは対ドル、対円ともじり安の展開となり、ユーロドルは1.0622レベルまで水準を下げ、そのまま安値圏での引け。ユーロ円も安値162.27レベルと東京朝方から2円以上の下げとなりました。



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