そろそろ介入に要注意
〇先週のドル円、米CPIきっかけに151円台後半のもみあい上抜け、1990年以来の高値153円台前半へ
〇4/9時点のシカゴ通貨先物、大口投機筋の円売りポジションは2007年6月以来17年ぶりの高水準
〇3月最終週の3者会談からは約2円の円安進行。いつ介入が出てもおかしくない状況
〇テクニカルには次のターゲットは154円台後半、そこまで放置すると円安が止まらなくなる懸念も
〇今週は需給とテクニカルな観点が気になる
〇152.00レベルをサポート、154.00レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通し
先週のドル円は151円台後半のもみあいを上抜け、153円台前半へと1990年以来の高値を見る動きとなりました。きっかけとなったのは高い米国CPIで、総合CPIだけでなく低下が予想されていたコアCPIも前月と同水準となったことで、米金利上昇とドル買いの動きで反応することとなりました。
これまでもみあいを続けていた反動とはいえ、151円台後半から152円台前半にあったドル売りオーダーをこなしてのドル一段高となったことで、ポジション的にはかなり円売りが増えたであろうことは容易に想像がつくところです。実際にシカゴの通貨先物における大口投機筋の円売りポジション(9日時点)は約16.2万枚と2007年6月以来17年ぶりの高水準となっていて、現状では更に増えていると考えられます。
もちろん、一定数以上には増えないということは無いものの、かなりレアな水準まで円売りが進行中であることを考えると、そろそろ警戒すべき水準になってきたと見られます。今回は3月最終週の3者会談から約半月が経過、本日の値動きまで含めると会談時の水準から約2円の円安進行となっています。2022年の時は会談から2週間後に介入が出ましたが、その間の値動きは1円40銭程度であったことを考えると、いつ介入が出てもおかしくない状況にあると考えています。
先週は岸田首相が訪米し日米首脳会談があったことから、介入は控えていただけかもしれませんし、週明けの動きを見ている限りレートチェック位はあるのではないでしょうか。テクニカルにも既にいくつかのターゲットを達成し、次のターゲットは154円台後半となりますが、そこまで放置すると円安が止まらなくなる懸念も出てきそうです。
今週は経済指標やFRB関係者の講演もありますが、それ以上に需給とテクニカルな観点が気になる週となりそうです。テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
昨年12月安値を起点に2月高値までの上げ、3月安値までの押しを3点として、現在の上げをフィボナッチ・エクスパンションで求めると61.8%が153.04、78.6%(61.8%の平方根)が154.83、100%が157.10(それぞれピンクのターゲット)となっています。78.6%に近い大台155円はターゲットとなりやすい水準ではありますが、上述した通りでそろそろ警戒水域に入っていて、154円水準がレジスタンスになりやすいと見ています。
いっぽうで、それまで151.90/95水準が強いレジスタンスであったことから、現在は152円水準がサポートとなりやすいと言えます。今週は152.00レベルをサポートに、154.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
4月15日(月)
15:30 (ダラス連銀総裁講演)
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
21:00 レーンECB理事講演 ☆
21:30 米国4月NY連銀製造業景況指数 ☆
21:30 米国3月小売売上高 ☆
23:00 米国2月企業在庫
23:00 米国4月NAHB住宅指数 ☆
4月16日(火)
09:00 サンフランシスコ連銀総裁講演 ☆
11:00 中国1〜3月期GDP
11:00 中国3月鉱工業生産、小売売上高
15:00 英国3月失業率
18:00 ドイツ4月ZEW景況感 ☆
18:00 ユーロ圏4月ZEW景況感 ☆
18:00 ユーロ圏2月貿易収支
21:30 米国3月住宅着工 ☆・建設許可
22:00 ジェファーソンFRB副議長講演 ☆
22:15 米国3月鉱工業生産、設備稼働率
25:30 フランス中銀総裁講演 ☆
26:00 英中銀総裁講演 ☆
26:15 パウエルFRB議長講演 ☆、カナダ中銀総裁講演
4月17日(水)
07:45 NZ1〜3月期CPI
08:50 本邦3月貿易収支(通関)
15:00 英国3月CPI ☆
18:00 ユーロ圏3月CPI
22:00 チポローネECB理事講演 ☆
23:30 週間原油在庫統計
24:00 スペイン中銀総裁講演 ☆
24:45 シュナーベルECB理事講演 ☆
27:00 ベージュブック ☆
**:** G20(〜18日)
4月18日(木)
07:30 ボウマンFRB理事講演 ☆
10:30 豪州3月失業率
18:00 ユーロ圏2月建設支出
21:30 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
22:15 NY連銀総裁講演 ☆
23:00 米国3月中古住宅販売 ☆、景気先行指数
24:00 (アトランタ連銀総裁講演)
26:00 ポルトガル中銀総裁講演
4月19日(金)
08:30 本邦3月CPI ☆
15:00 ドイツ3月PPI ☆
15:00 英国3月小売売上高
23:30 (シカゴ連銀総裁講演)
28:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月8日(月)
週明けのドル円は週末雇用統計後のドル買いを継続し、NY市場までは米金利上昇とともにじり高の展開となりました。NY朝方に151.94レベルの高値をつけたものの新値更新とはならず、米金利も下げに転じたことから東京市場の水準に押して引けました。
4月9日(火)
ドル円は米金利低下とともにじり安の展開が続きNY前場には151.57レベルの安値をつけた後にやや戻して引けました。水準的にはほぼ前日のレンジ内の動きとなりましたが、4月日銀会合で物価見通しを上方修正するとの観測記事もドルの上値を抑える材料となっていました。
4月10日(水)
NYまでは151円台後半の小動きでしたが、NY市場朝方に発表された米国CPIが3.5%へ上昇、コアCPIも低下予想に反して3.8%と変わらずとなったことで米金利が4.5%を超える動きとともに、ドル円もドル売りオーダーをこなし、さらに介入も出なかったことでドルを売っていた短期筋が損切りに回り153.24レベルの高値をつけました。
4月11日(木)
ドル円は神経質な展開が続き、153円台前半で介入警戒感があるいっぽうで介入が出ないならば金利差縮小思惑の後退によるドル買いと、方向感が出にくい流れとなりました。米国PPIは予想より弱く押しが入ったものの、すぐに買い戻され153.32レベルとわずかに高値を更新し、底堅い流れのまま引けました。
4月12日(金)
ドル円は東京朝方にドル売りが先行したもののその後はじり高となり欧州市場序盤には153.38レベルと高値を更新する動きを見せました。NY市場ではイランによるイスラエル攻撃が行われるとの見方から株安が進み、為替市場では円買い一時152.59レベルの安値をつけました。しかしこの動きも続かず、引けにかけては153円台前半に戻しての週末クローズとなりました。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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