ユーロドルはチャンネル下抜けの可能性
〇ユーロドル、週間レンジは91pipsで鈍い動き続く
〇今週は金融政策ウィーク、FRB緩和後退はリスクシナリオ、タカ派寄りメンバーのコメントに要注意
〇3/21、現状維持予想の英中銀、利下げ可能性高いと見られるスイス中銀の動きも要注視
〇米金利上昇でユーロドルがチャンネル下抜けの可能性も。2月安値と3月高値半値押し1.0837ターゲット
〇ユーロ円、12月安値起点の上昇チャンネル内の動き続く。押し目買い入りやすい流れに変化無さそうか
〇今週は、1.0830レベルをサポート、1.0940レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週に限ったことではありませんが、ユーロドルは鈍い動きが続いています。週間レンジは91pipsとドル円の半分以下どころか3分の1に留まり、金曜の27pipsレンジは年初来最低値幅とすっかり蚊帳の外状態です。テクニカルにもターゲットとなる水準を抜けることなく仕掛ける向きもいないという状態です。
今週は金融政策ウィークでユーロに最も影響が出る可能性がある会合は20日のFOMCです。現時点では3月だけでなく少なくとも5月までは現状維持、6月からの利下げがコンセンサスです。しかし、直近の米国のインフレ関連指標が高めとなっていることもあり、6月利下げの織り込み度は58%に低下しています。今回のFOMCでは金利見通しが示されますが、こちらも12月からは変わらず年末で3回利下げと考える向きが多いものの、もし2回利下げへと緩和後退が示される場合には米金利上昇によるドル高、ユーロドルは下げる動きになると見られます。
仮に今回が緩和後退で2回としても6月に示される見通しで3回に戻すといったことはFRBとしては避けたいところです。なるべく一貫したブレない姿勢を示す方向性を考えると今回も3回で6月までの状況を見た上で考えることになるのではないかと思います。その点では緩和後退はリスクシナリオではあるものの、タカ派寄りのメンバーがどのようなコメントをするのかも含めて注意は必要でしょう。
また英中銀、スイス中銀の会合も21日にありますので、英中銀は現状維持、スイス中銀は利下げの可能性が高いと見られていますが、念の為両中銀の動きにも注意は必要です。
あまりに動きが冴えないのですが、テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
年初来安値と3月安値とを結んだサポートラインに平行なチャンネルを2月22日高値に合わせて引いてありますが、上値も下値も引き続きこのチャンネルに止められています。ただ先週の米金利上昇に伴いユーロドルが水準を下げてきたことで、今週の動き次第では下抜けする可能性もあり、その場合は2月安値と3月高値の半値押し1.0837がターゲットとなってきます。
いっぽうで上値はFOMCが無風通過の場合でも1.09台半ばでは売りが出やすいと言えます。最近あまりに動かないため、突然の動きが出ても不思議では無いものの、引き続き鈍い値動きを継続すると見て、1.0830レベルをサポートに、1.0940レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートをご覧ください。
12月安値を起点とした大きめの上昇チャンネルの中での動きを続けています。先週安値は12月安値と1月安値を結んだサポートライン上で下げ止まり、現在は戻りの局面にありますが、ユーロドルが下げる動きとなった場合には、改めてサポートラインを試す動きになって行きそうです。
それでも、このチャンネルを明確に下抜けない限り、ユーロ円は引き続き押し目買いが入りやすい流れに変化は無さそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
3月18日(月)
19:00 ユーロ圏2月CPI
19:00 ユーロ圏1月貿易収支
3月19日(火)
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
17:30 デギンドスECB副総裁講演 ☆
19:00 ドイツ3月ZEW景況指数
19:00 ユーロ圏3月ZEW景況指数
3月20日(水)
16:00 ドイツ2月PPI ☆
16:00 英国2月CPI ☆
17:45 ラガルドECB総裁講演 ☆
18:30 レーンECB理事講演 ☆
19:00 ユーロ圏1月建設支出
21:00 スペイン中銀総裁講演
22:45 シュナーベルECB理事講演
24:00 ユーロ圏3月消費者信頼感速報値 ☆
24:30 オーストリア中銀総裁講演
27:00 FOMC結果公表 ☆
3月21日(木)
16:45 フランス3月企業景況感
17:15 フランス3月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ3月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 スイス中銀政策金利発表 ☆
18:00 ユーロ圏3月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国3月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆
3月22日(金)
09:01 英国3月ifo企業景況感
18:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
3月11日(月)
ユーロドルはNY市場まではまったく動かず、NY市場に若干水準を下げたものの終日のレンジはわずか33pipsに留まり、動意薄の一日のままで終わりました。
3月12日(火)
ユーロドルは1.09台前半での小動き、NY市場まではじり高となり米国CPIを迎えましたが、CPI後も安値は1.0902レベルまでで、終日レンジも42pipsに留まり、相変わらず動きが鈍いユーロという流れは変わりませんでした。
3月13日(水)
ユーロドルは欧州前場までは全く動かず、その後前日高値を上抜けたことからテクニカルな要因でのユーロ買いが出て1.0964レベルまで上昇後にやや押して引けました。
3月14日(木)
ユーロドルは前日NYでつけた高値を目先の高値に若干上値が重たい程度の小動きでNY市場入り。強いPPIを受けた米金利上昇によるドル買いの動きから、1.0881レベルまで水準を切り下げ、そのまま安値引けとなりました。
3月15日(金)
ユーロドルは1.08台後半での小動きが続き、終日レンジはわずか27pips。年初来の最低値幅と並び全くの蚊帳の外状態での週末となりました。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:川合 美智子
2024.03.18
ユーロ/円 “上値余地を探る動き”。163.60-70の抵抗を上抜けて終えれば一段の上昇へ。(24/3/18)
直近の日足は陽線で切り返して上値トライの可能性に繋げています。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:川合 美智子
2024.03.18
ユーロ円 テクニカル週報(2024年3月第3週)
直近の日足は高値圏で引ける陽線で切り返しており下値も切り上げています。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。