ユーロ 短期的にユーロドルは下げやすい展開(週報1月第5週)

先週のユーロドルはECB理事会までは米金利の上下とともにユーロドルも上下し、火曜の下げと水曜の上げで週間レンジを見たのではないかという動きを見せました。

ユーロ 短期的にユーロドルは下げやすい展開(週報1月第5週)

短期的にユーロドルは下げやすい展開

〇先週のユーロドル、ECB理事会後に関係者が3月利下げ可能性に言及で早期利下げ思惑高まる
〇金曜に一時1.0813レベルと12/13以来の安値つける
〇FRBよりも先に緩和に転じる見方広がり、FOMC後にいったん目先の安値をつける動きあるか
〇ユーロ円、1月安値と高値の38.2%押し159.26への押しを試しやすい流れ
〇ドル円、ユーロドルともに下方向への動き。ユーロ円が同水準へ下げる展開が順当か
〇今週は1.0765レベルをサポート、1.0900レベルをレジスタンスと基本的に下降トレンド継続の流れ見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルはECB理事会までは米金利の上下とともにユーロドルも上下し、火曜の下げと水曜の上げで週間レンジを見たのではないかという動きを見せました。その後木曜のECB理事会では現状維持ではあったものの総裁会見でインフレが抑えられていることに言及し、また別のECB関係者が3月利下げの可能性に言及したことで、急速にECBの早期利下げ思惑が高まり、金曜には一時1.0813レベルと12月13日以来の安値を見ることとなりました。

日銀会合もECB理事会も現状維持ではあったものの、日銀会合では総裁会見がタカ派的な内容で比較的早期に出口戦略を示してくるのではないかと思わせましたし、ECB理事会でも総裁会見でインフレ抑制に言及し、他の関係者が3月の利下げの可能性を示唆する発言を行いました。今週のFOMCでは議長会見がややタカ派的になり、現在の5月1日FOMCでの緩和開始を示唆すると見られていますが、ドル円の週報に書いたように、あまりタカ派と取られるような発言も無いのではないかと考えています。

日米金利差は縮小方向、米欧金利差は維持される方向であるものの、当初の思惑とは異なりFRBよりも先にECBが緩和に転じるという見方が広がっていることを考えると、FOMC後にいったん目先の安値をつけるような動きがもっともありそうです。ドル円では下げを見込んでいますので、ユーロ円も下げということになります。

FOMC前にも火曜には主要国のGDP速報値、水曜の月末のロンドンフィキシングと主要国CPI速報値、木曜のユーロ圏CPI速報値とレーンECB理事講演、金曜の米国雇用統計と、今週は連日何かしらのイベントがあります。特に重要な経済指標も多いため、果たしてECBが早期利下げに動く可能性が高まるのかどうかを見極めたいところですし、そうした数字が出た後のエコノミストであるレーンECB理事の発言も注目度が高まります。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

短期的にユーロドルは下げやすい展開

中期的には12月安値と高値の61.8%押しを下抜け78.6%(61.8%の平方根)押し1.0812をつける動きとなりました。現時点ではピッタリと止まっていますが、依然として上値が重たい展開が続きやすいということになると、方向としては12月安値を試す展開になっていきそうです。

その場合1月上旬以降の下降チャンネル(ピンクの平行線)の中での動きを継続しやすいと見てよさそうですから、今週は1.0765レベルをサポートに、1.0900レベルをレジスタンスと基本的に下降トレンドを継続する流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見て行きます。

短期的にユーロドルは下げやすい展開 2枚目の画像

11月高値からのレジスタンスラインと12月安値からのサポートラインとのトライアングルの中での動きと見てよさそうです。直近高値は11月高値と12月安値の78.6%(61.8%の平方根)戻し161.92でほぼ抑えられたことで、いったん戻し高値を見た格好です。

現状は1月安値と高値の38.2%押しとなる159.26への押しを試しやすい流れにあると見ています。ドル円、ユーロドルともに下方向への動きを考えていることから、ユーロ円が同水準へと下げる展開は順当な読みであると考えます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月29日(月)
22:10  デギンドスECB副総裁講演 ☆

1月30日(火)
15:30 フランス10〜12月期GDP速報値 ☆
18:00 ドイツ10〜12月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感

1月31日(水)
16:00 ドイツ12月小売売上高、輸入物価
16:45 フランス1月CPI速報値 ☆
16:45 フランス12月PPI
17:55 ドイツ1月失業率
22:00 ドイツ1月CPI速報値 ☆
28:00 FOMC結果公表 ☆
28:30 パウエルFRB議長会見 ☆

2月1日(木)
17:50 フランス1月製造業PMI
17:55 ドイツ1月製造業PMI
18:00 ユーロ圏1月製造業PMI
18:15 ポルトガル中銀総裁講演
18:30 英国1月製造業PMI
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値 ☆
19:00 ユーロ圏12月失業率
20:30 レーンECB理事講演 ☆
21:00 英中銀MPC ☆

2月2日(金)
16:45 フランス12月鉱工業生産
22:30 米国1月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月22日(月)
週明けのユーロドルはやや上値が重い程度で1.08台後半から1.09台前半のわずか29pipsレンジに留まりました。ECB理事会を前に週初から様子見となっていました。

1月23日(火)
ユーロドルは東京市場ではユーロ買いの動きが目立ち、一時前日高値を上回る水準となっていましたが、米金利上昇によるユーロ売りからNY前場には1.0822レベルの安値をつけ、引けにかけては1.08台半ばへと戻しました。

1月24日(水)
ユーロドルもドル円同様にドル売りの動きが続きNY前場には1.0932レベルの週間高値をつけました。しかし1.09台では戻り売りを考える向きも多く引けにかけては1.08台後半へと押して引けました。

1月25日(木)
ECB理事会は予想通り現状維持ではあったものの、ラガルド総裁会見でインフレはさらに緩和すると、インフレが抑えられていることを強調し、別のECB関係者が3月の利下げ議論にも言及したことで1.0822レベルまで下押し後にやや戻して引けました。

1月26日(金)
ユーロドルは欧州市場序盤にECBの早期利下げ思惑から1.0813レベルの安値をつけましたがすぐに買い戻され、その後はNY市場までじり高となりました。NY前場には米経済指標に反応し1.0886レベルの高値をつけたものの、戻り売りも出て引けは1.08台半ばで方向感がはっきりしないまま引けました。



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