ドル円 FOMC後に利食いのドル売りか(週報1月第5週)

先週の最大の注目は、コンセンサスは現状維持ではあったものの日銀会合であったことは間違いありません。

ドル円 FOMC後に利食いのドル売りか(週報1月第5週)

FOMC後に利食いのドル売りか

〇先週のドル円、日銀会合発表直後は円安、総裁会見後に146円台へと押した後は米金利上昇で買い戻し
〇1/24は改めて円高の動きが強まったものの、146.65レベルで米金利が再び上昇して買い戻される
〇市場参加者注目のFOMC、米国指標の堅調等を受け現状維持かつハト派な姿勢は消えるか
〇FOMC後はこれまでのドル買い戻しに対して、調整のドル売りの動きが出る可能性
〇今週は月末の実需の動き、週末の雇用統計もあり、方向感出にくい様相
〇146.75レベルをサポートに148.75レベルをレジスタンスと、前週高値を超えずにやや下げる展開か

今週の週間見通し

先週の最大の注目は、コンセンサスは現状維持ではあったものの日銀会合であったことは間違いありません。発表直後こそ現状維持で円安に動きましたが、すぐに押してその後の植田総裁会見では早ければ3月にもマイナス金利の解除を行うのではないかと感じさせるタカ派な単語の使い方に146円台へと押したものの、その後は米金利上昇で買い戻し。翌日は改めて円高の動きが強まり前日安値を割り込んだものの146.65レベルまでで、再び米金利上昇で買い戻されることとなりました。

こうした動きを見ていると、日銀会合が終わり次はFOMCと既に市場参加者の注目材料が今週のFOMCへと移ってきていることを感じさせますが、前回12月にはパウエル議長がハト派的な会見をしたことから早いタイミングで速いペースでの緩和転換を見込みましたが、年明け後のFOMC議事録はそれほどハト派ではなく、また年明け後の米国経済指標が軒並み強い数字となったことから、今週のFOMCでは現状維持かつ会見でもハト派な姿勢は消えるのではないかとの見方が広がっています。

ただ、前回FOMC後の株高はパウエル議長のハト派な発言に支えられた面も大きく、ここでタカ派な発言をすると株式市場に悪影響を与えることも間違いなく、その点をどう考えるのか、多少は市場を冷やして改めて緩和タイミングで上昇トレンドを形成することが望ましいと考えるのか、現時点ではいったん株価が押した方があとあと望ましいのではないかと見ている参加者の方が多いように思えます。

しかし、議長の発言としてその方向性がころころ変わる方が良くないと思われ、おそらく多少トーンダウンしてもタカ派とは捉えられない程度の発言に抑えてくるのではないかという気がします。3月20日のFOMCまでは1か月以上ありますし、緩和転換がコンセンサスとなっている5月1日のFOMCに至っては3か月以上あるため、その間には多くの経済指標もあり、まだ不確定な材料のほうが多く、今回無理にタカ派なコメントをしなくとも3月FOMCまでには自ずとコンセンサスが形成されていき、その中で発言を挟んでいけば良いと考えるのではないか、そうであるとするとFOMC後はこれまでのドル買い戻しに対して、調整のドル売りの動きが出やすいのではないか、そのような見方をしています。

ただ、今週は月末の実需の動きや、週末には雇用統計もありますので、下がるにしても上がるにしても方向感が出るところまでは行かない可能性が高いと見ています。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

先週書いたように12月安値140.25レベルから1月高値148.79レベルまで値幅にして8円54銭と、まだ昨年11月から始まったドル安トレンドが継続しているのであれば、十分な値幅であり、今週のFOMCや雇用統計でドルが一段高となっても、11月高値と12月安値との78.6%(61.8%の平方根)戻し149.40を明確に上抜けなければ、トレンド継続と言っても問題ありません。

主要中銀は、1月は現状維持でも3月以降はどの中銀がいつ政策を転換してもおかしくありません。当初はFRBが先頭を切ってという流れでしたが、現時点ではFRBが最後となる可能性が高まっています。ただ、いずれにしても日米金利差縮小の動きが始まることになり、これまでの動きに対して逆回転が起こると考える方が自然です。今は一時的にドル高が強まっている段階と考えています。

今週のFOMCではタカ派な会見を予想する向きも多いようですが、個人的にはそこまでタカ派的に変わるとも思えず、そうなるとイベント経過でドル売りに動く可能性が出てくるのではないかと見ています。雇用統計も余程のサプライズが無ければ149円に乗せるかどうかという水準まででしょう。

今週はイベント経過が週後半となりますが、146.75レベルをサポートに148.75レベルをレジスタンスと、前週高値を超えずにやや下げる展開を考えておきます。

FOMC後に利食いのドル売りか

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月29日(月)
22:10  デギンドスECB副総裁講演 ☆

1月30日(火)
08:30 本邦12月失業率・有効求人倍率
09:30 豪州12月小売売上高
15:30 フランス10〜12月期GDP速報値 ☆
18:00 ドイツ10〜12月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感
23:00 米国11月住宅価格、ケースシラー住宅価格 ☆
24:00 米国12月JOLTS求人件数 ☆
24:00 米国1月消費者信頼感

1月31日(水)
08:50 日銀1月会合主な意見公表 ☆
09:00 豪州1月企業信頼感
09:30 豪州10〜12月期CPI ☆
10:30 中国1月製造業PMI ☆
16:00 ドイツ12月小売売上高、輸入物価
16:45 フランス1月CPI速報値 ☆
16:45 フランス12月PPI
17:55 ドイツ1月失業率
22:00 ドイツ1月CPI速報値 ☆
22:15 米国1月ADP全国雇用者数 ☆
22:30 米国10〜12月期雇用コスト
23:45 米国1月シカゴ購買部協会景況指数
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC結果公表 ☆
28:30 パウエルFRB議長会見 ☆

2月1日(木)
09:30 豪州12月住宅建設許可
09:30 豪州10〜12月期輸入物価
10:45 中国1月MarkIt製造業PMI ☆
17:50 フランス1月製造業PMI
17:55 ドイツ1月製造業PMI
18:00 ユーロ圏1月製造業PMI
18:15 ポルトガル中銀総裁講演
18:30 英国1月製造業PMI
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値 ☆
19:00 ユーロ圏12月失業率
20:30 レーンECB理事講演 ☆
21:00 英中銀MPC ☆
21:30 米国1月チャレンジャー人員削減数
22:30 米国10〜12月期単位労働コスト速報値
22:30 米国新規失業保険申請数
23:45 米国1月製造業PMI
24:00 米国1月ISM製造業景況指数
24:00 米国12月建設支出
30:45 NZ12月住宅建設許可

2月2日(金)
09:30 豪州10〜12月期PPI
16:45 フランス12月鉱工業生産
22:30 米国1月雇用統計 ☆
24:00 米国12月製造業新規受注
24:00 米国1月ミシガン大消費者信頼感

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月22日(月)
 週明けの東京市場では前週後半からの上値が重たい流れが続きました。148円を挟んで上下する流れが続きましたが、日銀会合を前にして終日の値幅も69銭とドル円にしては静かな一日となりました。

1月23日(火)
 日銀会合の結果は予想通りに現状維持が発表され初動は円安、一時148.55レベルの高値をつけたものの、総裁会見もありすぐに上昇前の水準へと押しました。植田総裁会見では物価目標の実現、マイナス金利の解除といった単語も使いながら3月以降の出口戦略に含みを残す内容でした。それを受けドル円は一時146.97レベルの安値をつけました。しかし海外市場に入ってからは米金利上昇の動きもあり行って来い、NY昼過ぎには日中高値を上抜け148.70レベルの高値をつけましたが、引けにかけては148円台前半へと押しました。

1月24日(水)
 ドル円は前日に植田総裁会見後の下げを全戻しする動きに対して米金利低下の動きをきっかけにさらに全押しする動きを見せ、改めてドルの上値の重さを感じさせる流れとなりました。NY前場には一時146.65レベルまで水準を切り下げましたが、米金利が上昇しことから引けにかけては147円台半ばへと戻しました。

1月25日(木)
 ドル円はNY市場まで147.70レベルをもみあいの中心とした小動きが続きました。米国GDP速報値は予想よりも強く、個人消費は予想通りとなったものの、米金利は一時的な上昇後は下げる動きとなったことでドル円も147.08レベルの安値をつけました。しかし押し目買いも根強く引けにかけては下げる前の水準に戻しました。

1月26日(金)
 ドル円は米国経済指標に反応しつつも方向感は見出せず、147円台後半をじり高の展開をたどりました。PCEコアデフレーターが予想よりも弱く、一時147.40レベルの安値をつけたものの押し目買いは根強く、引けにかけては148.21レベルの高値をつけそのまま高値圏での引けとなりました。

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