ユーロ ターゲット達成で調整も中期的なユーロ高は継続(週報12月第1週)

今週もキーはドル円の動きということになりそうです。

ユーロ ターゲット達成で調整も中期的なユーロ高は継続(週報12月第1週)

ターゲット達成で調整も中期的なユーロ高は継続

〇先週のユーロドル、ウォラー理事発言で1.1017レベルの週間高値つけるも引けは1.08台へ週間安値更新
〇米金利同様、欧州政策金利がターミナルレートに到達したと見られ、金利低下がユーロの上値を重くする
〇テクニカルには1.10の大台超えで達成感、1.09台後半ではユーロ売りも出てくるか
〇10月安値からの上昇チャンネル上限1.0815水準がいったんサポートで1.08割れは改めてユーロ買い
〇ドル建て金、米金利先安観が金でもドル売りという動きで、ユーロ買い材料のひとつに
〇今週は1.0780レベルをサポートに、1.0980レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは週前半はそれまでのユーロ買いの流れに加え、ウォラーFRB理事が条件が整えば利下げの根拠と、過去のFRB関係者に比べ一歩踏み込んだ発言も加わって1.1017レベルの週間高値をつけました。しかし、これまでも大台をターゲットに買っていた向きの利食いも出て達成感から反転下落、ドル円とともにユーロ円でも売りが出たこと、金曜にはフランス中銀総裁が利上げ終了に言及したことも重なり1.08台へと週間安値を更新して引けることとなりました。

米金利同様に欧州も既に政策金利がターミナルレートに到達したと見られ、欧州の金利低下がユーロの上値を重くしていますが、やはり来週のFOMCに向けて当面は米金利への注目度が上がることを考えると、下がったところでは改めてユーロ買いが出てくる展開になりやすい地合いです。またコラムで扱っていますが、ユーロとの相関があるドル建て金が朝方に史上最高値を更新する動きとなったこともユーロ買い材料となって行くと見られます。

今週は経済指標は改定値が多く、それよりもECB関係者の発言に注目が集まりますが、既にターミナルレート到達はコンセンサスとなっている中で、ウォラー理事のような一歩踏み込んだ発言が出て来ないと更なるユーロ売りには繋がりにくいでしょう。ただ、ドル円が一段安の動きとなり、ユーロ円も連れ安という動きとなる場合には、ユーロドルでも売りが出るという金曜の動きになりそうですから、今週もキーはドル円の動きということになりそうです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ターゲット達成で調整も中期的なユーロ高は継続

先々週に7月高値と10月安値の61.8%戻し1.0959に到達、そして先週は1.10の大台超え達成とテクニカルには達成感が出ていて、目先はどこまで押す可能性があるのかが気になるところです。この場合10月安値からの以前の上昇チャンネル上限がいったんサポートとなると考えられ、現在そのラインは1.0815水準に位置しています。多少の誤差を考えても1.08割れは改めてユーロ買いという見方で良いでしょう。

いっぽう上値は短期的には達成感もあり、1.09台後半ではユーロ売りも出てくると考えられます。またドル円に比べると値幅が狭い動きのことが多いので、200pipsまでの値幅は出て来ないでしょうが、今週は1.0780レベルをサポートに、1.0980レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

これまでユーロあるいは欧州関連のトピックスを中心に扱ってきましたが、今週からは広く金融市場全般のトピックスを扱っていくこととします。

今週はドル建て金の週足チャートを見てみます。

ターゲット達成で調整も中期的なユーロ高は継続 2枚目の画像

ドル建て金は今年5月に史上最高値を更新したものの直後に反落しました。そして先週末は4度目のトライとなる動きで高値を窺っていましたが、週明け早朝の市場でストップオーダーも巻き込んで2144ドル台の最高値更新を見ることとなりました。大きな背景としては米金利先安観が、金でもドル売りという動きにつながったためです。

金の国内地金販売価格も大幅に上昇し10928円(税込み)をつけましたし、金先物も1万円の大台超えを見ています。先物市場での1万円乗せはいったん達成感もありそうですが、対円での金価格も強い地合いを示していることから、NY金(ドル建て)の動き次第では1万円がサポートになる展開も十分に考えられると思います。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月4日(月)
16:00 ドイツ10月貿易収支
17:45 デギンドスECB副総裁講演 ☆
23:00 ラガルドECB総裁講演 ☆

12月5日(火)
09:01 英国11月小売売上高
16:45 フランス10月鉱工業生産
17:50 フランス11月サービス業PMI
17:55 ドイツ11月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏11月サービス業PMI
18:30 英国11月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏10月PPI ☆

12月6日(水)
16:00 ドイツ10月製造業新規受注
18:30 英国11月建設業PMI
19:00 ユーロ圏10月小売売上高
19:30 英中銀金融安定報告書公表 ☆

12月7日(木)
16:00 ドイツ10月鉱工業生産
16:45 オーストリア中銀総裁講演 ☆
16:45 フランス10月貿易収支
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP確報値

12月8日(金)
16:00 ドイツ11月CPI
22:30 米国11月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月27日(月)
ユーロドルは基本的にドル安(ユーロ高)の動きを続けました。NY朝方にユーロ円の売りが出た際に一時的な押しは入ったものの、引けにかけてはユーロ高値圏に戻して引けました。

11月28日(火)
ユーロドルはNY市場までは方向感がはっきりしない展開となっていましたが、ウォラーFRB理事の発言をきっかけに金利が低下しドル売り・ユーロ買い。1.1009レベルと大台乗せを見たものの、ユーロ円の売りも出ていたため、値幅はドル円の半分にとどまりました。

11月29日(水)
ユーロドルは東京前場に1.1017レベルの週間高値をつけましたが、前日に続いて大台超えでの利食い売りも多く、値幅は伴わないもののユーロ安の動きとなりました。ドル円の上値の重さがユーロ円の上値の重さにつながっていることも、ユーロドルの下げにつながっている様子でした。

11月30日(木)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤に発表されたフランスのCPIが予想よりも弱かったことをきっかけにユーロ売りに動きました。その後もじり安が続き、実需の売りも出た様子で1.0879レベルまで押し、安値圏での引けとなりました。

12月1日(金)
ユーロドルはNY市場までやや上値が重たい程度の小動きでしたが、NY市場に入りフランス中銀総裁が利上げサイクルの終了に言及したことから下落、ドル円とともにユーロ円も下げた動きからユーロドルは1.0829レベルまで水準を下げ、引けにかけてはやや戻して引けました。

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