ユーロドルは1.10の大台乗せがターゲット
〇先週のユーロドル、ラガルド総裁が7月利上げにも言及でユーロ買いが強まり1.09台半ばまで上昇
〇6/16金曜に1.0970レベルの高値を見るも、大台前の足踏みで越週
〇ユーロ円も155円台へと上昇、2008年9月リーマンショック以来の高値をつける
〇ドル円と比べ当局介入の警戒感が出にくいため、次の節目160円も視野に
〇今週は1.0850レベルをサポートに、大台1.1000レベルをレジスタンスとするレンジを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、FOMC、ECB理事会と重要な金融政策イベントが続きましたが、週前半はFOMCに向けてFOMCは現状維持、ECB理事会は0.25%利上げというコンセンサスを背景に緩やかなユーロ高となりました。FOMCでは予想通り現状維持であったものの、金利見通しが予想よりもタカ派で年内あと0.5%利上げが中間値となっていたことから、ECB理事会を前に利食いのユーロ売りも出ていました。
ECB理事会は予想通り0.25%の利上げ、ラガルド総裁が会見で7月利上げにも言及したことから改めてユーロ買いが強まり1.09台半ばまで上昇、翌金曜には一時1.0970レベルの高値を見ましたが、大台前の足踏みで週末を迎えることとなりました。ドル円とともにユーロ円でも円売りが強まり、ユーロ円は155円台へと上昇し、2008年9月(リーマンショック)以来の高値をつけています。
ユーロは対ドル、対円ともに強い流れになってきましたが、金融政策の温度差的にはECBとFRBが利上げ継続、日銀は大規模緩和継続ということから、ドル円、ユーロ円での円売りが目立ちました。ドル円は三者会談の水準を上抜けてきたことで警戒感も広がっていますが、ユーロ円にはそうした警戒感も無いため、ユーロ円での買いが広がると結果としてユーロドルも買われるという流れになっていきそうです。
テクニカルにはユーロドルはまだ年初来高値1.1094レベルまでやや距離がありますので、まずは1.10の大台乗せをターゲットに、次の展開を考えていくこととなるでしょう。いつもの日足チャートをご覧ください。
3月安値と4月高値との78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.0639で底打ちしましたので、今回は4月高値と5月安値の78.6%(61.8%の平方根)戻し1.0996と重なる後1.10の大台が短期的なターゲットとなって行きます。下側の目途としてはFOMC前の高値1.0864レベルが参考になります。
これらのテクニカルな水準をベースに、今週は1.0850レベルをサポートに、大台1.1000レベルをレジスタンスとするレンジを見ておくこととします。
今週のコラム
今週はユーロ円の月足チャートをご覧ください。
現在の水準は既にリーマンショック前の2008年高値と2012年安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しを上抜けつつあります。短期的にはいったん引っかかりやすい水準となるものの、ドル円以上にユーロ円では警戒感が出にくいため、次の節目160円を視野に入れてきたという感じがします。
ただ、ドル円が動かずユーロドルだけが上昇ということも考えにくいですから、ここからの足取りは鈍くなってくるものと見られます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
6月19日(月)
**:** 米国市場休場 ☆
20:00 レーンECB理事講演 ☆
20:40 シュナーベルECB理事講演
22:00 フランス中銀総裁講演
27:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
6月20日(火)
15:00 ドイツ5月PPI ☆
17:00 フィンランド中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏4月建設支出
6月21日(水)
15:00 英国5月CPI ☆
22:45 シュナーベルECB理事・ドイツ連銀総裁講演 ☆
23:00 パウエルFRB議長議会証言(下院)☆
6月22日(木)
15:45 フランス6月企業景況感
16:30 スイス中銀政策金利発表 ☆
20:00 英中銀MPC結果発表 ☆
23:00 ユーロ圏6月消費者信頼感速報値 ☆
6月23日(金)
08:01 英国6月消費者信頼感
15:00 英国5月小売売上高
16:15 フランス6月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ6月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏6月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国6月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
19:00 スペイン中銀総裁講演
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時―NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
6月12日(月)
週明けのユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入ってから対ドル、対円で買いが強まり、ユーロドルは一時1.0790レベルの高値をつけました。しかし、テクニカルな買い仕掛けと見られ、NY市場では元の水準へと下押し後に若干買い戻されて引けました。値幅はユーロドルが57pips、ユーロ円も69銭に留まりました。
6月13日(火)
ユーロドルは東京市場からじり高の展開が続きました。ECB理事会での利上げが確実視されていることからユーロが底堅い動きとなりましたが、海外市場に移ってからは米国CPI後に多少の振れはあったものの、高値圏でのもみあいが続きました。
6月14日(水)
ユーロドルはNY市場までは多少の上下はあったものの方向感は出ていませんでしたが、PPIをきっかけとしたドル売りから前日高値を超えると1.0864レベルの高値をつけました。FOMC後のドル買いの動きでは1.0800レベルまで下げたものの日中安値はトライしきれず、1.08台前半に戻して引けました。
6月15日(木)
ユーロドルはECB理事会を控えて1.08台前半での小動きが続きました。ECB理事会では予想通り0.25%の利上げが実施され、声明では今後もインフレ抑制のために引き締めスタンスが維持されることが示されました。ラガルド総裁会見では7月利上げについても言及があり、ユーロドルは米金利低下の動きも重なって上昇、1.0953レベルまで上昇し高値引けとなりました。
6月16日(金)
ユーロドルは動きが鈍く、ドル円、ユーロ円がそれぞれ2円を超える値幅となる中で53pipsの値幅に留まり、ユーロ円での円売りとユーロドルでのドル買いがぶつかった印象でした。NY朝方に週間高値1.0970レベルを見たものの大台1.10を前に動きが鈍くなりました。
ディスクレーマー
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