142円台乗せなるか、日本当局の対応に注意
〇東京市場のドル円、揉み合い推移の中で141.97を示現、先週末高値を更新
〇142円には乗せられず、日経平均が下落したことも手伝いややドル安円高気味の推移で欧米市場を迎える
〇日本当局の円安けん制スタンスが一段のドル高円安進行を阻むと警戒される
〇リスクは引き続きドル高方向、昨年11月の142.25やフィボナッチポイントの142円半ば目指す展開
〇ドル安円高方向は、東京安値141.45レベルが短期のサポート、下回ると141円割れも
〇欧米時間のドル/円予想レンジは141.20-142.30
<< 東京市場の動き >>
週明け19日の東京市場はドルが小安い。先週末高値をわずかに更新するも、142円台に乗せることは出来なかった。
先週末は、ブリンケン米国務長官が5年ぶりに訪中。同国外相と会談を行ったとして話題に。また、アフリカ諸国代表団がロシアとウクライナを訪れ、それぞれの首脳と会談を行ったものの停戦には至らなかったと伝えられている。
そうした状況下、ドル/円は141.75-85円で寄り付いたのち、基本は揉み合い。そのなかで141.97円を示現し、先週末高値を更新した。しかし142円には乗せられず、日経平均株価が大きく下落したことも手伝ってか、その後はややドル安・円高気味の推移に。141.45円レベルへと小緩み、16時現在では141.65-70円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米中関係」と「ロシア情勢」について。
前者は、前述したようにブリンケン米国務長官が訪中し、米中外相会談が行われている。そのなかで、中国サイドからは「関係を正常な軌道に戻すべき」と呼び掛けたとされ、米国はそれを受け「秦国務委員兼外相をワシントンに招待すると表明」していた。また別途、バイデン氏から、「中国の習国家主席と今後数ヵ月以内に会談することを望んでいる」とのコメントが聞かれるなど、関係改善を望む声が強まりつつあるが、引き続き予断は許さない。
対して後者は、プーチン氏から「最初の核弾頭がベラルーシの領土に移転された」との発言が聞かれ、物議を醸す。バイデン米大統領からは「無責任な発言だ」とした非難コメントも発せられていた。一方、6日に発生したダム決壊について、国連が「ロシアは支援活動を認めず」と非難声明を発表。また米紙が、「ロシアが爆発物仕掛ける証拠を発見」などと報じ話題に。後者について、ロシアサイドから公式見解は聞かれておらず、続報などを含め動静をしっかりと見極めたい。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は先週末に141.91円まで続伸。そして本日東京で、先週末高値をわずかに超えたものの142円台へと乗せることは出来なかった。リスクは引き続きドル高方向にバイアスで、超えれば昨年11月の142.25円やフィボナッチポイントにあたる142円半ばを目指す展開か。ただし、本邦通貨当局の対応、円安けん制発言などを警戒する向きも少なくなく、一段のドル高・円安進行を阻むとの見方も聞かれていた。
注目されていた日米欧の金融政策発表は先週すべて終了。それぞれ特色のあらわれた結果となったが、ともかく金利差に着目すると、円を積極的に買いにくい環境にあることは間違いない。対ドルだけでなくユーロやポンドなどに対しても円は基本弱含みか。そうしたなか警戒されているもののひとつが日本の円安けん制スタンス。実弾介入については、米財務省が半期に一度の外国為替報告書で、日本を「監視対象」から除外したことで、逆に日本は実施しにくくなったとの指摘も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円は142円の手前まで接近。昨年11月の142.25円などが意識されている。また、少し長いタームで見れば145円程度までの上昇を見込む向きも少なくないが、日本の当局の対応がそんなドルのさらなる上値トライを抑制しそう。ドルの上値トライがあっても飽くまでスピードは緩やかなものにとどまりそうだ。逆に実弾介入でもない限り、調整が入っても下値は堅く目先は140円後半までになるだろうか。
本日は米経済指標として、6月NAHB住宅市場指数が発表される予定となっている。先週発表された米経済指標はおおむね好悪混在だっただけに、果たしてどちらの内容となるのか注目だ。また、李強中国首相のドイツとフランス訪問も別途注視している向きもあるようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは141.20-142.30円。ドル高・円安方向は先週末そして本日東京でも超えられなかった142円レベルが最初の抵抗か。抜ければ142.25円や142円半ばを目指す。
対するドル安・円高方向は、東京安値の141.45円レベルが短期のサポートに。ただ下回ると141円割れも否定できない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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