ユーロドルはイベント通過で買いか
〇先週のユーロドル、今週の金融政策発表を前に方向感が出づらい動意薄の一週間
〇今週発表のFOMCは現状維持、ECB理事会は0.25%利上げ、7月は両者現状維持の見込み
〇金利差の見通しからはユーロドル買いだが、既にユーロ買いポジション大きく、買いが出にくい状況か
〇シカゴの通貨先物のポジションはピークアウト後も高水準のユーロ買い継続、イベント通過後動き出るか
〇今週は、1.0700レベルをサポートに、1.0850レベルをレジスタンスとするレンジを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、週間レンジが119pipsに留まりました。今年に入ってからの週刊平均レンジが173pipsであることを考えると動意薄の一週間だったと言えますし、値動きも1.0680以下で底固めをして週後半に反転上昇したものの1.0780超えでは売りに頭を抑えられたという状況です。FOMCとECB理事会を前にして方向感が出にくい週だったとはいえ、取引の主役は相変わらずドル円だったという感じです。
注目の金融政策ウィークですが、FRBに関してはドル円週報で書きましたので詳細はそちらを見ていただくとして、コンセンサスは現状維持。いっぽうでECB理事会では0.25%の利上げが行われるであろうことを考えると金利差は縮小、本来的にはユーロドルの買いに繋がりそうです。また7月はFRB、ECBともに利上げがコンセンサスですから、先を考えてもユーロドルが買いやすいのですが、以前から書いている通りユーロ買いのポジションが既にお腹いっぱいで、もう少しユーロ買いポジションが落ちて来ないと買いが出にくいといった状況に思えます。
シカゴの通貨先物のポジションを見るとピークは4週前につけていますが、先週の数字を見てもまだ16万枚弱はありますので、比較的高水準の買いが続いていると言えるでしょう。今週のイベントを過ぎた段階で買いが出てくるのか、あるいは引き続き買いポジションを落としていくのか、現時点ではどちらもありそうです。個人的にはそろそろ買いが出てきそうだと思う一方で、先週の発表時点では影響の無かった2期連続でマイナスだったGDPによるテクニカル・リセッションが後から効いてくる可能性もあり、まずはイベントを通過しないと動きにくい状況が続くということのようです。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
先週示した通りですが、3月安値と4月高値との78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.0639で底打ち後に、3月安値と4月高値の半値1.0805を目前に上値が重くなっています。同水準は5月高値と安値の38.2%戻し1.0808とも一致していることから1.08前後は戻り売りが出やすかったと想定通りの動きとなりました。
引き続きこれら両水準はサポートとレジスタンスとなりますが、上抜けした場合には半値戻し1.0862が次のターゲットとなります。個人的には上述した通り、そろそろ買いも出てくるのではないかと見ていますので、この次のターゲットを参考にしたいと考えています。
今週のユーロドルはやや底堅い動きを考え、最近の底固め水準1.0700レベルをサポートに、上記ターゲットに近い1.0850レベルをレジスタンスとするレンジを見ておくこととします。
今週のコラム
今週はポンド円の月足チャートをご覧ください。
欧州通貨のクロス円でもユーロ円が足踏み状態に対して、ポンド円は年初来高値更新を続け、6月高値は175円台半ばと2016年1月以来の高値をつけています。
こうなると2015年高値と2020年安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しとなる180.48、大きくは大台180円を目指す流れという動きになっていきそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
6月12日(月)
15:30 リトアニア中銀総裁講演
6月13日(火)
15:00 ドイツ5月CPI
15:00 英国5月失業率
18:00 ドイツ6月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏6月ZEW景況感 ☆
21:30 米国5月CPI ☆
23:00 英中銀総裁議会証言 ☆
6月14日(水)
15:00 英国4月鉱工業生産 ☆、貿易収支
18:00 ユーロ圏4月鉱工業生産 ☆
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆
6月15日(木)
15:45 フランス5月CPI
18:00 ユーロ圏4月貿易収支
21:15 ECB理事会 ☆
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
6月16日(金)
17:00 オーストリア中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏5月CPI
19:00 フランス中銀総裁講演 ☆
前週のユーロレンジ
注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
6月5日(月)
週明けのユーロドルは若干上値が重い程度でNY市場まではほとんど動きが見られませんでした。NY市場ではドル売りの動きからユーロドルも1.0722レベルまで上昇後、若干押しての引けとなりましたが、終日のレンジも47pipsに留まり、動意薄の一日でした。
6月6日(火)
ユーロドルは東京後場からやや下げる動きとなりましたが、これはユーロ円の下げの影響が大きかった様子で、ユーロ円の下げがユーロドルの下げにつながりました。その後は米金利上昇によるユーロ売り(ドル買い)と金利低下によるユーロ買い戻しの動きとなりましたが、方向感は定まらないままでした。
6月7日(水)
東京市場ではドル円とともにユーロ円での売りが目立ったことからユーロドルでも売りが先行しましたが、欧州市場序盤に1.0668レベルの安値をつけると反転、NY朝方には1.0740レベルの高値をつけました。その後は米金利上昇とともにユーロ売りとなり1.07台を割り込んでの引けとなりました。
6月8日(木)
ユーロドルは終日ユーロ高(ドル安)の展開が続きました。欧州市場に発表された2期連続マイナスのGDP確報値にも反応せず、来週のFOMCに向けて米金利にしか目が向いていないという印象の一日でした。
6月9日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入り若干の下げと上げと方向感がはっきりしない展開が続きましたが、NYの引けにかけては前日上げた動きに対してポジション調整の売りが出ていた印象でした。しかし終日の値幅は42pipsに留まり、FOMCとECB理事会を控えて様子見の週末となりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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