ドル円 サプライズが無い限り6月レンジ内の動き(週報6月第2週)

先週のドル円は、今週の一連の金融政策決定会合を前に週を通して方向感が定まらない展開が続きました。

ドル円 サプライズが無い限り6月レンジ内の動き(週報6月第2週)

サプライズが無い限り6月レンジ内の動き

〇先週のドル円、変動要因として米金利の影響が最も大きいものの方向感が定まらず狭いレンジの値動き
〇今週の日米欧の政策金利発表コンセンサスはFRBが現状維持、ECBが0.25%利上げ、日銀は現状維持
〇FOMC結果公表前日に発表される米CPI次第で、利上げ思惑が上昇する可能性も
〇大規模緩和継続が確実視されている日銀との対比からドル円の底堅い地合いは続きやすい
〇140円台乗せは本邦金融当局の三者会合という注意信号で、上下に動いても一時的という見方も多い
〇今週は138.50レベルをサポートに、140.40レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円は、今週の一連の金融政策決定会合を前に週を通して方向感が定まらない展開が続きました。変動要因としては米金利の動きの影響が最も大きく、次に日本株市場の動きを見たリスクオン・オフによる動きも見られましたが、一週間を振り返ると139円前後ではドル買いが出て、140円台ではドル売りと週間レンジ1円63銭のうち中心レンジはその半分くらいに収まったという動きでした。

今週は14日のFOMC、15日のECB理事会、16日の日銀会合と水曜以降は連日主要国の政策金利発表がありますが、コンセンサスはFRBが現状維持、ECBが0.25%利上げ、日銀は現状維持となっています。ECBと日銀は変わることは無さそうですが、豪中銀とカナダ中銀がインフレを警戒して予想外の利上げに動いたことを考えると、FRBもFOMC前日に発表されるCPIの数字次第では現状維持と利上げとで意見が割れる可能性もあるため、注意が必要です。

その5月CPIは総合CPIが予想4.1%(前回4.9%)とかなり落ち着いてきましたが、それでもまだFRBのターゲット(2%)より高く、コアCPIは予想5.3%(前回5.5%)と高止まりしています。物の値段に比べて人件費が高いことからサービス価格や家賃などが下げ渋らせている大きな要因ですが、コアCPIの数字が前回から変化無いような場合には1日前の利上げ思惑が上がってくる可能性もあります。

現在のFF先物から計算されるコンセンサスでは、6月は現状維持が74%、7月は利上げが68%となっていて、6月はいったん利上げを見送るものの、7月には利上げするという見方です。いずれにしてもブラックアウト期間でFRB関係者からの発言はありませんので、CPIの注目度が非常に高いということになりますが、2か月の期間で考えるならばあと1回は利上げを行うこととなり、大規模緩和継続が確実視されている日銀との対比から底堅い地合いは続きやすいこととなります。

いっぽうで140円台に乗せてくると三者会談という注意信号が出ているだけに、積極的には円安に動きにくいということになりますので、現在のドル円はもみあいを続けやすく上下に動くとしても一時的という見方が多いようです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

テクニカルには大きくは先週引いた上昇ウェッジ(ピンク)の中での値動きを続けていますが、ごく短期的には青のラインで示したペナントが完成し、教科書的には上抜けの可能性が高いのですが、どちらにも抜けた方についていくという見方の方がよさそうです。

すでにエイペックス(頂点)まで残された日数が短く、その前にCPIとFOMCがあることを考えると、これらのイベントで米金利がどう動くのか、その方向にドル円も動くであろうと見ている方が良いのですが、仮にどちらに抜けたとしてもサプライズで6月利上げとかが出て来ない限りはペナントの底辺(左)部分の値幅を大きく抜けていくことは難しいように思います。

今週はイベントが豊富ということもありますので、138.50レベルをサポートに、140.40レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

6月12日(月)
**:** 豪州市場休場
15:30 リトアニア中銀総裁講演
16:00 トルコ4月失業率、経常収支

6月13日(火)
09:30 豪州6月消費者信頼感
10:30 豪州5月企業景況感
15:00 ドイツ5月CPI
15:00 英国5月失業率
18:00 ドイツ6月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏6月ZEW景況感 ☆
21:30 米国5月CPI ☆
23:00 英中銀総裁議会証言 ☆

6月14日(水)
15:00 英国4月鉱工業生産 ☆、貿易収支
18:00 ユーロ圏4月鉱工業生産 ☆
20:00 南ア4月小売売上高
21:30 米国5月PPI ☆
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

6月15日(木)
07:45 NZ1〜3月期GDP
08:50 本邦5月貿易収支(通関)
10:30 豪州5月失業率
11:00 中国5月鉱工業生産 ☆、小売売上高
15:45 フランス5月CPI
18:00 ユーロ圏4月貿易収支
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国6月NY連銀製造業景況指数 ☆
21:30 米国6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
21:30 米国5月小売売上高 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国5月輸入物価
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
22:15 米国5月鉱工業生産 ☆、設備稼働率
23:00 米国4月企業在庫

6月16日(金)
**:** 日銀会合結果発表 ☆
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
17:00 オーストリア中銀総裁講演
18:00 ユーロ圏5月CPI
19:00 フランス中銀総裁講演 ☆
23:00 米国6月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

6月5日(月)
 週明けのドル円は東京市場では米金利上昇と株高に支えられじり高の展開となりました。欧州市場序盤に140.45レベルの高値をつけましたが、140.50より上ではドル売りオーダーも見られ高値圏でもみあいのままNY市場入り。NY市場では弱い経済指標が続き米金利が反落、その動きとともにドル円も売りが強まり139.25レベルまで切り下げた後にやや戻して引けました。

6月6日(火)
 ドル円は目立った材料が無い中で米金利と足並みを揃えた動きが続きました。東京市場では動意薄、欧州市場序盤からは米金利低下とともにドル売りとなったものの139.10レベルまで。その後米金利が上昇に転じるとドル円は139.99レベルまで上昇しましたが、140円の大台では売りオーダーが下がってきている様子で引けにかけては米金利低下の動きに沿って押しが入りました。

6月7日(水)
 東京市場のドル円は株安の動きとともに売りが先行しましたが、前日安値圏での買いがしつこく欧州市場ではもみあい底固めの動きとなりました。NY市場に入り再び売りが強まり一時139.02レベルと前日安値を割り込みましたが後が続かず。カナダ中銀が予想外の利上げに動いたことで米金利も大幅上昇、3.8%台に乗せる動きとともに140.25レベルの高値をつけ、若干押しての引けとなりました。

6月8日(木)
 ドル円は前日NY後場に上がりきらなかったこともあって朝方からじりじりと水準を下げる展開が続きました。NY市場に入り発表された失業保険の数字が悪かったことをきっかけに米金利低下、ドル売りが強まり138.81レベルまで売られ、そのまま安値圏での引けとなりました。

6月9日(金)
 ドル円は東京市場では株高とともに円安の動きとなり、欧州市場前場には139.72レベルの高値をつけました。その後の海外市場ではNY市場までは調整売りが入ったものの、上下ともに値幅を狭めるもみあいが続く週末相場となりました。

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