日米欧の金融政策注視、再び動意付く展開も(週報6月第2週)

先週のドル/円相場はドルが小安い。3週続いていたドルの年初来高値更新が失敗に終わったうえ、週足は2週続けての陰線引けに。

日米欧の金融政策注視、再び動意付く展開も(週報6月第2週)

日米欧の金融政策注視、再び動意付く展開も

〇先週のドル円、138.76-140.45の2円にとどかないレンジ取引で週間では今年2番目の小変動
〇今週は5月消費者物価指数や小売売上高などの重要な米経済指標の発表が相次ぐ
〇ドットチャートも注目を集める米FOMCを皮切りに日米欧の金融政策が発表予定
〇米政策金利、現時点では「6月利上げ見送り、7月再利上げ」の見方が有力
〇ドル高円安方向は目先高値140.25や先週高値140.45の攻防、上抜ければ年初来高値140.93も視界内
〇ドル安円高方向は、139円前後まで値を上げてくる21日MAが最初のサポート
〇今週のドル円予想レンジは、137.50-141.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小安い。3週続いていたドルの年初来高値更新が失敗に終わったうえ、週足は2週続けての陰線引けに。

前週末は、上下院ですでに可決されていた法案にバイデン大統領が署名し、米債務上限問題がようやく解決をみるなか、OPECプラスが協調減産の2024年までの延長で合意したと伝えられ、一部で話題になっていた。
そうした状況下、ドル/円は140円前後で寄り付いたのち、基本的には往来相場。139円台を中心としたレンジ内でやや激しい上下動をたどるも、大きく超えていくことは出来なかった。実際、週間を通した値動きも138.76-140.45円と、2円にとどかず4月17-21日に継ぐ今年2番目の小変動。結局、週末NYは139.40円レベルで取引を終え越週している。
なお、全般的に大人しめだったドル/円などを尻目に、トルコリラ相場は大荒れ。ドル/リラは週末に一時23.50リラ台まで上昇するなど、リラの独歩安商状をたどっていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米国情勢」と「ウクライナ情勢」について。
前者のうち、5月末にかけて大いに物議を醸した米債務上限問題はバイデン大統領の署名をもって法案成立となりドル高の足かせ要因がひとつ消滅。一方、それとは別に今週13-14日の米FOMCをにらみつつ米金融政策への関心が高まるなか、基本的には週間を通して発表される米経済指標の内容に一喜一憂となった。また、6日の豪中銀に続き7日にはカナダ中銀と、共に予想外の利上げに踏み切ったことで、米国についても強気派が一時勢いを増しつつあったことも間違いない。なお、取り敢えず現段階では「6月利上げは見送られるものの、7月再利上げの可能性も」−−などといった見方が有力なようだが果たして結果はどうなるか。

対して後者は、週末にウクライナ軍の総司令官が「反攻開始は宣言しない」と発言するなど明言は避けられたが、ウクライナがいよいよ本格的な反攻に動いたとして話題に。そうしたなか、ロシアが一方的に「併合」を宣言したウクライナ南部ヘルソン州で発生したカホフカ水力発電所の大型ダム破壊が金融市場でも俎上にのぼっていた。同ダムの水がザポロジエ原発やクリミアにも給水されているため、原発冷却水に関する懸念報道も取り沙汰されるうえ、今後の穀物需給に与える影響なども大きく懸念されていたようだ。依然としてロシアとウクライナ、どちらが行った「犯罪」なのかハッキリしないなか、今週も引き続き続報等には注意を払いたい。

<< 今週の見通し >>

大きな流れそのものは依然としてドル高・円安方向にバイアスがかかりそう。しかし、5月30日の140.93円が当面の高値になったなどという声も少なくない。つまり、ドルは短期的なトップを付けた感があるものの、下値も堅く足もとはやや広めのレンジ取引の様相だ。実際、5月末からは138.44-140.93円という2.5円レンジのなかでの往来相場をたどっているが、今週もそれを維持することになるか否かにまずは注目。材料が豊富ということを考えると、レンジ放れを試す可能性も否定できないか。

今週は13-14日の米国、FOMCに続き日欧も金融政策の発表を行う予定となっている。そんな日米欧の金融政策にまずは注目だ。なお、米国について「利上げの有無」そのものが注目されているのは間違いないが、それとともに今後の動静を見極める意味もあり発表されるドットチャートを注視している向きも多い。また、それとは別に引き続き本邦要人による「円安けん制」スタンスが警戒されているうえ、ここにきて急台頭してきた日本の解散・総選挙への思惑も場合によって波乱要因となる可能性があり一応要注意。

テクニカルに見た場合、前段で指摘したように先週のドル/円は今年2番目の週間小変動。短期的にはやや方向性を欠いている感を否めない。そんな小動きが今週も続くことになるのか否かがまずは注目されそうだ。
ちなみに、上方向は5月30日高値140.93円を仮に超えても頭は引き続き重そう。少なくとも勢いに乗ったドル続伸は予想しにくい。しかし一方、下値は138円後半から139円レベルまで値を上げてきた移動平均の21日線をしっかり下回るとなかなかの深押しが入る可能性もある。

そうしたなか今週も、5月の消費者物価指数や同小売売上高といった重要な米経済指標の発表が相次ぐうえ、日米欧それぞれの中銀が金融政策を発表する予定となっている。先陣を切る米国を仮に乗り切ったとしても、週末までまだまだ予断を許さない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、137.50-141.00円。ドル高・円安については、目先高値にあたる140.25円や先週高値140.45円などの攻防にまずは注目。上抜ければ、年初来高値140.93円が再び視界内に。
対してドル安・円高方向は、今週初段階で139円前後まで値を上げてくる移動平均の21日線が最初のサポートか。ザラ場だけでなくNYクローズで上回り続けられるか否かも注視されている。下回ると月間安値138.44円などがターゲット。

日米欧の金融政策注視、再び動意付く展開も

ドル円日足

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