先週レンジ内でのもみあうもボラは上昇
〇先週のドル円、週初は前週のウォラーFRB理事のタカ派発言の影響でドル買い先行
〇水曜に日銀がYCCの修正に慎重とのヘッドラインに反応し、週間高値135.14レベルをつける
〇週後半は米金利低下とともに133.56レベルまで売られるも、強い経済指標に反応し134円台に乗せる
〇今週の日銀総裁会見でYCC修正発言出れば円高要因、出なければ円安の流れに戻りやすい
〇今週注目度が高い米経済指標は1〜3月期GDP速報値と3月個人消費支出、ドル要因として注意
〇今週は133.10レベルをサポートに、135.10レベルをレジスタンスとする流れとみる
今週の週間見通し
先週のドル円は、週初は前週のウォラーFRB理事のタカ派発言の影響が残ってドル買いが先行、テクニカルなターゲットであった134円台後半を見た後は利食いも出ていたものの、水曜に日銀がイールドカーブコントロールの修正に慎重とのヘッドラインに反応し、週間高値となる135.14レベルをつけました。週後半は米金利低下とともにドル円は下げ133.56レベルまで売られましたが、強い経済指標に反応して134円台に乗せての引けとなりました。
振り返ると135円台ではまだドル売りが残っているという印象でしたが、週後半の下押しでも前週金曜のウォラーFRB理事のタカ派発言前の水準に押すことも無く、133円台前半はドル買いも残っている動きを見せました。先週の日銀関連の記事を見てもおそらく今週4月の日銀会合では政策を変えてくることは無く、植田新総裁最初の会合は緩和継続ということになってきそうです。
ただ、所信聴取の時点でイールドカーブコントロールの短期化といったオプションを示していたことから、早ければ次回の会合で着手する可能性はまだ残っていると思いますし、総裁会見でイールドカーブコントロールについての質問が出ることは間違いないところです。そこで何らかの修正に関する発言が出てくるようであれば円高要因となりますし、そうでなければ円安の流れに戻りやすいということになりそうです。
米国関連ではFOMC前のブラックアウト期間で要人発言はありませんが、1〜3月期GDP速報値と3月の個人消費支出が注目度が高い経済指標となります。一時期ほど弱い数字が目立たず、直近では強い数字が出てくることもありますので、ドル要因として一応注意はしておいたほうが良さそうです。
また日柄的な材料として22日から水星逆行期間に入りましたのでボラティリティの上昇が予想され、特に24日週はドル円の上下の振れに注意が必要です。一方向に動くというよりも上げたら下げ、下げたら上げるといった動きになりやすいため、結果としては先週のレンジを中心としながらも動きが出てくるというイメージでいます。
テクニカルにはどうでしょうか。いつもの日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
これまで同様昨年高値からのレジスタンスラインと年初来安値からのサポートライン(どちらもピンクのライン)を引いてありますが、上側のレジスタンスラインを抜ける動きとなりました。しかし135円台を見て反落してきていることから、現在は青の上昇チャンネルの中での動きとなっていて、下側は抜けたレジスタンスがサポートとして効きやすいという状況にあると考えられます。
今週は上記の水準を参考に、133.10レベルをサポートに、135.10レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
4月24日(月)
17:00 ドイツ4月ifo企業景況感
17:30 フランス中銀総裁講演 ☆
18:00 パネッタECB理事講演 ☆
4月25日(火)
**:** NZ、豪州市場休場
22:00 米国2月住宅価格、ケースシラー住宅価格 ☆
23:00 米国4月リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00 米国4月消費者信頼感 ☆
23:00 米国3月新築住宅販売
4月26日(水)
07:45 NZ3月貿易収支
10:30 豪州1〜3月期CPI ☆
15:00 ドイツ5月消費者信頼感 ☆
18:30 南ア3月PPI
21:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
21:30 米国3月卸売在庫、耐久財受注
23:30 週間原油在庫統計
4月27日(木)
**:** 南ア市場休場
10:00 豪州4月企業信頼感
10:30 豪州1〜3月期輸入物価
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感
20:00 トルコ中銀政策金利発表
21:30 米国1〜3月期GDP速報値 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
23:00 米国3月住宅販売保留件数
4月28日(金)
08:30 本邦4月東京区部CPI ☆
08:30 本邦3月失業率・有効求人倍率
10:30 豪州1〜3月期PPI
**:** 日銀会合結果発表 ☆
14:30 フランス1〜3月期GDP速報値
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
15:45 フランス4月CPI速報値、3月PPI
16:00 トルコ3月貿易収支
16:55 ドイツ4月失業率
17:00 ドイツ1〜3月期GDP速報値 ☆
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP速報値 ☆
21:00 南ア3月貿易収支
21:00 ドイツ4月CPI速報値 ☆
21:30 米国3月個人所得・消費支出 ☆
21:30 米国1〜3月期雇用コスト
22:45 米国4月シカゴ購買部協会景況指数 ☆
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月17日(月)
週明けのドル円は先週末のウォラーFRB理事のタカ派発言の影響が残りドルがじり高の展開を辿りました。NY市場前にわずかな押しを見た程度でNY市場では予想よりも強い経済指標を受け米金利が上昇、ドル円も134.57レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。
4月18日(火)
ドル円は前日の底堅い地合いを受け東京前場に134.71レベルの高値をつけましたが、テクニカルなターゲット(3月高値と安値の61.8%戻しとなる134.75)をほぼ達成したこともあり、その後は利食い売りに押される展開となりました。NY市場前に133.86レベルの安値をつけ、米金利低下の動きも見られましたが、FRB関係者によるタカ派な発言が繰り返されたこともあって、134円割れでは買いも出ての引けとなりました。
4月19日(水)
ドル円は東京前場に実需のドル買いが入り上昇する場面はあったものの欧州市場までは動意薄の時間帯が目立ちました。欧州市場序盤に米金利が上昇し始める動きとともにドル買いの動きが目立ち、日銀がイールドカーブコントロールの修正に慎重とのヘッドラインも出て、欧州市場では一時135.14レベルと135円の大台を上抜けました。しかし、135円台では売りも出たことやユーロドルの買い戻しも入ったことから134円台前半に下押し後に後半へと戻して引けました。
4月20日(木)
ドル円は前日に135円台に乗せて達成感が出たこと、東京前場に日経平均上昇とともに買いが強まった際にも135円を再トライできなかったことから徐々に上値が重くなっていきました。米金利も欧州市場序盤以降下げが目立ち、NY市場では弱めの経済指標が出たことも重なって134.01レベルまで水準を下げ、やや戻して引けました。
4月21日(金)
ドル円は前日の流れを受けてドル売りがNY市場まで続きました。米金利も一時的に上昇する場面も見られましたがNY市場前場には3.501%まで下げ14日以来の水準となり、ドル円も133.54レベルの安値をつけました。しかしPMIが製造業、サービス業とも予想より強かったことから米金利が反転上昇、ドル円も134.49レベルまで上昇後に134.10レベルに押して引けました。
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