6.96円前後を抵抗として中勢は下げ渋り持ち合い
〇トルコリラ円、4/24午前序盤は4/22早朝終値と同じ6.90近辺で推移
〇対ドル、4/24午前序盤は19.39ー19.45の最安値近辺での取引レンジで推移
〇財政基盤への不安感強く、ドル円上昇だけでは中長期的リラ安基調からの脱却できず
〇当面は7円手前を上値抵抗線とした中勢の持ち合いで推移
〇ドル円下落感やドル高リラ安が加速する場合、史上最安値を試しに向かう可能性も警戒
〇6.93以下での推移中は一段安余地あり、6.88割れからは6.86、6.84を順次試す下落を想定
〇6.92から6.93手前は売られやすいが、6.93上回っての推移は4/25も高値試しへ向かいやすいとみる
【概況】
トルコリラ円の4月21日は概ね6.93円から6.88円の取引レンジ、22日早朝の終値は6.90円で前日終値の6.92円からは0.02円の円高リラ安だった。週間では4月14日終値6.91円から0.01円の円高リラ安だった。
3月10日に発生した米銀破綻をきっかけとした信用不安によるドル安が一巡したことで3月24日からドル円は上昇基調に入り、4月19日には135.11円をつけて3月24日安値129.63円以降の高値を更新したが、20日夜の米経済指標が軒並み予想よりも悪かったことでドル安が再燃して4月21日夜には133.54円まで下げた。米4月総合PMIが予想を上回る改善となったことで21日深夜にいったん134.48円まで戻したものの失速し、24日午前序盤は134円を挟んだ揉み合いとなっている。
トルコリラ円はドル円を追いかける展開で、4月19日高値6.96円へ上昇して3月24日安値6.74円以降の高値を更新したものの20日夜には6.91円へ下落し、21日午前序盤に6.90円を割り込み21日夜には6.88円まで安値を切り下げた。21日深夜にドル円が反発したところで6.93円へ戻したものの失速し、24日午前序盤は6.90円近辺で推移している。
【対ドルでは最安値近辺での推移続く】
ドル/トルコリラの4月21日は概ね19.41リラから19.38リラの取引レンジ、22日早朝の終値は19.40リラで前日終値と変わらずだった。週間では4月14日終値19.34リラから0.06リラのドル高リラ安、月間では3月31日終値19.16リラから0.24リラのドル高リラ安となっている。
昨年末からリラ安の勢いが徐々に増して来たが、3月以降は下落角度が鋭角的となりリラの下げ足が一段と速まっている。為替市場全般におけるドルの強弱にはさほど左右されず、トルコ中銀による非公式な市場介入によるリラ防衛も効果が乏しく、5月14日のトルコ大統領選挙まで1か月を切り大統領選挙後にリラ安がさらに進行するとの懸念が強まっている。
手元のデータでは4月17日と19日の安値で19.46リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新してからも19.40リラ台の安値を繰り返し試しており、日足の終値ベースでは4月10日終値19.27リラから17日終値19.39リラまで6営業日連続で最安値を更新し、20日に19.40リラへ最安値をさらに更新し、21日も同値とした。ベンダーによっては19.41リラをつけて終値ベースの最安値を更新しているところもあり、取引時間中の最安値として19.57リラを提示したところもある。
4月24日午前序盤は19.39〜19.45リラの取引レンジで推移している。
【トルコリラ円の下落背景】
トルコリラ円は2021年12月20日に6.17円へ下落して史上最安値を更新し、トルコ財務省によるリラ建て預金の為替差損補填政策導入により2021年12月23日に11.15円まで反騰したものの、その効果は一時的なものに留まりリラ安基調が再開した。
昨年3月11日安値7.73円、8月2日安値7.27円、今年1月16日安値6.74円へと安値を切り下げ、3月24日に1月16日と同値をつけた(ベンダーによってはこの時点で1月16日安値を割り込んだところもある)後はドル円の上昇で戻り高値の切り上げを繰り返し試しているが、6.95円から6.96円にかけての水準で売られて7円台に到達できずにいるため、日足では下げ渋りの持ち合い程度の動きとなっている。
トルコ中銀によるリラ防衛のための市場介入や、輸出関連企業に対する外貨保有規制、為替差損を補填するリラ建て預金保護政策がリラ安抑制要因ではあるが、中長期的なリラ安基調を押しとどめることができずにいる。
昨年7月以降はドル/トルコリラの変動率をドル円の変動率が勝ることでトルコリラ円はドル円の騰落に同調した動きを見せているものの、ドル円が昨年10月21日へ大上昇した際にトルコリラ円は4月28日高値8.88円に届かず8.17円までの戻りに終わって下落しており、今年3月24日からのドル円の上昇に対しても下げ渋り程度であり、ドル高リラ安が勢いを増して来ている中ではドル円の上昇だけで中長期的な下落トレンドから脱却できない印象が強まっており、1月16日と3月24日の両安値によるダブル底形成からの反騰期待よりもダブル底が破れて一段安へ進みかねない状況にあるのではないかと思われる。
最近では貿易収支と経常収支の赤字が1月に過去最大となりその後も高水準の赤字が続いていること、財政収支の赤字は2月に過去最大となり、トルコ中央政府債務残高は3月も過去最大を更新していることなど、財政基盤への不安感が強まっている。また外貨準備高もサウジによる50億ドル供与で一時的に増加した分もすでに解消するところまで減少しており、リラ防衛への軍資金不足が顕著となっている。
5月14日の大統領選挙では、現職のエルドアン大統領が再選されれば高インフレ進行中に連続利下げを強行したような「正当的でない」政策継続への不安が一層拡大すること、野党統一候補が勝利して政策の軌道修正が行われれば従来とのギャップによる混乱が生じかねないことから、いずれが勝利してもリラ安が進行するとの見方が優勢であり、大統領選挙後には1ドル20リラ台中盤、最悪の場合は1ドル30リラへ向かうリスクもあるとされており、トルコリラ円も大きな変動に巻き込まれる可能性があると思われる。
こうした状況を踏まえれば、トルコリラ円の当面は7円手前を上値抵抗線とした中勢の持ち合いで推移しつつ、ドル円の下落感が強まる場合やドル高リラ安が加速する場合には3月24日安値6.74円を割り込んで一段安に入り、史上最安値を試しに向かう可能性も警戒すべきところと考える。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月19日夕高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたとして21日夜から25日夜にかけての間への下落を想定したが、21日夜に6.88円へ下落してからいったん6.93円まで戻したため、21日夜安値で直近のサイクルボトムをつけたと思われる。サイクルトップ形成期は24日午後から26日夕にかけての間と想定されるものの、21日深夜高値から反落しているため既にサイクルトップをつけた可能性があると注意し、21日夜安値割れを回避するうちは上昇余地ありとするが、21日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして26日夜から28日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4月20日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。21日夜からの反騰で26本基準線をいったん超えたものの再び割り込み、遅行スパンも好転しきれずに実線に沿う動きにとどまり、先行スパンが戻り高値を抑えた状況となっている。このため先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は4月21日夜の反騰で30ポイント台序盤から60ポイントまで戻したものの50ポイント割れへ失速しているので、55ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒として30ポイント割れを試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.88円を下値支持線、6.93円を上値抵抗線とする。
(2)6.93円以下での推移中は一段安余地ありとし、6.88円割れからは6.86円、6.84円を順次試す下落を想定する。6.85円以下は反騰注意とするが、6.90円を割り込んでの推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.92円から6.93円手前では売られやすいとみるが、6.93円超えからは6.95円を目指す上昇を想定し、6.93円を上回っての推移なら25日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
4月24日
16:00 4月 製造業信頼感指数 (3月 105.2)
16:00 4月 設備稼働率 (3月 73.5)
4月27日
16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 96.8)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%)
20:30 週次 外貨準備高 4月21日時点 グロス (4月14日時点 694.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 4月21日時点 ネット (4月14日時点 120.7億ドル)
4月28日
16:00 3月 貿易収支 (2月 120.8億ドル)
16:00 1-3月 観光収入 (10−12月 113.7億ドル)
17:00 3月 海外観光客数 前年同月比 (2月 21.35%)
5月2日
16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 50.9)
5月3日
16:00 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 2.29%)
16:00 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 50.51%)
16:00 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 0.44%)
16:00 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 62.45%)
注:ポイント要約は編集部
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