日米金融政策にらみ、ただドル上値は重いか(週報4月第4週)

先週のドル/円相場はドルが底堅い。週間を通して133円半ばを下回ることはなかったが、一方で135円台では上げ渋るなど上値も重かった。

日米金融政策にらみ、ただドル上値は重いか(週報4月第4週)

日米金融政策にらみ、ただドル上値は重いか

〇先週のドル円、ドルが底堅く週間を通し133円半ば下回らず
〇週間を通した値幅は133.55-135.14とわずか1.6円、今年の最小レンジに
〇18日、日銀の植田新総裁「金融緩和の継続で物価目標の達成に近づいていく」と述べる
〇132円半ばから後半は移動平均の21日線など複数のテクニカルポイントが集中し底堅い
〇今週は消費者信頼感指数や1-3月のGDP統計速報値などの米経済指標が発表される予定
〇今週のドル/円予想レンジは、132.00-136.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが底堅い。週間を通して133円半ばを下回ることはなかったが、一方で135円台では上げ渋るなど上値も重かった。

前週末、和歌山市で演説を行った岸田首相に爆発物が投げつけられるという「テロ事件」が発生し、週末は関連話題で持ちきりに。また軽井沢G7外相会談が始まるなど、重要な国際会議をめぐり様々な思惑も飛び交っていた。
そうした状況下、ドル/円は133.80円レベルで寄り付いたものの、週間を通して基本は往来相場。値動きそのものはまったくなかったわけではなかったが、週間を通した値幅は133.55-135.14円とわずか1.6円ほど。これは今年の最小レンジになる。発表される米経済指標などに一喜一憂しつつも、明確な方向性はハッキリしないまま一週間を終えていた。週末NYは134.10-15円で取引を終えて越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、発表された米経済指標がまずまだら模様。週初に発表された4月のNY連銀製造業景況指数が昨年7月以来の高水準になったほか、週末の米4月製造業PMIなどは予想上回ったものの、20日に発表された3月の景気先行指数や4月のフィラデルフィア連銀景況指数は期待外れの内容に。それもあってか要人発言も強弱が混在。セントルイス連銀総裁から「FRBは利上げを続けるべき」との強気コメントが聞かれた反面、クリーブランド連銀総裁は「金融引き締めは終盤」と発言。またアトランタ連銀総裁も「1回の追加利上げ実施後は休止が望ましい」と指摘していたようだ。なお、日本については日銀の植田新総裁が18日にはじめて衆院財務金融委員会に出席し、「金融緩和の継続で物価目標の達成に近づいていく」と述べていたという。

対して後者は、大きく2つの視点からロシア情勢が話題に。ひとつは、3月末の発表以来、依然として思惑を呼ぶ「戦術核兵器のベラルーシ領内配備」について。NATO会合でシャーマン米国務副長官が「対処し、非難しなければならない」と述べるなど、いまだ問題視されていた。また、それとは別に5月中に期限切れとなる黒海経由のウクライナ産穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)も憶測を集めていたようだ。ラブロフ外相が今週(24-28日)にも延長を目指し国連事務総長と協議することが明らかになったが、ロシアサイドは頑なな姿勢を崩していない。協議の難航は必至か。一方、それとは別に「極東のカムチャツカ半島とクリル諸島で地対艦ミサイルシステムを使った演習を行った」と発表するなど、日本に対しての威嚇行動も断続的に観測されていた。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は19日に一時135円台を示現。3月15日以来の高値を記録したものの、週間を通したレンジはわずか1.6円にとどまるなど、終わってみればそれほどドルが強いというイメージにも乏しい、底堅いが上値も重いという中段保ち合いの様相で、今週以降どちらに動くのか次に向かう方向性に注目だ。先週しっかりとは超えられなかった135円を超えればさらなるドル高が見込まれる反面、失敗に終わればまずは132円台、さらには130円程度までの押しが入っても不思議はない。

米金融政策への関心は依然として高く、次回5月初めのFOMCをにらみつつ、今週は基本的には発表される米経済指標に一喜一憂する展開か。とくに1-3月の米GDP統計速報値などには注意を払いたい。その一方、日本の金融政策も注視されている。ロイターは「日銀、次回決定会合で金融政策現状維持の見通し」と伝えていたものの、今週末27-28日に植田新総裁のもと初めて実施される日銀決定会合を注視している向きも多いようだ。日本についても、しばらくは様々な思惑が飛び交いそうで油断は禁物だ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週末にかけて、注目されていた一目均衡表の先行帯の雲の上限を上回ってきた。ただ、ドルの基調が強くて超えてきたわけではなく、雲の上限がレベルを切り下げたことにより、横這い推移のドルが上限を超えたという「消極的」な上抜けだ。オファーも分厚い135円台では頭の重さを露呈した感じもあり、高値圏でのドル買いにはむしろ慎重さを求めたい。ただ、132円半ばから後半は移動平均の21日線など複数のテクニカルポイントが集中しており、かなり底堅そうな雰囲気。

今週は、4月の消費者信頼感指数や1-3月のGDP統計速報値などの重要米経済指標の発表が相次ぐうえ、米企業決算に加え、欧州の企業決算も実施される予定だ。後者についてはUBSグループやドイツ銀行なども予定されており、市場の注目度は非常に高い。

そんな今週のドル/円予想レンジは、132.00-136.00円。ドル高・円安については、先週高値135.14円が最初の抵抗。オファーも厚いが、抜ければフィボナッチポイントも近い136円レベルが次のターゲットに。
対してドル安・円高方向は、先週末に示現した先週安値133.55円をめぐる攻防にまずは注目。下回ると133円割れは否定できないが、21日などサポートも多くドルの下値は堅そうだ。

日米金融政策にらみ、ただドル上値は重いか

ドル円日足

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