ドル円見通し 135円到達後は調整気味の推移、今週はFOMC前で思惑錯綜の週に(週報4月第四週)

4月21日の4月米総合PMI速報値が11か月振り高水準となったことで深夜に134.48円へ戻し、21日早朝へややジリ安となったものの134円台を維持して週を終えた.

ドル円見通し 135円到達後は調整気味の推移、今週はFOMC前で思惑錯綜の週に(週報4月第四週)

ドル円見通し 135円到達後は調整気味の推移、今週はFOMC前で思惑錯綜の週に

〇先週のドル円、米インフレ指標の鈍化で132.02まで下げた後、米指標改善等に一時135.11まで上昇
〇米債利回りは上昇一服、NYダウは4/14の高値更新後は上値重い
〇5/2-3のFOMCでは0.25%%利上げが予想されているものの、それ以降の政策は市場の思惑錯綜
〇4/27-28は植田総裁就任後初の日銀政策決定会合、金融政策は現状維持予想
〇21日反発時の高値134.48超えから135.11試し、135円台前半で値固めできれば136円を目指す動き
〇133.54割れからは133円台後半、132円前後を順次試す下落想定

【概況】

ドル円は3月24日安値129.63円からの持ち直しを継続して4月19日には135.11円まで戻し、3月8日高値から3月24日安値までの下落幅8.28円に対して5.48円の上昇幅として3分の2戻し135.15円に迫った。
3月10日の米銀破綻をきっかけとした信用不安によるドル安円高が落ち着いて戻しに入り、4月12日に134.04円へ上昇したところから、4月12日の米3月CPIと4月13日の米3月PPIがインフレ鈍化を示したことで4月13日夜安値132.02円まで下げたものの、4月14日のウォラーFRB理事による追加利上げ支持発言やミシガン大消費者調査での1年先期待インフレ率が大幅上昇したことをきっかけに上昇を再開し、4月17日のNY連銀4月製造業景況指数が予想以上に改善したことや4月19日の英3月CPIが予想を上回る高止まりになったことによる欧米揃っての長期債利回り上昇により4月19日高値135.11円へ高値を切り上げた。

4月20日の4月フィラデルフィア連銀景況指数や3月米中古住宅販売及び3月CB景気先行指数の悪化でいったんドル安へ向かい21日夜安値で133.54円を付けたが、4月21日のS&Pグローバルの4月米総合PMI速報値が11か月振り高水準となったことで深夜に134.48円へ戻し、21日早朝へややジリ安となったものの134円台を維持して週を終えた。

【米長期債利回りは上昇一服】

長期金利指標の米10年債利回りは4月6日に3.25%へ低下したところを起点として上昇に転じ、4月19日には一時3.64%を付けて3月22日以降の低下幅を解消したが、4月20日は0.05%低下と上昇一服となり、21日は3.50%まで低下してから米製造業及びサービス業PMIが共に予想を上回って3月から改善したことで0.04%上昇の3.58%へと反発した。
30年債利回りは前日比0.03%上昇の3.78%で週を終えたが、4月6日に3.53%まで低下したところから反騰に転じて4月19日に3.83%まで戻した後は上昇一服となっている。利上げに敏感な2年債利回りは0.04%上昇の4.19%で週を終えたが、4月19日に4.29を付けて3月24日の3.56%以降の高値水準としたところで上昇一服感が見られる。

一方でNYダウは前日比22.34ドル高と小幅上昇したが、4月18日から20日まで3営業日続落したところで下げ一服の印象だが、34000ドル台で繰り返し売られており、4月14日高値の後は新たな高値更新へ進めずに上値が重くなっており、3月15日からの上昇一巡感も見られる。ナスダック総合指数は12.90ポイント高と小幅上昇したが20日の97.67ポイント安に対しての下げ渋り程度の動きであり、4月18日に2月2日高値に迫ったものの高値更新へ進めず、12000ポイント台では上値が重くなっている印象だ。いずれもFOMCへ向けて追加利上げや利上げ状態の長期化への懸念も強まり始めており、米景気回復への期待感や年後半の利下げ期待がやや後退気味となっていることで上値が重くなっている。

【FOMCの利上げ継続姿勢はどの程度か】

5月2日と3日に開催される次回FOMCについて、0.25%利上げが予想されているものの、6月も追加利上げがあるのか、前回FOMCであと1回の利上げ想定とされたことを踏まえて利上げ終了宣言が出るのか、市場はFOMCへの思惑を錯綜させているところだが、前回FOMCが米銀破綻発生の混乱時だったこと、その後に信用不安問題がひとまず落ち着いていること、インフレの高止まりとまちまちな米経済指標を見ながらFOMCメンバーも金融政策スタンスについてハト派であるべきかタカ派姿勢を維持するべきか考えあぐねるところであり、FOMCまではFRBメンバーの発言も自粛されるブラックアウト期間となるため、市場としては米経済指標を見ながら方向感を探ってゆくこととなる。

4月21日にFRBのクック理事は「物価目標の2%へインフレを低下させる上で十分景気抑制的な金利水準について検討する」としつつも「与信条件の厳格化が景気を大きく冷ますようなら政策金利の推移が想定よりも低くなる可能性がある」と述べた。米銀破綻をきっかけとした銀行の与信条件厳格化が金融引き締め効果を招くため、信用不安の逆風と景気への影響を踏まえた上での利上げ継続判断となる。同理事は「金融条件の厳格化が経済への大きな逆風となれば適切な政策金利は逆風がない場合よりも低くなる」としつつ、「経済が強くディスインフレの減速感が見られればもっとやるべきこと(利上げ継続)があるかもしれない」とも述べている。
4月20日にはクリーブランド連銀のメスター総裁が「インフレはほとんど改善していない」「金融政策は景気抑制的な領域へさらにいくらか動く必要がある」と追加利上げ支持姿勢を示し、ダラス連銀のローガン総裁も「インフレはあまりに高すぎる」としてインフレ抑制のための追加利上げの必要を主張している。

今週は4月26日の米3月耐久財受注、27日の米1-3月期GDP速報値、28日の米3月個人消費支出(PCE)デフレーターに注目が集まり、来週は5月1日に4月ISM製造業景況指数、2日に3月JOLTS求人数、3日にISMサービス業景況指数と続き、4日未明にFOMC政策金利発表と議長会見、5月5日の米4月雇用統計と続く。

【4月27-28日に植田総裁体制で初の日銀金融政策決定会合】

4月27日と28日に日銀金融政策決定会合がある。4月9日に就任した植田新総裁体制で初の会合となるが、4月10日の就任会見における従来の金融政策を当面維持するとの姿勢から政策の修正はなく現状維持と予想されている。
新総裁就任直後のため、当面は国内物価上昇率や賃上げ動向及び1-3月のGDP等のファンダメンタルズや主要国の金融政策動向を見定めつつ、従来の「異次元」金融緩和の功罪を検証し、機能不全に陥っている長短金利操作=YCC(イールドカーブコントロール)の修正へ向けた議論の素地を形成してゆく姿勢になるのだろうと推察されるが、YCCの修正へ向けて積極姿勢を示すようだと円高に、まだ暫くは政策変更に手を付けない姿勢が強調されれば円安に反応しやすいと思われる。

【3月の高安レンジ内で方向感を探る、二段上げへ向かうか下落再開感を強めるか】

【3月の高安レンジ内で方向感を探る、二段上げへ向かうか下落再開感を強めるか】

ドル円は昨年の歴史的な円安により10月21日高値で151.94円を付けたが、日銀による大規模市場介入や日銀の金融緩和修正及び米国の利上げペース減速感等から円高に転じ、11月10日の逆CPIショック、12月20日の日銀による長期金利許容上限の引き上げ等を通過して今年1月16日安値127.22円まで24.73円の大幅下落となったが、その後は日銀人事を巡る急激な政策修正不安が後退し、FRBによる利上げペースが再び加速する可能性が出てきたことで3月8日高値137.91円まで10.70円の反騰となった。
米銀破綻が発生したことで3月24日安値129.63円まで失速したわけだが、信用不安がひとまず落ち着き、FRBの利上げ継続の可能性も浮上したことで持ち直してきたのだが、依然として3月8日高値と3月24日安値のレンジ内にとどまっているため、中勢のトレンドは強弱感が定まっていない印象だ。

今週の米経済指標から来週のFOMCを通過しながら3月8日高値を超える場合、1月16日安値を起点とした上昇が二段目に入り、一段目の上昇と同規模なら上値計算値は140.33円となり140円を目指す可能性が高まると思われる。逆に3月24日安値を割り込む場合は、3月8日を戻り天井とした下落が二段目に入るため、3月8日から3月24日への下げ幅と同規模なら現時点では下値計算値は126.83円となり1月16日安値127.22円を割り込む計算となり、昨年10月21日天井を起点とした下落も第二段階に進むこととなりかねない。いずれにしても夏にかけての大きなトレンド形成の準備段階・前夜情勢として注目したいところだ。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月21日夜安値133.54円を下値支持線、21日深夜反発時の高値134.48円を上値抵抗線とする。
(2)134.48円超えからは4月19日高値135.11円試しとし、高値更新後に135円台前半で値固めするようなら136円前後を目指す上昇期に入ると考えるが、高値更新へ進めないかわずかに高値を更新しても135円台を維持できないようならその後の134円割れから下落期に入るとみる。
(3)133.54円割れからは133円台後半、132.00円前後を順次試してゆく下落を想定する。また、4月13日夜安値132.02円を割り込む場合は3月24日以降の上昇一巡による下落期入りの可能性が高まるとみる。

注:ポイント要約は編集部

【当面の主な予定】

4/24(月)
休場 マレーシア、インドネシア
17:00 (独) 4月 IFO企業景況感指数 (3月 93.3、予想 93.4)
18:00 (欧) パネッタECB理事、講演
21:30 (米) 3月シカゴ連銀全米活動指数 (2月 -0.19)
23:30 (米) 4月ダラス連銀製造業活動指数 (3月 -15.7)

4/25(火)
休場、ニュージーランド、オーストラリア、インドネシア
08:50 (日) 3月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (2月 1.8%、予想 1.7%)
22:00 (米) 2月 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (1月 0.2%、予想 -0.2%)
22:00 (米) 2月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (1月 2.5%、予想 -0.1%)
23:00 (米) 4月 リッチモンド連銀製造業指数 (3月 -5、予想 -8)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数 年率換算件数 (2月 64.0万件、予想 63.0万件)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数 前月比 (2月 1.1%、予想 -1.6%)
23:00 (米) 4月 コンファレンスボード消費者信頼感指数 (3月 104.2、予想 104.1)
26:00 (米) 財務省2年債入札

4/26(水)
休場 インドネシア
07:45 (NZ) 3月 貿易収支 (2月 -7.14億NZドル)
10:30 (豪) 3月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (2月 6.8%、予想 6.6%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価(CPI) 前期比 (10-12月 1.9%、予想 1.3%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価(CPI) 前年同期比 (10-12月 7.8%、予想 7.0%)
15:00 (独) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -29.5、予想 -28.0)
21:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
21:30 (米) 3月 卸売在庫 前月比 (2月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 -1.0%、予想 0.9%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 0.0%、予想 -0.2%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:30 (米) 財務省2年変動利付債入札
26:00 (米) 財務省5年債入札

4/27(木)
休場 南ア
日銀・金融政策決定会合初日
10:00 (NZ) 4月 ANZ企業信頼感 (3月 -43.4)
10:30 (豪) 1-3月期 輸入物価指数 前期比 (10-12月 1.8%、予想 0.5%)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI・改定値 (速報 99.2)
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI・改定値 (速報 97.7)
18:00 (欧) 4月 経済信頼感 (3月 99.3、予想 99.9)
18:00 (欧) 4月 消費者信頼感・確定値 (3月 -17.5)
21:30 (米) 1-3月期 GDP速報値 前期比年率 (10-12月 2.6%、予想 2.0%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (10-12月 1.0%、予想 4.0%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCEデフレーター速報値 前期比年率 (10-12月 4.4%、予想 4.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.5万件、予想 25.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.5万人)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前月比 (2月 0.8%、予想 1.0%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前年同月比 (2月 -21.1%)
26:00 (米) 財務省7年債入札

4/28(金)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
08:30 (日) 3月 失業率 (2月 2.6%、予想 2.5%)
08:30 (日) 4月 東京区部消費者物価指数(CPI)・生鮮食品除く 前年同月比 (3月 3.2%、予想 3.2%)
08:50 (日) 3月 鉱工業生産速報値 前月比 (2月 4.6%、予想 0.4%)
08:50 (日) 3月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (2月 -0.5%、予想 -1.2%)
08:50 (日) 3月 小売業販売額 前年同月比 (2月 6.6%、予想 6.5%)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数(PPI) 前期比 (10-12月 0.7%)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数(PPI) 前年同期比 (10-12月 5.8%)
14:00 (日) 3月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (2月 -0.3%、予想 -3.8%)

15:00 (独) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 -2.4%、予想 -1.2%)
15:00 (独) 3月 輸入物価指数 前年同月比 (2月 2.8%、予想 -3.9%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、記者会見
16:55 (独) 4月 失業者数 前月比 (3月 1.60万人、予想 0.90万人)
16:55 (独) 4月 失業率 (3月 5.6%、予想 5.6%)
17:00 (独) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 -0.4%、予想 0.2%)
17:00 (独) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (10-12月 0.3%、予想 0.8%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (10-12月 0.0%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (10-12月 1.8%、予想 1.4%)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数(CPI)速報値 前月比 (3月 0.8%、予想 0.6%)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数(CPI)速報値 前年同月比 (3月 7.4%、予想 7.3%)

21:30 (米) 1-3月期 雇用コスト指数 前期比 (10-12月 1.0%、予想 1.1%)
21:30 (米) 3月 個人所得 前月比 (2月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 個人消費支出(PCE) 前月比 (2月 0.2%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 3月 PCEデフレーター 前年同月比 (2月 5.0%、予想 4.1%)
21:30 (米) 3月 PCEコアデフレーター 前月比 (2月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (2月 4.6%、予想 4.5%)
22:45 (米) 4月 シカゴ購買部協会景況指数 (3月 43.8、予想 43.6)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 63.5、予想 63.5)

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