『国内ファンダメンタルズの弱さが南アランドの続伸を阻む見通し』
〇今週の南ア円、週前半に7.32まで下落後、週後半にかけ週間高値7.45まで上昇
〇上方より90日移動平均線や一目均衡表雲上限が垂れ下がりテクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南アの政局、経済先行き不透明、格下げ懸念等悪材料多い
〇南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.55
今週のレビュー(4/17−4/21)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.39円で寄り付いた後、(1)米長期金利の急上昇(米4月ニューヨーク連銀製造業景況指数のポジティブサプライズ→米長期金利急上昇→新興国通貨下落)や、(2)南ア3月SACCI景況感指数(結果111.3、前回112.9)の冴えない結果が重石となり、翌4/18にかけて、週間安値7.32円まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)南ア3月消費者物価指数(結果+7.1%、予想+6.9%)の市場予想を上回る結果や、(4)上記3を背景とした南ア中銀の追加利上げ観測再燃、(5)南ア3月小売売上高(結果▲0.5%、予想▲1.0%)の市場予想を上回る結果、(6)対主要通貨での円売り圧力(ドル円・クロス円上昇→南アランド円連れ高)、(7)プラチナ価格の堅調推移(南アフリカの交易条件改善期待)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値7.45円(4/4以来の高値圏)まで上昇しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(8)ドル円相場の急反落(本邦のコアコアCPIの伸び率昂進→日銀による金融緩和の修正観測再燃→ドル円反落→南アランド円連れ安)や、(9)南ア株の急反落が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/22午前4時00分現在)では、7.41円前後で推移しております。
来週の見通し(4/24−4/28)
南アランドの対円相場は、4/6に記録した安値7.17円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて一時7.45円(4/4以来の高値圏)まで急伸しました。但し、アップサイドより市場参加者に意識されている90日移動平均線や一目均衡表雲上限が垂れ下がってくることや、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーが成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、ここからの更なる上昇は容易では無いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ国内における深刻な電力不足の継続や、(2)上記1を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感(IMFは4/11に発表した世界経済見通しの中で、南アフリカの2023年経済成長率見通しを前回1月時点の+1.2%から+0.1%へ大幅下方修正)、(3)南アフリカを巡る政局不透明感(与党アフリカ民族会議の支持率低下→治安悪化懸念)、
(4)南アフリカ国債の格下げ懸念、(5)南アフリカにおけるインフレ再加速(今週発表された南アCPIは市場予想を上回る結果→景気悪化局面でのインフレ昂進→南ア中銀がインフレ抑制を優先して利上げに踏み切れば、南ア経済にもう一段下押し圧力が加わる恐れあり。※南ア中銀の利上げ観測再燃は、当初は南アランド買いで反応するが、一巡後は、利上げに伴う南ア経済への下押しが連想されるため、南アランド売りに回帰する公算大)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南ア3月生産者物価指数(4/26)や、南ア3月マネーサプライ(4/28)、南ア3月貿易収支(4/28)に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.55
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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