『ドル円との同調相場が継続も来月の大統領選に向けて下落リスクが高まる恐れ』
〇今週のトルコ円、週明け早々に安値6.86まで下落後、週央にかけて一時6.99まで上昇
〇ドル円の動きにつれた動きが主体、対ドルでのボラティリティ抑制策によるドル円とのシンクロ状態続く
〇トルコの対ドル相場は緩やかに史上最安値を更新
〇対ドルの下落基調に歯止めかからず、5/14の大統領選後ボラティリティ抑制策が撤廃との見方燻る
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.70ー7.05
今週のレビュー(4/17−4/21)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初6.91円で寄り付いた後、(1)トルコ3月住宅販売(結果▲21.4%、前回▲18.0%、※前年比)の冴えない結果や、(2)トルコ3月財政赤字の急拡大、(3)格付け大手S&Pグローバル・レーティングによる「最大のリスクに直面している国はトルコとチュニジア」とのアナリストレポート発信が重石となり、週明け早々に、週間安値6.86円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)対主要通貨での円売り再開(ブルームバーグ社による「来週の日銀金融政策決定会合でのYCC修正について日銀内で慎重な意見が広がっている」との観測報道→ドル円が約1カ月ぶり高値となる135.13まで急上昇→トルコリラ円連れ高)、(5)トルコ4月消費者信頼感指数(結果87.5、前回80.1)の良好な結果が支援材料となり、週央にかけて、週間高値6.99円まで上昇しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)本邦3月消費者物価指数におけるコアコアCPI(生鮮食料品とエネルギーを除くCPI)の伸び率昂進(1981年12月以来となる+3.8%を記録)や、(7)上記5を背景としたドル円相場の急反落(日銀による金融緩和の修正観測再燃→ドル円急落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/15午前4時30分現在)では、6.91円前後で推移しております。尚、対ドル相場は史上最安値を更新しました。
来週の見通し(4/24−4/28)
政府・当局によるボラティリティ抑制策(米ドルとの事実上のペッグ政策)が継続する中、トルコリラ円相場はドル円とのシンクロ状態が続いております(トルコリラの対ドル相場が狭いレンジ内で固定されているため、トルコリラ円の動きはドル円に近似)。但し、資本規制や為替介入を通じた強引なボラティリティ抑制は副作用を伴うことから長期化させることが難しく、一巡後の急落リスクを孕んでいる点に留意が必要でしょう。事実、トルコ中銀は4/7に新たな資本規制(トルコの商業銀行が外貨を保有しづらくさせる措置の強化)を打ち出しましたが、効果は限定的であり、対ドルでの下落基調に歯止めをかけることが出来ておりません。市場では、5/14に予定されている大統領選後に、対ドルでのボラティリティ抑制策が撤廃されるのではないかとの見方も燻っており、ダウンサイドリスクへの警戒感が足元で急速に高まってきております。
来週はひとまず「トルコリラ円=ドル円」の同調相場の継続を想定しますが、5/14の大統領選が近づくにつれて、思惑主導の仕掛け的なトルコリラ売りに進展するシナリオも想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週は日銀金融政策決定会合を控え、円買いに振れ易くなることが想定されるため、トルコリラ円相場にも下押し圧力が加わる公算大)。尚、来週はトルコ4月設備稼働率(4/24)、トルコ中銀政策決定会合(4/27)、トルコ3月貿易収支(4/28)が予定されております。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.70ー7.05
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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