トルコリラ円見通し ドル円の下落に圧されて6.90円割れを試す(23/4/21)

トルコリラ円の4月20日は概ね6.96円から6.91円の取引レンジ、21日早朝の終値は6.92円で前日終値の6.94円からは0.02円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の下落に圧されて6.90円割れを試す(23/4/21)

トルコリラ円見通し ドル円の下落に圧されて6.90円割れを試す

〇トルコリラ円、ドル円の騰落を追いかける動き、4/20夜ドル円が134円へ下落した局面で6.91へ下げる
〇4/21午前序盤にドル円は134円割れを回避するも、トルコリラ円は4/20夜安値6.91を割り込む
〇対ドル、4/20日は概ね19.43から19.37の取引レンジ、終値は19.40で終値ベースの最安値を更新
〇昨日発表の外貨準備高はネットで大幅減少、トルコ政府の債務残高は過去最大を更新
〇6.93以下での推移中は一段安余地ありとし、6.90割れからは6.88、6.86を順次試す下落を想定する
〇6.93手前では売られやすいとみるが、6.93超えからは6.95を目指す上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の4月20日は概ね6.96円から6.91円の取引レンジ、21日早朝の終値は6.92円で前日終値の6.94円からは0.02円の円高リラ安だった。
ドル円の騰落を追いかける展開が続いているが、ドル円は4月19日夕刻高値で135.11円をつけて3月24日安値129.63円以降の高値を更新したものの135円台を維持できずに失速し、20日夜は米経済指標が軒並み予想よりも悪かったことでFRBによる積極的な利上げ姿勢が後退するのではとの思惑で米長期債利回りは低下に転じたために深夜安値で134.00円をつけるところまで反落した。クリーブランド連銀総裁による追加利上げ支持発言によりドル安に若干のブレーキがかかったために134円割れをひとまず回避したが、その後も134円台序盤にとどまり134円割れへの余裕が乏しくなっている。

トルコリラ円はドル円が135円に到達した19日に6.96円へ上昇して4月10日夜の6.95円を超えて1月16日安値6.74円と同値でダブルボトムを形成した3月24日以降の高値を更新したが、20日午前の上昇時には高値更新へ進めず、20日夜にドル円が134円へ下落した局面で6.91円へ下げた。21日午前序盤にドル円は134円割れを回避しているもののトルコリラ円は20日夜安値を割り込んでおり、4月18日夜安値6.90円を割り込む場合は戻り一巡による下落期入りの印象が強まるところと注意する。

【対ドル、終値ベースでの史上最安値更新】

ドル/トルコリラの4月20日は概ね19.43リラから19.37リラの取引レンジ、21日早朝の終値は19.40リラで前日終値の19.39リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
4月20日は米フィラデルフィア連銀景況指数や週間新規失業保険申請件数、中古住宅販売、コンファレンスボードの景気先行指標が軒並み市場予想よりも悪化したことで米長期債利回りが低下して為替市場全般がドル安となったものの、トルコリラは先安感を優先して下落基調を継続している。
手元のデータでは4月17日と19日の安値で19.46リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新しており20日は新たな安値更新へは進まなかったものの、最安値近辺での推移を続けている。日足の終値ベースでは4月10日終値19.27リラから17日終値19.39リラまで6営業日連続で最安値を更新し、18日と19日の終値も19.39リラとしていたが、20日は19.40リラへ最安値をさらに更新した。

【外貨準備高はネットで大幅減少、政府債務は過去最大に】

4月20日夜に発表された週次の外貨準備高は4月14日時点のグロスで694.1億ドルとなり4月7日時点の684.9億ドルから若干増加したが、ネットでは120.7億ドルとなり4月7日時点の137.7億ドルから17億ドルの減少となった。
2月6日に発生したトルコ南部大地震によるリラ安と外貨準備高の減少に対する支援としてサウジがトルコ中銀に50億ドルを預託、3月13日に入金されたことで外貨準備高は一時的に増加したものの、グロスでは4月7日時点で増加分を解消して昨年12月の855.9億ドル以降の最低へ減少しており、4月14日時点も若干の増加にとどまり減少傾向の範囲にある。ネットではサウジ効果による増加を3月31日時点で割り込んでしまい、その後も減少が続いている。リラ安が最安値を更新する中でリラ防衛のためのトルコ中銀による非公式市場介入も繰り返されていることで外貨準備の取り崩しが進んでいる印象だ。

4月20日に発表されたトルコ政府の債務残高は4兆4870億リラとなり2月の4兆2110億リラを超えて過去最大を更新した。2020年1月の1兆3364億リラ、2021年1月の1兆8377億リラ、2022年1月の2兆8450億リラからさらに膨張が勢い付いており、貿易赤字と経常赤字、財政赤字の悪化と共に債務膨張がトルコ経済にとっての大きな重石となっている。このうち対外債務も3月時点で1174億9300万ドルで2月の1159億600万ドルから増加して過去最大を更新している
トルコ政府の債務残高の急増が財政基盤の悪化を示し、外貨準備高の減少傾向と共にリラ売りを助長している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月18日午前高値で17日深夜高値と同値としたところから6.90円へ下落したために19日午前時点では両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとし、18日午前高値を上抜く場合は強気サイクル入りとした。
4月19日夜に18日午前高値を超える一段高となったために20日午前時点では14日夕安値を起点とした上昇が延長入りしている可能性と、18日夜安値を直近のサイクルボトムとして既に新たな強気サイクル入りしている可能性があるとしたが、20日夜への下落から21日午前へ続落しているため19日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして21日夜から25日夜にかけての間への下落を想定する。強気転換には6.93円を超えからさらに続伸する反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では4月20日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンを上抜き返せないうちはその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4月20日夜から21日午前への下落で30ポイント台へ低下しているので20ポイント前後への一段安余地ありとみる。50ポイント手前は戻り売り有利とし、強気転換には50ポイントを超える上昇が必要と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.90円を下値支持線、6.93円を上値抵抗線とする。
(2)6.93円以下での推移中は一段安余地ありとし、6.90円割れからは6.88円、6.86円を順次試す下落を想定する。6.87円以下は反騰注意とするが、6.90円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.93円手前では売られやすいとみるが、6.93円超えからは6.95円を目指す上昇を想定し、6.93円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月24日
 16:00 4月 製造業信頼感指数 (3月 105.2)
 16:00 4月 設備稼働率
4月27日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 96.8)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 4月21日時点



注:ポイント要約は編集部

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